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2018年10月23日 (火)

酒酔い運転の「大丈夫バイアス」

 以下は10月22日付け朝日新聞、の一部。

4人死亡事故、飲酒運転130キロで追突か 男性聴取へ
 青森県つがる市の国道101号で9月、車4台が絡み4人が死亡した事故で、4台のうち1台の乗用車が飲酒運転の上に時速約130キロで暴走し、他の車に次々にぶつかったとみられることが、捜査関係者への取材でわかった。県警は自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで、この乗用車を運転していた30代男性から事情を聴く。
        (中略)
 最初に追突した乗用車には30代の男性3人が乗っていた。関係者によると、3人は小中学校の同級生で、前日から運転者の自宅でバーベキューをして飲酒。さらに酒を飲もうと別の場所に移動する際に事故を起こしたという。運転者を含む2人が胸などを骨折する重傷、残りの同乗者1人は軽傷を負った。同乗者は朝日新聞の取材に「酔っていて覚えていない」と話した。

 この種の事件の裁判を私は何件か傍聴している。 
Img_1427 2008年のあの事件については、運転者本人の裁判と、同乗者2人の裁判を傍聴した。世間が思う悪質さとは異次元のレベル。運転者は懲役16年、同乗者は2人とも懲役2年とされたが、そんなことに何の意味があるのか、と思った。

 飲酒運転者への車両提供罪と要求依頼同乗罪を初めて適用された事件も、発生は2008年だった。
 その裁判について当時の『ラジオライフ』でレポートした。若干筆を入れて以下に再掲しよう。

 さらりと長い茶パツの、面長の女性(35歳)が、被告人席にひとりぽつんと座っていた。服装は上から下まで真っ黒。3人が死亡した事件の被告人として、喪に服しているのか。
 けれどよく見れば、襟元が大きく開いた膝丈のワンピースらしき服には、何やら目立つヒラヒラが。その下は、網目模様のストッキング、足首にストラップが付いたヒール。どれも真っ黒ではあるが、それって「シックに決めてパーティへ♪」の格好なのでは?

 この裁判を私は第2回公判から傍聴した。事件名が、1日に何件もある「道路交通法違反」のため、第1回公判をつい見逃してしまったのだ。
 だが、ただの道交法違反ではなかった!

 2007年9月19日、飲酒運転者への罰則が大幅強化。同時に“周辺者”の処罰規定が道路交通法に新設された。
 すなわち、①飲酒運転者への車両提供、②飲酒運転の車への要求・依頼しての同乗、③これから運転をする者への酒類提供、その3つが新たに処罰の対象とされたのである。最高刑は懲役5年。重い。
 今回の「道路交通法違反」は①と②の罪による、全国初の裁判なのだった。

 事件の内容は、すでに大きく報道されていた。東京都江戸川区内のアパートで2008年1月の夜、被告人は隣室の男性N(35歳)方で一緒に飲酒した。
 その後、自分の車をNに運転させ、被告人の子3人とNの子2人を乗せ、定員オーバーの合計7人でファミレスへ行き、さらに飲酒した。
 翌日未明、泥酔して猛スピードで運転したNはカーブを曲がりきれず街路樹に激突。Nと、被告人の長女(15歳)と次男(8歳)の3人が死亡。ほかは重軽傷…。

 ほぼ満席の傍聴人の前で、被告人質問が始まった。

弁護人 「前回(の裁判で)、あなたは『車で行こうよ』とは言ってないと、運転を依頼したこともないということでしたね?」

 N宅で酒を飲んでいるとき、「サイゼ(ファミレスのサイゼリア)へ行こう」という話になり、子どもが「チャリで行こう」と言ったが、被告人は「寒いからヤだよ。行くならタクシーで」と言い、最終的にNが被告人の車(日産グロリア)を運転して行くことになったというのだ。

被告人 「『車で行こうよ』と言葉では言ってないですけど、事実上依頼した事になるって(捜査段階で)言われました」
弁護人 「サイゼリアへ自分も乗って行くつもりだった、そこはお互い了解していたんだろうと?」
被告人 「はい」
弁護人 「そのことをもって依頼した事になるのは、よろしいか?」

  そう、「要求依頼同乗」は黙示の場合でも成立するとされている。
 しかし警察官は、習性とでもいうか、明示の要求依頼をしたと調書に取りたがる。

弁護人 「『車で行こうよ』と言ったと調書に書かれて、それは違うという話はしましたか?」
被告人 「しました」
弁護人 「訂正を求めましたか?」
被告人 「でも、結局はこういうことでしょって言われて…」
弁護人 「調書全体を読み聞かせてもらって、そのとき訂正は?」
被告人 「それまで直してくれなかったから、もう出来上がっちゃったし仕方ないかなって…」
弁護人 「調書には署名しないことができるって知ってましたか」
被告人 「知りませんでした」

 この点について、検察官は苛立った調子でこう責めた。

検察官 「調書に署名・指印するってどういう意味があるか、分かりますか!? それは常識的に知ってる事じゃないんですか。あなた、警察が書いたら何でも署名するんですか!?」

 あ~、またこれだ。調書でのこういうやり取りはしょっちゅうある。
 調書に署名・指印したら、そこに書かれたことが事実と違っていてももうオシマイ、とは一般人は知らないこと、警察は調書の訂正にはなかなか応じないことを、若いエリート検察官は知らないのだ。調書絶対信仰は根深い。

 Nが運転したグロリアは、ずばり被告人の所有とは言えないようだった。

被告人 「最初はNが欲しいって言って買って(カネを払ったのもN)、なかなか名義を変えてくれなくて、車検のとき、じゃ車検代は私が出すからって、私の100%所有になりました」

 しかしNはその後も自由にグロリアを運転し、いつも給油して返していたのだという。
 始まってから45分ほどで被告人質問が終わり、これで証拠調べは終了。
 検察官が論告・求刑を行った。

検察官 「Nは(サイゼリアで)次々と生ビールや焼酎のフルーツ割を飲酒し、血液中のアルコールは2.7ミリグラムもの酒酔い状態だった…」

 ええっ! 呼気1リットル中0.15ミリグラムまたは血液1ミリリットル中0.3ミリグラムのアルコールを保有していれば酒気帯び運転とされる。血液中2.7ミリグラムは基準の9倍だ!
 『図解交通資料集』(立花書房)に「飲酒酩酊度の区分表」がある。血液中2.5~3.5ミリグラムは「第三度(麻酔期・泥酔」とされ、「運動や知覚の中枢のほか、大脳や脊髄の反射機能は完全にマヒし、無意識無感覚の状態となり、水をかけても、針で刺しても全く感じなくなる…」とある。それを超えると「所かまわず倒れ、昏睡状態になり…大小便は垂れ流し…」だそうだ。

 Nの検査値はもう運転など到底できる状態ではなかったのだ。なのに運転し、毎時30キロ制限の道路を毎時80キロ近い速度で飛ばしたのだ、それもグロリアという大きな重い乗用車で。うわぁ! である。

 求刑は懲役3年。続いて弁護人が弁論。

弁護人 「車の名義は被告人だが、共同で支配していたとも言える。単独で所有する者が自由意志で車を提供したのとは大いに違う。被告人は悔やんでも悔やみきれない日々を過ごしている。残された長男に母親の存在は不可欠で、執行猶予の判決を…」

 最後に、被告人が証言台の前に立って最終陳述。

被告人 「私の軽はずみな行動がこんな事件を起こしてしまい、ほんとに申し訳ないと…」

 被告人の後ろ姿は、背が高くて足がすらりときれいだった。
 3週間後、判決が言い渡された。この日は報道のテレビカメラが入った。

裁判官 「主文。被告人を懲役3年に処する。この裁判が確定した日から5年間、その執行を猶予する。その猶予の期間中、被告人を保護観察に付する」

 懲役3年は執行猶予を付けられる上限だ。それを超えると猶予は付けられない。そして猶予期間は1~5年と決まっている。5年は最長。かつ保護観察付き。だからこれは、猶予付きでは一番重い、実刑ギリギリの判決と言える。
 この日の被告人は、膝丈のワンピースの下に、網目模様のレギンスだった。そんな服装に違和感を覚えるのは、私がオヤジだからであり、被告人の反省や悔悟にウソはないのだろう、とは思うのだが。

 あとになれば「悔やんでも悔やみきれない」ことを、つい調子に乗って、あるいは特に考えずやってしまう、それが人間ってものなのだろうと思う。
 どうすればいいのか。他人の事件・事故のニュースを見て、自分の行動を戒める?
 いやそれは期待できない。

検察官 「飲酒運転による悲惨な事故が度々ニュースになっている。あなたは見たことがないのですか」
被告人 「見ました」
検察官 「じゃあなぜ今回の飲酒運転を!」
被告人 「自分は大丈夫と思いました。結局(ニュースは)他人事だったというか…」

 これがまぁお決まりのパターンだ。
 正常性バイアスに似た「大丈夫バイアス」か。

 ←8月23日10時20分現在、週間INが170で1位~。confident 

2018年10月22日 (月)

新聞のネット記事の「更新」で新発見!

 諸君! 非常に興味深いことが偶然分かった。これってば誰もあんまり気にしてなかったマニアック・スクープでね?
 まず、以下は10月3日付け神奈川新聞の記事だ。

法廷で刑務官の頰を鉛筆で突き刺す 公判中の被告逮捕
 神奈川県警加賀町署は2日、公務執行妨害と傷害の疑いで、千葉県八街市、無職の男(51)を現行犯逮捕した。
 逮捕容疑は、同日午後1時40分ごろ、横浜市中区日本大通の横浜地裁法廷で、横浜拘置支所の男性刑務官(29)の右頬に鉛筆を突き刺して職務の執行を妨げた上、1週間のけがを負わせた、としている。調べに対し「一切記憶にない」と容疑を否認している。
 署によると、容疑者は器物損壊罪の被告として公判に出廷していた。鉛筆は筆記用に所持を許可されていたという。地裁職員が署に通報し、駆けつけた署員に引き渡した。

 これを私はメルマガ第2165号の編集後記で引用(コピペ)し、なんと現場を目撃したマニア氏から聞かせてもらった貴重な詳細を報告した。
 一部だけ言うなら、被告人は刑務官6人によりたちまちねじ伏せられ、それから担ぎ上げられ、アンパンマンが両手を前に突き出して空を飛ぶように、連れ出されたという。たかが編集後記でそんなことも書いちゃうのがメルマガ「裁判傍聴バカ一代」なのである。バカでしょぉ(笑)。

 それでだ、今回当ブログにもアンパンマン云々のことを書こうと思いつき、当該記事をまた開いた。こうだった。

法廷で刑務官の頬を鉛筆で突き刺す 地裁公判中の被告を逮捕
 加賀町署は2日、公務執行妨害と傷害の疑いで、千葉県八街市、無職の男(51)を現行犯逮捕した。
 逮捕容疑は、同日午後1時40分ごろ、横浜市中区日本大通の横浜地裁法廷で、横浜拘置支所の男性刑務官(29)の右頬に鉛筆を突き刺して職務の執行を妨げた上、1週間のけがを負わせた、としている。調べに対し「一切記憶にない」と容疑を否認している。
 署によると、容疑者は器物損壊罪の被告として公判に出廷していた。鉛筆は筆記用に所持を許可されていたという。地裁職員が署に通報し、駆けつけた署員に引き渡した。

 ん? となった。
 いや我ながらよくそんなことに気づいたねぇ、と感心する。
 前者の記事のタイトルに「公判中の被告逮捕」とある。
 後者の記事ではその部分、「地裁公判中の被告逮捕」となっているじゃないかっ!

 よくよく見ると、タイトルのすぐ下にこうある。

公開:2018/10/03 19:33 更新:2018/10/03 19:49

 ははーん、「公判中」を「地裁公判中」と16分後に更新したのだね!
 ほかにも更新箇所はないか、よぅく見てみた。
 あった。前者の記事の冒頭は「神奈川県警加賀町署は2日…」であるところ、後者の記事は「加賀町署は2日…」となっている。
 私の精査によれば、ほかに更新された部分はない、と思う。

1810161 「公判中」を「地裁公判中」とした、これは分かる気がする。
 テレビや新聞は、全く興味のない人、全く無知な人をも対象とする。「公判」とは、いわば刑事裁判における公開法廷での裁判手続きなのだが、そんなこと普通は知らない。「公判」という熟語は一般になじみが薄いはず。「公判中」と見て「大判焼き?」と思う人もいたりして。
 そこを上司から指摘され、「ええ~、めんどくせえな、じゃあ地裁の2文字をくっつけておけ」となった…のかも、かも。

 そこまでは分かる気がするのだが、なぜ「神奈川県警」の5文字を減らしたのか。
 なるほど加賀町署は横浜地裁の近くにある。横浜地裁は管轄内なのだろう。でも加賀町署こそ、地元の方以外は知らないのでは? 正直私も知らなかった、申し訳ない。
 「神奈川県警」の5文字があるほうがいいのでは?

 ただ、「神奈川県警加賀町署」だと漢字が9文字続くことになる。そういう場合、私だと「神奈川県警の加賀町署」とするが、新聞社としては「の」でつなぐなど間抜けすぎる、ということかもしれない。
1810162 かといって読者の多くは漢字9文字連続に耐えられない。かといって「加賀町署」を省いて「神奈川県警」だけとしては誤報になる。県警本部が出張ったことになるから。逮捕手続きをとったのはあくまで加賀町署…。
 つーことで「神奈川県警」の5文字を減らした、のかも。
 あるいは、タイトルで2文字増やしたから本文で2文字以上減らさねばならず…とか?

 ネット記事には公開日時と更新日時がよくある。どこが更新されたのか、今回初めて発見した。マニアはこういうところに興奮するのである(笑)。

 なお、刑事は検察官vs被告人、民事は原告vs被告、なのだがマスコミは徹底的に刑事の被告人を「被告」とする。その理由は何なのか、いずれ調べようかと。

 などと言いつつメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代」、10月は以下の9号を発行した。

第2168号 すべてマニュアルどおりにやった集団準強姦
 リアルナンパアカデミー(RNA)の塾生の「準強制性交等、集団準強姦」の判決。3週間前に言い渡されていた別の塾生の判決をあわせ、検察官の求刑は軽すぎたようだ。  編集後記は最近“流行”の逃走について。逃走にはじつは3種類あり…。

第2167号 生後2カ月の女児の解剖を執拗に求められ
 フジテレビへ車で突っ込んだ事件を傍聴するはずが、ついふらふらと記者クラブの記者たちについて行き「殺人」(裁判員裁判)の法廷に入ってしまった。被告人はちょっとアイドル顔の若い女性。生後2カ月の長女を殺害したと大きく報道された事件なのだった。  編集後記はあの『交通の教則』に起こった異変について!

第2166号 人格障害の20歳、元カノの母親を牛刀で
 「人質による強要行為の処罰に関する法律違反、殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、住居侵入、窃盗」という長い事件名の裁判員裁判、の判決を傍聴してみた。元カノのあることに激昂し鹿児島から車を運転して上京、元カノの母親を…! 警察の特殊部隊が閃光弾を投げ込んで制圧したのだそうだ。犯行時20歳…。

第2165号 失礼ながら、弁護人多くして事件山に登る?
 いわゆるシルバーストーカーの事件。同じ女性を執拗に追いまわし、とうとう実刑判決。服役で果たして収まるのか。  プラス、弁護士が裁判所のトイレに“放火”したとされる事件。弁護人はなんと10人。最終弁論を聞き、私が弁護人なら…とちらり思いました。

 以下の3号は10月14日にお知らせした

第2164号 あの寺澤、あの今井と警察官は気づかずに
第2163号 築地市場、ターレットトラック、無免許運転
第2162号 そのセリフ、裁判官が堂々と言うかねっ!

 以下は10月7日にお知らせした

第2161号 シャブと言うだけで心臓バクバク、汗が出て
第2160号 集合ポストの迷惑チラシ業者を詐欺った男!

 いま購読登録すると、以上9号がどどっと送信される。そして月末まであと4号が順次送信される。面白いよっ。私はもう30年以上も物書きで食ってきたが、こんな読み物は唯一無二、誰も書けないと思う。ぜひ試し読みをしてみてください。

※ 画像はマニア氏からのいただきもの。最初、えーっ、なにこれ珍百景! と驚いたが、岐阜県、近江鉄道の“パトバス”らしい。こういうのをラッピングバスというらしい。へ~。

 ←8月21日0時00分現在、週間INが160で2位~。confident 

2018年10月20日 (土)

放置違反金、滞納処分と報道宣伝

 交通違反の不出頭者をまとめて何人逮捕しました、と同様、放置違反金の滞納処分をしました、という報道も年に何回か必ず見かける。
 以下は10月19日付け読売新聞の一部。

違反金滞納なら…漫画やフィギュアも差し押さえ
 京都府警は今年から、駐車違反の放置違反金の滞納者に対する差し押さえの対象を比較的、安価な漫画本やフィギュアなどにも拡大した。オークションサイトに出品して滞納金の回収に充てる。こうした物品まで差し押さえるのは全国でも珍しいといい、府警では「逃げ得は絶対に許さない」としている。
 放置違反金の滞納額は、昨年度までの累積で全国で約37億3000万円。京都府内でも約9100万円に上る。これまでは給与や車などを差し押さえていた。今年はすでに昨年の10倍以上、101件(12日現在)の差し押さえを実施し、競売サイトに出品するなどして換金している。
 競売での落札額は計約10万円にとどまるが、愛着のある物品を手放すのを嫌って差し押さえ前に支払うケースも多く、約300万円の回収につながっている。
 19日は京都市伏見区の集合住宅の一室を府警交通指導課員が訪問。住人の30歳代女性は約3年にわたって府警の納付命令や督促を計19回無視し、放置違反金と延滞金計3万8200円を滞納しており、ゲーム機などを差し押さえることを伝えると、知人に金を借りて支払ったという。

 「フィギュアも」というところがインパクトがあって良い記者発表だと思う。京都府警さん、二重丸です。警察庁の評価も高いはず。

 この方面のネタを私が書くとどうなるか。2013年9月に『ドライバー』に書いた原稿を、若干筆入れして以下に。 面白いよっ。だって本人がチョー面白がって書いてるもんhappy02

 交通警察官向けのマニア雑誌『月刊交通』(東京法令出版)。その6月号に、駐車取り締まりについての特集が載っている。
 新しいペナルティ「放置違反金」(以下違反金)の未納額が100億円を超え「順次、消滅時効を迎えている状況」にあるので、気合いを入れて頑張りましょう! という特集なのだ。どうです、わくわくするでしょ(笑)。

 まずは現状について基本的なデータをいくつかご紹介しよう。
 2012年6月1日時点で、駐車取り締まりの民間委託をやっているのは全国387警察署の管内。
 ちなみに警察署の総数は、これは今、警察庁に電話してみた。今年4月1日現在、全国に1173署だそうだ。交番は6248カ所、駐在所は6614カ所。駐在所のほうが多いとは、へぇ~。クイズ番組にいいんじゃないですかね。

181018 民間委託の入札に参加したい業者は、あらかじめ公安員会に登録する。新制度のスタートは2006年6月。「新しい仕事でイッパツ儲けよう」と、いろんな業者が登録した。2006年の登録数は1470件。
 しかし警察は、当初は1年間だった契約をだんだんと3年、5年へ変え始めた。小さな業者は参入しにくくなった。登録はめきめき減り、2011年はたった371件に。

 入札をクリアした契約業者は、2012年10月1日現在60社にすぎない。
 60社の内訳は「警備業」が40、「ビル管理業」が13、「特殊民法法人」が2、「その他」が8…。
 全国展開の大手警備業者が全国で多数の契約を取っているのが現状のようだ。
 ちなみに警備業法は警察庁所管の法律。警備業者は警察庁傘下ってことになるのだ。

181018_2 そんな業者に「駐車監視員」(以下監視員)として雇われるためには「資格者証」の交付を受ける必要がある。高額の講習を受けたり、3万数千円かかる。
 制度スタートの前年、1万41人が資格者となった。更新がなく生涯有効なこともあり「新しい資格をいっちょ取っておくか」って人が多かったのだろう。じつは私も資格者証を持っている。きゃっ。
 その後、年ごとの交付数はぐんぐん減り、2011年末現在の累計は2万6079人だ。
 それでも多すぎるくらい多い。現在、実際に監視員として稼働してるのはたった2014人とは、これもクイズのネタになりませんかね。

 さてさて、興味深いのは「放置違反金の未収対策」という記事だ。警察庁交通局の課長補佐氏がこう書いている。

収納未済件数は、平成23年度末の累計で約80万件、金額にすると約107億円にのぼり……徴収権が時効を迎えたため不納欠損したものは、平成23年度末で約5万8000件、金額にして約8億円になる

 一定期間がすぎると債権(金を徴収する権利)は消滅する。消滅時効という。放置違反金(以下違反金)の消滅時効は5年だ。
 違反金の誕生は2006年6月。5年後は2011年(平成23年)5月末。この間、消滅時効はない。
 つまり、消滅時効による不納欠損が生じ始めてから11カ月間の不能欠損が8億円ってこと。今後、必死になって徴収しなければ、不納欠損はどんどん累積していく。

 もちろん警察は、預金を差し押さえたりして強制徴収ができる。それを「滞納処分」という。だが、課長補佐氏は続けてこう書いてる。

平成24年中の滞納処分の実施数は、前年よりも1353件増加しているものの、全体で1万7088件にとどまり、未収件数に比べると遙かに少ない

 収入未済の累計が約80万件に対し、2011年中の滞納処分は約2%。マジやばいのである。
 じゃあ、どうするか。滞納処分を効率的に実施することはもちろん大事だが……。

それ以上に、滞納処分を積極的に広報し、他の滞納者に警鐘を鳴らすなどの効果を最大限に引き出す方策や、滞納処分に至る前段階で、いかに任意納付を促すことができるかがポイントとなる

  警察庁は今年の道交法改定で、銀行や郵便局だけでなく24時間営業のコンビニでも違反金を払えるようにした。

任意納付の機会が拡大されることにより、任意納付の大幅な増加が期待できる

 なるほど~。
181018_3 さらに、「催告状」や「最終催告状」の封筒を赤や黄色にして注意を喚起している警察もあるそうだ。
 もうひと工夫を加え、「財産の差押えについて」という赤紙を同封している警察もあるという。納付しなければ「財産を差し押さえる」こととなる、その際、「財産調査をした上、事前連絡することなく実施」すると告知。差し押さえの対象は「不動産、自動車、銀行貯金等、給与等、その他財産」だと記載して。これはだいぶ効果的だそうな。
 やっぱり滞納処分は手間がかかる。自発的に払うよう仕向けるのがベストだよね。

 ところで、歩行が不自由なお年寄りなどに交付され、標識による禁止場所に駐車しても違反とされない「除外標章」、その不正使用がけっこうあるんだという。
 特集記事の1本は、それをどう検挙したかという愛知県警のレポートだ。

 有名な繁華街、名古屋市中区錦3丁目、通称「錦三」に、怪しい除外標章を掲示したクルマが3台あった。調べると偽造だった。「張込み、尾行捜査等を深夜に及ぶまで継続して実施した結果」、運転者3人を特定できた。
 だが、「偽造有印公文書行使」で立件するためには、偽造であるとの確実な認識が必要となる。知らなかったと言い訳されては困る。そこで……。

仮に偽造性を否認されても被疑者に言い逃れをさせない方法として、被疑者の行為が駐車監視員の確認事務(※駐禁ステッカーの取り付け)の妨害に当たる行為だとして……検察庁との協議を重ね、偽造の認識の有無を必要としない偽計業務妨害罪にて強制捜査で臨むこととした

 難しいケースは検察庁と協議して、確実に有罪にできるやり方をとるのだ。
 3人を逮捕すると、案の定、「拾ったもので偽造とは知らなかった」と弁解。しかし偽計業務妨害罪でばっちり送検。3人とも罰金30万円とされたそうだ。

 大阪府警のレポートも載っている。「車検拒否制度」により無車検・無保険となったクルマを運転した13人を逮捕。同時に、13人分合計415件、625万6000円の違反金を徴収したなどと。
 そして結びにこうある。

テレビ、新聞等のマスコミに大きく報道され、放置違反金の滞納や除外標章の不正使用について社会の警鐘を鳴らし、滞納していた放置違反金を自主的に納付する者も現れる等大きな反響を得た

 悪質なケースをガツンと逮捕し、高額の違反金を強制徴収し、大きく報道させる。その宣伝効果で、違反金の未納や新たな犯罪を抑止する、そういう作戦なんだね。
 私としては、そもそも駐禁規制の対象を悪質な迷惑駐車だけとし、「このルールはみんな守らねば」との認識を社会が共有するようになるのがいちばんいいと思う。
 でもそれだと大量に取り締まれず〝収益事業〟として成り立たない。うーん、警察もつらいよ。私もつらいです。 ←お前は関係ないだろっ(笑)。

 放置違反金の納付命令の件数は、「約束が違うじゃーん!」と地方自治体が泣きたくなるほど減少している。交通取締り全体も減少し、交通安全協会は火の車、という原稿は間もなく発売となる『ラジオライフ』に書いた。
 運転免許の更新時講習等のテキスト『交通の教則』はタイトルが変更され、なんと…! という話はメルマガ最新号、第2167号の編集後記に書いた。

 ところで諸君、大変なニュースがある。
 究極の居酒屋「昭和」が、嗚呼、諸行無常、11月30日で閉店、終了となる。昭和という時代が終わるのである。
 11月30日までの間、ひんぱんに「昭和」へ通いたいが、しかし単行本原稿があり…。単行本はいつでも書ける、「昭和」は今しかない、と言っては編集長氏からぼっこぼこ叱られる。ほらね、私もつらいのですよ。

 画像3点は10月18日の「昭和」の酒肴だ。
 画像上は、煮物と、フライドチキン。画像下はサンマ焼き。いずれもチケット1枚。画像中は、まぐろ刺身とシメサバ、の食べかけ。これはチケット2枚。チケットは10枚綴りで1200円。消費税なし。こんな店がなくなる、日本国にとって大きな損失と言わざるを得ない。諸行無常と分かっちゃいるが、でも悲しい。

 ←10月20日8時10分現在、週間INが150で2位~。happy02

2018年10月17日 (水)

交通のひんぱんな道路でのスケボーは5万円以下の罰金

 道路交通法(以下道交法)はそんなことまで禁止してくれてるの? と思った方が多いかも。
 以下は10月15日付けTBSニュース。

歩道をスケートボードで走行、男性2人を道交法違反容疑で書類送検
 歩道をスケートボードで走行したとして、20代の男性団体職員2人が道交法違反の疑いで書類送検されました。
 道路交通法違反で書類送検されたのは、栃木県さくら市に住む25歳と26歳の男性団体職員です。警察によりますと、2人は先月22日、宇都宮市の歩道をスケートボードで走行した疑いがもたれています。
 道交法は、交通のひんぱんな道路でスケートボードなどで走行する行為を禁じていますが、2人は、歩道上の同じ場所を何度も行ったり来たりし、近所に住む人から「うるさい」と警察に通報が寄せられていたほか、2人のうち1人は以前、警察から警告も受けていました。警察はこうした点を重くみて、今回、書類送検に踏み切ったということで、2人は容疑を認め反省しているということです。

 そんなことまで禁止しているのである。
 以下は道交法。スケートボードは、第4項第3号の「これらに類する行為」にばりばり当たると解される。
 でも逆にいえば、交通のひんぱんな道路でなければスケボーやサッカーごっこをやることは道交法違反ではないわけだ。違法とする法令や判例がなければ何をやってもいいってもんじゃないが。

(禁止行為)
第七十六条
 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
 一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
 二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
 三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
 四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
 五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
 六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為

 罰則は、第1項、第2項については6月以下の懲役又は10万円以下の罰金、第3項については3月以下の罰金又は5万円以下の罰金、第4項については5万円以下の罰金だ。

181015 スケートボードは反則金制度の対象ではないので、郵便局か銀行に反則金を払ってオシマイというわけにはいかない。
 じゃあどうなるかというと、検察に送致され不起訴となるだろう。

 どうせ不起訴の違反を取り締まってもバカらしい?
 いやいや、こうして全国報道され、一罰(一不起訴)百戒、みせしめになる、警察威信の発揚にもなる、広告効果は数億円。そんなこともあったりして世の中は動いていくわけだ。

 んなことより第4項第1号「道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと」も禁止されて刑罰(5万円以下の罰金)の対象になっていること、知らなかったよねぇ。
 「交通の妨害となるような程度」ってなんだ。
 第4項第7号の公安委員会が「定めた行為」ってなんだ。
 んなこと書き始めれば長くなる。またの機会に。

※ 画像は15日(月)の家飲みの酒肴。鶏もも肉を焼きやすく切り、塩胡椒とニンニクで焼いてから、ドジョウインゲンを加えてさらに焼いたのを、タマネギとキャベツと赤青ピーマンのスライスを米酢と何かドレッシングでまぶしたやつの上にのせた。うまかった~。組み合わせが絶妙なんだわね。

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2018年10月14日 (日)

築地市場、ターレットトラック、無免許運転

 いわゆる交通裁判所で職員になりすまし、罰金を預かるとだます詐欺はたまにあるみたいだが、こういうのは私は初めて聞くかな。
 以下は10月11日付けNHKニュース。

「交通違反の罰金」とうそ 女逮捕
 「交通違反の罰金を払うためカネを貸してほしい」とうそをつき、一関市の知人男性から現金100万あまりをだまし取ったとして20歳の女が詐欺の疑いで逮捕されました。
 逮捕されたのは、住所不定で、自称飲食店従業員の■■■■容疑者(20)です。
 警察によりますと■■容疑者はことし8月中旬、一関市に住む20歳の知人男性に「交通違反をして罰金を払わないといけなくなった。カネを貸してほしい」などと嘘をつき、数回にわたってあわせて現金100万円あまりをだまし取った詐欺の疑いが持たれています。
 警察では、知人男性から出された被害届をもとに捜査した結果、■■容疑者の容疑が固まったとして、10日、逮捕しました。
 これまでの調べに対し、詐欺の容疑を認めているということです。
 ■■容疑者は、知人男性から現金でカネを受け取っていたとみられ、警察で詳しいいきさつを調べています。

 普通に想像すれば、悪いキャバ嬢がなんだかんだと男をだまして金を巻き上げること自体は特別珍しくないが、欺しのネタとして「交通違反の罰金」は珍しいのでニュースになった、そういうことかと。

P1010789 にしても、20歳の男が飲食費以外になぜ100万円も出せたのか。普通に想像すれば、オレオレ等の特殊詐欺のメンバーか? となる。
 裁判傍聴師が想像すると…。
 男は架け子グループの一員で、上位者から渡された名簿をもとに次々とオレオレ電話をかけていたところ、何百万円、何千万円の詐取金のほとんどが上位者へ渡ってしまうのがアホらしくなり、名簿で知ったお年寄りへ勝手に密かに詐欺電話をかけ、組織からの派遣ではない自前の受け子に現金を取りに行かせ、だいぶ稼いだ、とか?
 いやいやそれは妄想的想像であり、普通にお金持ちのご子息だったのかもしれないです。

 さてメルマガ「今井亮一の交通違反バカ一代」、9月は以下の5号を発行した。

第2164号 あの寺澤、あの今井と警察官は気づかずに
 テレビ・新聞は知らん顔だけども歴史的に重要な事件というのがある。たかが37キロ超過のスピード違反なのに、4年にわたり26回の公判を重ねた事件がある。なんと被告人は寺澤有さん! 埋もれさせるのは残念。少しずつレポートしよう。

第2163号 築地市場、ターレットトラック、無免許運転
 ブログ「交通違反バカ一代」のアクセス数が突然ぎゅいんと増えた。築地から豊洲へ移るに当たりターレットが大移動、と報じられた影響かも。つーことで今号はターレの無免許の裁判をレポート。中学は1年しか行かず、身内とは音信不通、ずっと「魚の仕事」で生きてきたという小柄なおじさんの、その生き様に私は感動した!

第2162号 そのセリフ、裁判官が堂々と言うかねっ!
 珍しく弁護人なしの事件だった。そのため裁判官が被告人に対し、いろいろぶっちゃけ説明した。ほ~、いつものあれはそういうことだったのか、非常に勉強になった。でも、おいおぃそれはないだろっ! ということまでぶっちゃけ語ってくれて…! 

 以下は10月7日にお知らせした

第2161号 シャブと言うだけで心臓バクバク、汗が出て
第2160号 集合ポストの迷惑チラシ業者を詐欺った男!

 いま購読登録すると以上5号がすぐ送信される。そして月末まであと8号が順次送信されます~。

※ 画像は、昔懐かしい農林水産省地下の第5食堂。年配の方はこれ見て泣いちゃうんじゃないか。私もいっしょに泣きましょう。crying

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