2008年7月19日 (土)

ブログ記事の無断転載が合法!?

 金曜、裁判所で、阿曽山大噴火さんから言われた。
「今井さん、ほんっとニュース見てないっすねぇ」
 なにって、このニュースだ。以下は7月17日付け産経新聞。

ブログ無断転載の裁判傍聴記、「著作物に当たらず」 知財高裁
ネット公開した裁判傍聴記を無断でブログに転載されたとして筆者がヤフーに削除を求めた訴訟で、知財高裁は「ありふれた表記」などとして著作権を認めなかった。

 インターネット上で公開した裁判傍聴記を無断で別のブログに転載されて著作権を侵害されたとして、筆者の男性が、インターネットサービス大手のヤフーにブログ記事の削除などを求めた訴訟の控訴審判決が17日、知財高裁であった。飯村敏明裁判長は、傍聴記の著作権を認めなかった1審東京地裁判決を支持し、男性の控訴を棄却した。裁判傍聴記の著作権が争われた訴訟では初の高裁判断。
 飯村裁判長は、男性の傍聴記について「ありふれた表記で格別な工夫が凝らされてはおらず、筆者の個性が発揮された部分はなく、創作性は認められない」と指摘し、「著作物にはあたらない」と結論付けた。
 判決によると、男性は平成18年9月、ライブドア(LD)事件で、LD元社長、堀江貴文被告(35)=控訴中=の1審公判を傍聴し、内容を傍聴記としてインターネット上で公開。直後に第3者が開設するブログに転載された。

 最初、阿曽山さんから概要を聞いた(阿曽山さんなりに言ったのを私なりに解した)とき、冗談かと思った。ンなバカなことがあるはずがない、と。
 だってさ、裁判は、誰でも傍聴できて誰が傍聴したって中身は同じだけどもさ、平日の昼間に出かけてその裁判を傍聴するってのは、誰にもできることじゃない。傍聴券抽選の有名事件ならなおさらだ。でもって、傍聴したうちのどの部分をどう書くか、工夫が要る。そういう傍聴記をだよ、勝手に転載するのが、合法なの? 裁判所はナニ考えてんだ? と。

 仕事場へ戻って、報道を見た。うーん、こりゃあ、どんな傍聴記をどんな形で転載したのか、それがわかんないとねぇ。
 と思ったら、 「駒沢公園行政書士事務所日記」というブログが、それを紹介してた。裁判所がさっそくアップした判決書き(PDFファイル)も紹介してた。うわぉ。
 なんか、転載した側は、どこから転載したのかすら明記してないような。マジ?

 ま、そういうのをチラ見させてもらった限りで言うとだ、これはアレか、他人のブログ記事を勝手に転載することについて、礼儀やマナー、道義上どうこうではなく、著作権法という法律上、違法かどうか、に限って判断するに当たり、そのためには、元のブログ記事が、同法2条1号、

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 この定義に当てはまるかどうか(著作物性の有無を)判断せねばならず、そうやって判断するなら、著作権法上は違法とまではいえない、つーことではないんでしょか。裁判所的だなぁ、という気がする。

P1020213  でも、たとえばさ、北極の海中の珍しい生物の写真を撮ってブログにアップしたのを、その生物はそこに存在しており誰でも撮影できるし、そんな写真は「思想又は感情を創作的に表現したもの」とまでは言えないから、勝手に転載しても良い、となるのか?
※ 右の画像は本文とは関係ないっス。仙台へ行ったとき守大助さんに面会しようと歩く途中、撮影したもの。守さんは千葉の刑務所へ移送されたそうだ。

 また、たとえばさ、“アフィリエイトで1億円”を目指すブロガーが、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とまではいえないけれども、少なからざる人が知りたがっている記事をアップし、閲覧者を集めて金銭的利益を得ようとしている場合において、その記事を、自分のブログでもアフィリエイトをやってる他人が勝手に転載するとか、そういう場合はどうなるの?

 新聞の発表記事(役所が記者クラブ加盟社に対し発表した内容をそのまま、または多少要約するなりして載せる記事)は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは到底言えないからって、論評するために引用するのではなく、出典の明記すらせず無断で転載するのは、いいの?

 今回の判決は、今回のブログ記事限定の、かつ、著作権法という法律上違法かどうか限定の、ものかと思える。
 あ~、難しいことを考えると、お脳が疲れる。今日もコミセンのプールで20往復、泳いできたし。腹もへったし…。

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拾った杖を使いブラジャーとショーツを

7月18日(金)その2

 14時00分から東京簡裁・刑事2室3係(田中芳和裁判官)728号法廷で、「刑の執行猶予言渡取消」の新件。
 この罪名の裁判は、過去に2回、傍聴したことがある。保護観察付き執行猶予の期間中に強盗とかをやったケースと、痴漢で保護観察付き執行猶予の判決を受けて2カ月後にまた痴漢をやったケースだった。
 この罪名の裁判は、かなり珍しいほうだけど、その後もときどきあり、しかし私はその後は傍聴しておらず、久しぶりに、と来たのだ。

 立会検察官は、さっきまでの普通の事件(最後のは窃盗で、被告人は21歳。事件記録符号は「ろ」)の日下部敏さんから、遠藤薫さんに交代した。その事件記録符号は「る」。遠藤さんは、以前からときどき東京簡裁の立会をやってる。
 遠藤検察官の隣に、硬そうな白髪混じりの、見かけない男性。
 傍聴席には、そのお仲間の官らしき男性が4人、日下部検察官、警察官かと思しき男性1人、若めのカップル、漫画雑誌らしきを持ったオッサン、など。簡裁の傍聴席としては、かなり多い。
 しーんとしたなか、みんなでしーんと待つ。私の後ろにいたカップルのどっちかが携帯電話を出したらしく、書記官が注意した。

 13時59分、奥のドアから被告人が、手錠・腰縄で現れた(勾留場所は拘置所か)。だいぶんにオッサンで、脳内出血をやったそうで片足をだいぶ引きずってるが、なんというかこう、精神的に崩れた感じがあまりない。
 60歳(もうすぐ61歳)。無職。住居地あり。弁護人なし。

 遠藤検察官が、普通の裁判の起訴状に相当するものを読み上げた。
 それをまとめると…。
 2004年7月28日に被告人は東京簡裁で住居侵入により懲役1年、保護観察付き執行猶予4年の判決を受け、同年8月3日に保護観察所へ出頭した。
 その後、2005年2月17日、覗き目的で他人の住居へ侵入し、2006年6月25日、女性用下着を窃取し、いずれも不起訴となったものの、保護観察官から再三の厳重注意を受けた。
 しかし2008年3月4日、足立区内で、杖を拾って使い、干してあったショーツとブラジャー計4点、1400円(?)相当を窃取、さらに同年4月10日、同じく足立区内で、今後はビニール傘を拾って使い、ベランダのキャミソール1枚、2000円相当を窃取。
 この2件については、東京簡裁へ起訴され、2008年7月3日、懲役2年の実刑判決を受けた。そのまま確定すれば、前刑の執行猶予は必要的取消しとされるはずだったが…。
 以下は刑法。太字は今井。

第二十六条  次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき
 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

 被告人は控訴し、前刑の猶予期間の最終日が徒過することになるため、裁量的取消しにより執行猶予を取り消そうと…。

第二十六条の二  次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる
 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき
 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。

 以下は、刑事訴訟法。太字は今井。

第三百四十九条  刑の執行猶予の言渡を取り消すべき場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者の現在地又は最後の住所地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対しその請求をしなければならない
○2  刑法第二十六条の二第二号 の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべき場合には、前項の請求は、保護観察所の長の申出に基づいてこれをしなければならない。
 検察官が、保護観察所長の申出に基づいて、執行猶予の取消しを請求したと、そういうわけだ。
 でもって…。 

第三百四十九条の二  前条の請求があつたときは、裁判所は、猶予の言渡を受けた者又はその代理人の意見を聴いて決定をしなければならない。
○2  前項の場合において、その請求が刑法第二十六条の二第二号 の規定による猶予の言渡しの取消しを求めるものであつて、猶予の言渡しを受けた者の請求があるときは、口頭弁論を経なければならない
○3  第一項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、猶予の言渡を受けた者は、弁護人を選任することができる。
○4  第一項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、検察官は、裁判所の許可を得て、保護観察官に意見を述べさせることができる。
○5  第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 それで、被告人が請求したもんだから、この裁判(口頭弁論)が行われることになったわけだ。

 続いて田中裁判官が被告人に、なにか述べたいことがあるか尋ねた。普通の裁判の罪状認否に相当する部分だ。
被告人 「なにもございません」
 ありゃ? じゃあ、なんで口頭弁論を請求したんだろう。うむぅ、それをやってる間に、前刑の猶予期間が終わると考えたんだろうか。
 そういえば、この期日は急に入ったようだ。日下部検察官も知らなかったようだ。前刑の猶予の満了日を徒過させないために、急遽期日を入れたんだろうか。

 続いて、証拠調べ。
 遠藤検察官が、書証の要旨を簡略に告知した。簡略といっても57号証もある。うわ~。書証はすべて、上記2008年の2つの下着ドロの刑事裁判で使ったものだという。

 続いて、保護監察官が意見を述べた。遠藤検察官の隣の見かけない男性が、保護観察官なのだった。そりゃ見かけないわけだ。
 ま、さっき遠藤検察官が述べたと同じ事実関係を述べ、
保護観察官 「…に当たると断ぜざるを得ず、この際、矯正教育にゆだね、…することが必要と判断し…」
 と結んだ。以下は、執行猶予者保護観察法

(検察官への申出)
第九条
 保護観察所の長は、刑の執行猶予の言渡しを受けて保護観察に付されている者について、刑法第二十六条の二第二号の規定により猶予の言渡しを取り消すべきものと認めるときは、本人の現在地又は最後の住所地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に対応する検察庁の検察官に、書面で、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百四十九条第二項に規定する申出をしなければならない。

 そのあとの、裁判官、検察官、被告人のセリフ、やりとりは省略して、14時31分、
裁判官 「ではこれで弁論を終結しまして、決定宣告は2時(14時)50分に。それまで休廷します」

 14時51分、決定が宣告された。
裁判官 「平成16年(2004年)7月28日、住居侵入被告事件につき言い渡した、刑の執行猶予の言い渡しは、これを取り消す…」
 被告人に不服があるときは即時抗告ができることを告げ、14時55分閉廷。
 被告人は黙って再び手錠・腰縄をつけられ、奥のドアから出て行った。

 被告人は裁判官から、「どうしてそういうことをやったのか」と尋ねられ、
被告人 「どっちかというと、やっぱり意志の弱さで…」
 と答えていた。
 どっちかというと…?
 「どっち」のもう一方は、女性用下着を盗むとき、盗んだ下着を手に持つときの、めくるめくなにか、だったんだろうか…。

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 そういえば、府中刑務所で最近、労役場留置を体験した人が、作業はシール剥がし(ブラジャーとショーツのセットを取り付けるハンガーの、「C75」とかいうシールを剥がす作業)だとか言ってたっけ…。
 ハンガーを見て欲情するようになったら、本格的だ。ってなんの話や。

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擬制陳述

7月18日(金)その2

080718_12390001 restaurant またも厚生労働省(などが入ってる合同庁舎)の地下の食堂へ。よっぽど気に入ったんだね~(笑)。
 今日は、豚汁定食480円。きんぴらゴボウは唐辛子が効いてた~。ご飯は五穀米だそうだ(白米も選べる)。そういうの、私は好きなのyo。

clip 民事の開廷表マニア(?)の某氏から情報を得て、13時15分から東京地裁・民事5部(熊谷光喜裁判官)620号法廷で、「損害賠償」の第1回弁論。
 原告は、「名誉毀損」で懲役9年の判決を受けた被告人と同姓同名で、警視庁と国を被告とする訴訟なのね。

 同時刻に7件の期日が入っており、先に6件の判決が言い渡された。バーのなかに当事者の姿なし。原告席も被告席も空っぽ。民事は普通こうなのだ。
 6件とも、被告は原告に××万円を支払え、という判決だった。最高は6320万円。へえ。その当事者は双方ともスポーツ関係だった。ネットで検索しても、それらしい争いは見えない…。

 6件の判決言い渡しは6分ほどで終わり、7件目の本件は…。
 原告席は空っぽ。被告席には被告代理人が2人。
 原告が訴状を擬制陳述、被告が答弁書を陳述(いずれも、書面を確認して陳述したことにして)、それではこれで結審します、よろしいですね、と。判決期日を10月3日13時15分と決め、3分ほどで終わった。夏休みが入るにしても、10月は先すぎない?
 以下、民事訴訟法より。

第百五十八条  原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
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2008年7月18日 (金)

原判決を破棄する。被告人は無罪!

7月18日(金)その1

clip 10時から東京高裁・刑事5部(中山隆夫・田村眞・中島真一郎裁判官)803号法廷で、「窃盗未遂」の判決。
 これ、原審(東京簡裁)から、ひょんなことで傍聴し、のめり込んだ、電車内でのスリ未遂の、真っ向否認事件だ。『冤罪File』の創刊号と、拙著『裁判中毒』に書いた。
 原判決は懲役1年6月、執行猶予3年。高裁の開廷表にその被告人氏名を見つけ、高裁の審理も傍聴した。第1回は見逃してしまったが、4月21日の第2回、ゴトー巡査の証人尋問、5月19日の第3回、被告人質問、6月11日の第4回、弁論を傍聴した。
 ちなみに、第3回までの構成は、中山隆夫・服部悟・田村眞裁判官。第4回の構成はメモしてない。

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 そして今日、判決。
 被告人の妻が、いつもの位置にいた。今日は白い眼帯をつけていた。
 ほか傍聴人は、白いシャツに黒いズボンの、役人風の男性が4人、ぱらぱらと。それと、傍聴マニア氏が1人。奥さんも含めて6人。私も含めて、広い法廷に7人。
 …でも、まぁ、ダメだろなぁ。奥さん、あんなに頑張ったのに、可愛そうに、また泣くだろうなぁ、と私は傍聴席についた。

 9時59分、3人の裁判官が登壇し、判決。
「主文…」
 私は傍聴ノートに「本…」と書き始めた。「本件控訴を棄却する」だろうと。
 ところがっ!!
「原判決を破棄する。被告人は無罪」
 ああっ!! 喉の奥から息が絞り出た。妻が弾かれたように「ありがとうございます!」と泣き声で言い、その後しばらく、激しく泣きじゃくった。

 被告人の供述について、判決は、信頼できないとした。
 でも、初めて逮捕されて刑事手続きのなかに放り込まれる一般人は、エリート裁判官による紙の上での検討、にさらされることを想定して最初から詳細かつ合理的に矛楯なく供述できるわけではない。つか、そんなの到底ムリだ。仮に、詳細かつ合理的に矛楯なく供述したとしても、捜査段階でそれを書き取るのは、いったん検挙・逮捕したからにはメンツにかけて後へ引けない警察官、検察官だ。被告人の供述のあちこちを拾って、こことこことが矛楯するとか指摘するのは、相当に危ないこと(冤罪を生む1つの原因)と思う。
 では、なぜ無罪としたか。
 結局、ゴトー巡査の証言が信用できない、と判決はした。
「検挙の確かさを強弁するための作為的なものと認めざるを得ず…」
「ゴトー巡査がいわば功を焦り、被告人の手を掴んだことがあり得た可能性が認められる」
「なんとか辻褄(つじつま)をあわせようとするゴトー巡査の証言態度を裏付けるものである…」
「いささか誇張を含むものが多く見られる…」
 最初から否認なのに、被害者(とされる女性)の財布の指紋、駅の防犯カメラの録画の採取・入手が何ら検討されなかったこと、逮捕を補助したウチダミツノリ警部補の、捜査段階での調書が一切ないこと、「私の現認があるからそれだけで十分と思った」というゴトー巡査の原審証言も指摘された。
 そして、
「ゴトー巡査の証言に依拠して、ひと1人を有罪にすることは、できないというべきである」
 と中山裁判長は述べた。
 最後にこう述べた。
「捜査が十分に尽くされていれば、起訴されなかったかもしれない。その意味で、警察にも(検察にも?)良い教訓になったと思います」
 10時46分閉廷。
 秋山仁美検察官が、帰り際、妻にニッコリ声をかけた。
「長い間、お疲れ様でした」
 妻はまた激しく泣いた。

 私は思う。決定的な無罪の証拠がなく、水掛け論になれば警察・検察の勝ち。これは日本の捜査・裁判の絶対原則のはず。本件も控訴棄却でおかしくなかったはず。なぜ逆転無罪になったのか。傍聴席最前列で、毎回(第1回も当然そうだったのだろう)大きな荷物を持って見守り続けた、必死さが誰にもひしひしと伝わる、あの被告人の妻、あの妻の必死さが天に届き、天から裁判官らへ“何か”が降りた…きっとそういうことなんだよね、と私は思ったス。
 あ~! すごいのを傍聴してしまった。これは報道されるんだろうか…。

clip しばらく興奮をさまし、11時30分から東京簡裁・刑事1室3係(八木澤秀司裁判官)534号法廷の、「窃盗未遂」の判決を傍聴してみた。開廷表では12時00分までとなっており、そんなに長いってことは否認なんだろう、まさか電車内でのスリ未遂? と。
 被告人は身柄(拘置所)。深夜の仮睡盗で、東京簡裁で懲役2年、執行猶予4年の判決を受け、その確定から3カ月後の、深夜のJR山手線の電車内での仮睡盗の未遂、なんだそうだ。
 本件判決は、懲役1年6月、未決80日算入。
 被害者の尻ポケットに被告人の手指が入ったところを仮睡盗警戒の警察官らは見ておらず、しかし、当たり行為(つまり獲物となる仮睡者の物色)をしていたなど、全体からすれば、物に対する事実上の支配をおかす行為、の着手があったと見なすことができる、というふうなことだった。
 言い渡しが終わったのは、なんと12時26分! そんなのアリ!?

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オービスのパノラマ写真!?

7月17日(木)その2

clip 10時30分から東京簡裁(小川利行裁判官)728号法廷で、今週3件目の「道路交通法違反」の新件。
 法廷の外で、被告人と弁護人らしき2人が話してた。
「あの写真、引き延ばすっておかしいでしょぉ!」
 などと。ははぁ、オービス事件なのだな? オービスの写真は、運転者やナンバーの部分を引き伸ばして被疑者に確認させることがよくある。それがけしからんと言ってるんだろうか…。

 728号法廷の傍聴人は私1人。あ~、私はこういうのが良いわ。

 公訴事実は、首都高9号線下り、木場6-3のオービスⅢ(あそこにあるのはフィルム式だっけ?)による63キロ超過(測定値123キロ)。
 被告人は45歳。在宅。長めの金色ないし黄色の髪(脱色?)で、白いTシャツに、洗いざらしのジーンズ。よく日に焼けてガッチリしてる。
 罪状認否は、
「(起訴状の内容にどこか間違ってるところは)ないです」
 じゃあ、なんで略式に応じなかったのか。
 どうやら、こういうことらしかった…。
 最初に警視庁へ出頭したとき、測定値やフィルムのロール番号などが焼き付けられてない測定記録写真を見せられた。次に、顔とナンバーを拡大した写真を見せられた。3番目に、測定値やロール番号などが焼き付けられた測定記録写真(通常のもの)を見せられた。おいおい、最初の写真は何なんだ。いきなり測定値入りの写真を見せると、「やべぇ!」とか思って否認するかもしれないから、まずは測定値のない写真を見せ、写ってるのは自分だと確認させてから、という段取りなのか? ちょっと待てよ、最初の写真をもう1回見せろよ。そうこうするうち、住所地を管轄する千葉の検察庁から呼ばれ、4枚目の写真を見せられた…。
 被告人はその写真を「引き延ばしたの」と言い、昔懐かしいパノラマ写真のように、横に長いジェスチャーをした。ええ~っ? そんな写真はないはずだが…?
「俺はあの場で見たんですから。だからおかしいなと」
 と被告人。
 べつに妄想系の人とは思えない。
 裁判官も弁護人も検察官も、悩んでしまった。
 で、結局は、写真がどうであろうと、63キロ超過の事実があることは被告人も自白しているとおりであり、その事実に相当法条を適用し、求刑通り罰金9万円(相場の額)の判決となった。訴訟費用は不負担。
 11時06分閉廷。

060111009 pen フィルム式でも電子式でも、オービスの写真(ネガまたは中央装置へ送られた画像)は、測定・撮影の現場で測定値等のデータを焼き付けるのであって、ネガまたは画像はそれ1枚しかない。ただし、一部を拡大したり増感したりすることはできる。というのが、これまでの警察・検察・メーカーの動かざる言い分であって、本当かどうか確認できないけれども、とりあえず疑う材料はなさそう。
 被告人が見たという最初の写真は、被告人が言うとおり自白を得やすいよう、データ部分が見えないようトリミングしたか、データ部分を暗くしたか、そんなことかなと想像できる。
 だが、「引き延ばしたの」とは何のことか。
 閉廷後、珍しく被告人に話を聞いてみた。
 説明ではよくわからないので、紙に書いてもらった。すると、まさに横長のパノラマ写真で、車両はその左側に写っており、中央から右側にかけて、通行帯の区分線(波線)が見えた…らしい。
 ええ~っ!? オービスの画角は狭く、そんな後ろまで入らないはず。
 もし入るとすれば、別のカメラで撮影されたはず。もし別のカメラで後ろのほうまで写るんだとすれば、ときどきある、「後続の暴走車にあおられた」という主張の、真偽を確認できる。ま、その主張が真である場合、有罪にしにくいので、警察・検察はそんな写真は絶対出さないはずだけど。
 う~ん、とにかく、不可解な写真があったと言う被告人がいたことを、記憶にとどめ、今後のオービス裁判を傍聴していくことにしよう。
※ 画像は、岐阜県の中津川簡裁へ行ったときたまたま国道19号線で撮影できた、フィルム式のオービスⅢの、警察官による点検シーン。

080717_11450001 restaurant これで何日連続? またも厚生労働省(などが入ってる合同庁舎)の地下の食堂へ。さぁ、今日はナニ食べよっかなぁ。じゅるじゅる←よだれをすする音。
 ナスのなんとかパスタ400円が旨そうだったので、それにした。満足。400円だもの!

sun 裁判所へ戻り、午後の傍聴予定を念のため確認すると、13時15分から傍聴したかった「道路交通法違反」の判決期日が、なくなってた。その次は13時30分から「不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反」…。
 しばし考えた。私は「道路交通法違反」が専門だ。専門外の「不正アクセス…」がちょうど近い時間、しかも空いた時間にあるならいいが、わざわざそのために1時間以上待つようでは、いけない。己の分をわきまえる、これは武士道の基本精神でもあるはず。なんでそこで武士道が出る(笑)。
 ええいっ、と思い切り、すたすたと裁判所を出た。
 帰宅すると、まだ日が高く、めっちゃ暑かった。それで、コミセンのプールへ。平日の早めの時間なので、小学生たちはおらず、ほとんど貸し切り状態。この夏初めて20往復した。20往復すると、どっしり疲れるね~。近くの公園のベンチで、1時間ほど昼寝…。

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派遣社員がセクハラ→2chで名誉毀損

7月17日(木)その1

 ちょい電車が遅れて9時55分頃、裁判所着。正門と玄関の間に、40~50人の男女若者。うわぁ。引率の先生らしきが、何やら注意事項を告げてた。
「バラけて傍聴してください。大人数で狭い法廷を埋めないように」
 と言ってくれてるんだろうか…。 

clip 10時から東京地裁・刑事13部(佐藤晋一郎裁判官)802号法廷で、「名誉毀損」の新件。
 9時58分頃に入ると、セーラー服の女子中高生(中学生か高校生か、私ゃ区別つきません)が14人、同年代らしいがセーラー服ではない女子が3人。引率の先生らしきが1人。これで、20席の傍聴席が18席埋まってた。かろうじて座れた。

 被告人は身柄(警察留置場)。28歳。背骨の部分に縦線が3本入った、ジャージとしてはブランドものだろうグレーのジャージ上下。細いメガネ。目を半眼にして眉を吊り上げ、口先をちょっと尖らせる、それに近い面立ち。背は高め。
 ずらっと並んだセーラー服の女子中高生たちから、このシチュエーションで見つめられる気分は、どんなだろう…。

 起訴状・追起訴状の朗読および検察官の冒頭陳述、および甲号証の要旨告知によれば…。
 2006年3月、被告人は証券会社に派遣され、被害者B(37歳女性)に一方的に好意を寄せ、「Bさんの臭いが忘れられない。きれいだ」と抱きついてキスしようとしたり、エレベータで体を触ってきたりするようになった。エスカレートしてきたので被害者Bは怖くなり、上司である被害者A(49歳)に相談。Aが被告人に事実を確認すると、被告人は認めた。Aは派遣会社に連絡、2006年8月、派遣契約を打ち切った。すると被告人は、調査会社に依頼してBの住所を突き止め、車にイタズラするなどするようになった。Bはマンションを引っ越しせざるを得ないようになった。その後、被告人は、2007年の終わり頃(聴き取れなかった)から2008年1月にかけて、自宅や近所のネットカフェから、AとBの名誉を毀損する2chへの投稿を多数回にわたり行った。ヤフー掲示板にも、2chのそのスレッドのURLを掲載するなどした。AとBは警察に被害届を出した。AとBは、他に恨みを買う覚えがなく、投稿者は被告人しか考えられないと…。
 なお、罪状認否は、
「(起訴状に間違っているところは)ございません」
 だった。

 甲8号証までで、10時25分。
 10時30分から簡裁728号法廷で、今週3件目の「道路交通法違反」の新件があり、私はそっと退出。捜査段階でどんな調書を取られていたか、情状証人はあるのかないのか、被告人質問でなにを述べるのか、ぜんぜんわからないまま退出するのは無念だが、簡裁の「道路交通法違反」が最優先なのだ!
 802号法廷は北側の端っこ。728号法廷は南側の端っこ。急げ!

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2008年7月17日 (木)

あと1滴であふれて実刑

7月16日(水)その3

 さて午後は、13時15分から東京地裁426号法廷(江見健一裁判官)で、6月26日に第2回公判(かな?)を傍聴した「道路交通法違反」、の判決。飲酒運転で運転者と同乗の子ども2人が死亡した事故の、その同乗者とともに飲酒して車を提供した、かつ死亡した子ども2人の母親でもある女性が被告人、の事件である

sleepy 昨晩6時間しか寝てない。その前は、たしか2時間半だっけ。昼食後の傍聴は猛烈に眠くなるはず。少し居眠りしておこう、と12時30分頃、426号法廷のそばの待合室へ行くと、何かの事件の被告人の母親らしき年配女性と、被告人の友人らしき30代くらいの男性が2人いて、何やら話してた。
 ペンキ屋さんは1日1万8000円…稼ぐねぇ…60歳を超えると市役所のシルバー何とかに登録できて、仕事を紹介してくれる…ペンキ塗り、草むしり、植木…草むしりは時給800円くらい…市役所がいくらか抜くのよ…等々。
 あ~、眠れない。3人の話が面白い、のもさることながら、疲れすぎて神経が立ってるんだな、きっと。

punch 13時前に、待合室の外にドアの開閉音。もう法廷を開けたのか? 行ってみると、開いており、すでに数人の傍聴人が座ってた。後からあとからやってくる。あれ? この法廷(広い法廷)の傍聴席、前後に4列あるはずが3列しかない。なんだ? しかも、半分近くの席に白いカバーが。司法記者クラブの記者用だ。
 中央最前列はもう埋まっており、検察官席に近いほうの最前列、法廷画家氏の隣の隣に私は座った。
 13時05分、さっき待合室にいた3人が入ってきた。この「道路交通法違反」の関係者? いや、その前に何かの判決が入ってるんだっけ?

clip そのとおり、13時10分から「詐欺」の判決が入っていた。
 被告人は2人。なんと、やはり6月26日に傍聴した、交通事故の保険金詐欺の、別の被告人の判決だった。これで私は、首謀者と、その手下(てか)2人と、接骨院(整骨院?)の経営者と、3つの裁判をちらっとだけど傍聴したことになる。
 こっちの被告人は2人。1人は懲役1年4月、未決30日算入。もう1人は懲役2年、執行猶予4年。実刑のほうは再び手錠・腰縄をつけられ、猶予のほうはつけられることなく、記者席を除いて満席の傍聴席の前を、脇のドアから出て行った。すぐに、さっきの待合室の3人が席を立った。どっちの被告人の母親だったんだろう…。

clip そうして、13時15分からだいぶ遅れて、「道路交通法違反」の判決。
 被告人は、膝上の丈の、黒い洒落たワンピース。膝の下まで、黒い洒落た網模様のタイツというかストッキング。足首のところをストラップというかベルト、が1巻きする、ヒールの高いサンダル。そして、長い茶パツ。
 懲役3年、執行猶予5年、猶予の期間中、被告人を保護観察に付する。
 執行猶予をつけられるのは、懲役3年まで。猶予期間の最大は5年。しかも保護観察付き。だからこれは、コップに水を満々とたたえて、あと1滴でも足したらあふれて実刑だよ、という判決なわけだ。
 「車で行こうよ」とは言ってない、と被告人は主張してたわけだが、それは信用できないとされた。理由は、要求・依頼の言葉をダイレクトに発してなくても、経緯からは要求・依頼があったと認められるから、だったか、単に検察の主張を鵜呑みにするだけだったか、わからない。途中から全身の血管内に睡魔が満ちて…。
 13時40分閉廷。

clip 14時から高裁720号法廷で、6月11日に控訴審第1回を傍聴した「窃盗、強盗未遂」の判決。
 被告人は、アルコール症(だった)そうだが、趣(おもむき)あるヒゲをたっぷりたくわえ、坊主頭で、正直で優しそうな、ちょっと少林寺の僧のよう。台東区の武道店で、店の者が他の客に対応している間に、模造刀数振り(うち2振りは約4万円)を万引きして逃走、その後、そのうち1振りの切っ先をコンビニの店長に突きつけるなどして強盗しようとしたが、店長は強盗が来たら撃退してやろうと腹構えしており…。
 前科・前歴なしで、原判決は懲役3年、未決30日算入。
 控訴審の判決は、控訴棄却、当審における未決70日算入、訴訟費用不負担。
 田中康郎裁判長は、上告はできるけれども、上告審は未決算入の考慮がない、上告棄却までに4カ月かかれば4カ月まるまる出所が遅れる、一方、日本には仮釈放の制度がある、刑期の8割を努めたところで仮に釈放する運用がある、あなたは前科・前歴のない、真っ当な人なんだと思いますから…と長々説明してた。
 罪名に「強盗」の2文字さえ入らなかったら、間違いなく執行猶予のケースだったんだろう。

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