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2023年9月28日 (木)

「道路交通法違反」3件、驚いた!

 本日9時50分から東京地裁の傍聴20席の法廷で「道路交通法違反」の判決。

 長年にわたり私は主に東京地裁でオービス裁判を傍聴してきたが、「うわ、ついにこんなことが起こった! 裁判官はどうすんだ? このまま判決しちゃうのか!?」という重要事件なのである。

 同じ法廷にもしも10時から色情事件の新件とか入っていたら、早々大行列になってしまう、やばっ!!!

 焦ってだいぶ早めに私は行った。ぜんぜん大丈夫だった。どんなにほっとしたか。

 判決の前に弁論再開か、と私はドキドキしたが、再開はなく、そのまま判決しちゃった。懲役4月、執行猶予3年。
 詳しくは雑誌記事かWeb記事として書かせてもらいたい。
 全国の検察官諸氏、裁判官諸氏が「マジかよっ」となるはずだ。私も「マジかよっ」となりました(笑)。

 

 11時から東京高裁で「業務上過失失火、業務上過失致傷」の控訴審第1回。
 「過失失火」「重過失失火」の裁判を私は過去に何件か傍聴してきた。今回はなんだろ、傍聴してみた。

 「ポリタンクの形状」という語が出てきた以外に、中身はさっぱりわからなかった。
 次回判決、見届けよう。

 

 11時30分、東京高裁の同じ法廷で「道路交通法違反」の控訴審判決。
 ぶっ飛んだね!
 第2事実の事実誤認と量刑不当の主張。原判決は、なんと罰金2万9千円!!!

 被告人(不出頭)には申し訳ないけど、私みたいなマニアからすれば「うおおー」である。
 2万9千円の内訳、そこがまた驚きなのだった。こんなの初めて傍聴した。
 雑誌記事かWeb記事に書かせてもらいたいと思う。

 

Screenshot-20230928-at-191110-3  15時から東京高裁の別の法廷で「道路交通法違反」の控訴審判決。
 15分ほど前に行くと、すでに16人が並んでいた。ん…?

裁判長 「主文。原判決を破棄する。被告人は無罪

 えーっ!!!
 法廷内には、報道記者席が9席あった。

 SBS信越放送が「コンビニから戻り「救護の意思は持っていた」ひき逃げに当たらず 一審の実刑破棄し逆転無罪の判決 異例の3度目の裁判 佐久市の中学生死亡事故で東京高裁」と報じている。画像はそのスクリーンショットだ。

 誰も気にしてないと思うけど(当然だよっ。笑)、この田村政喜裁判長は、横浜地裁にいたとき江口大和弁護士に有罪判決を言い渡した、あの田村政喜裁判長なのだ。
 その田村政喜裁判長が過去に東京地裁で言い渡した交通事故の無罪判決(被告人も弁護人も無罪主張じゃなかった!)も私は傍聴した。

 このことも、機会があればどこかに書かせてもらいたい。
 今夜はもう寝ます、早々と。

 ←9月28日19時30分現在、週間INが302位。

2023年9月26日 (火)

妄想の圧倒的影響下にあっても有罪は可能か

Screenshot-20230926-at-110731-25  「2審も被告に「無罪判決」神戸5人殺傷事件「妄想の圧倒的影響下にあった疑い払拭できない」『心神喪失疑い』で刑事責任能力なしと再び判断 大阪高裁が検察の控訴棄却」と9月25日付けTBS NEWS DIG。毎日放送の転載か。画像はそのスクリーンショット。

 以下は刑法だ。

(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条 心神喪失者の行為は、罰しない。
 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

 弁護人はよくこれを主張する。裁判所はもう簡単に退ける。
 「精神的状態が犯行に影響を及ぼしたと認められるが。その影響は小さい…」、それが決まり文句といえるか。

 

 刑事行政は検察が担っている。39条で無罪とすべきような事件は検察のほうで不起訴とする。
 罰すべきと判断したから検察は起訴したのだ。検察が起訴して法廷へ出てきたからには、有罪とする理由をしっかり立てる、それが裁判所の役割…。
 そんな感じだろうかと私は傍聴席から見ている。

 

 

 そうしてさらに、こんなことも妄想するのだ。

 大量に飲酒して脳の前頭葉の辺りが一時的に壊れたというか、突拍子もない無茶苦茶をやらかし、刑事裁判の被告人として法廷へ出てくる者がよくいる。
 よくこんなふうな供述をする。

被告人 「正直、まったく記憶がないのですが、防犯カメラ(監視カメラ)に写っているのは私だと思います。私がやったことで間違いないと思います」

 こういうのを39条で争う弁護人は、いない。
 少しのひっかかりもなく、みな有罪とされる。
 被告人が自分の意思で飲酒したのだから、結果の責任はとれ、ということかと。

 そうするとだよ、こういう認定もできるんじゃないか。

裁判官 「犯行時は妄想の圧倒的影響下にあったとしても、初期の時点おいて病識はあったと認められる。その時点で治療すべき義務があったのに怠り、本件犯行に至ったものである」

 として有罪、可能じゃなかろうか。

 ただ、都合が悪いことがある。


 心の病気で万引きをくり返す者がいる。ついに病識を持ち、ようやく治療を始めることがある。
 しかし! 量刑相場的に懲役の実刑なら、治療を断ち切って刑務所へぶち込む。
 出所した病者はすぐにまた万引きを、ということがある。

 また、刑務所は「徹底した矯正教育を行なう矯正施設」という建前になっている。検察官は法廷でいつもそのように言う。
 ところが、刑務所を出て再犯に至る者が多いことは、広く知られているとおりだ。

 治療すべき義務を怠った、そこを問題にしては、いろいろ不都合が生じてしまう…。

 

 傍聴席でそんなことも思ったりなんかしている傍聴人は、私だけじゃないですよね? ねっ?

 ←9月26日19時40分現在、週間INが402位。

2023年9月24日 (日)

ミニスカ&Tバックで尻、腿を女装露出

Screenshot-20230924-at-195030  なかなか興味深い、読み応えのある記事だと思う。
 「「アンダーブーブはファッション、ビキニは軽犯罪か」…あいまいな過多露出基準=韓国(1)」と8月21日付け中央日報/中央日報日本語版。 ※画像はその記事のスクリーンショット。

 こんな部分がある。

 キム代表が話した「昨年の似たこと」とは7、8月にインフルエンサーのイム・グリンとユーチューバーのBOSS Jがビキニ姿で江南駅と梨泰院(イテウォン)駅周辺でバイクに乗ったもので、当時、参加者は軽犯罪処罰法上の過多露出罪で立件され、同年11月に送検され、5月に略式起訴された。
  (中略)
 該当条項は公開された場所で性器・尻など身体の主要部位を露出して他人に恥ずかしい思いをさせたり不快感を与えた者は10万ウォン(約1万円)以下の罰金または拘留、過料の刑で処罰すると明示している。

 「過料」は「科料」の誤記かも。いや、わかりませんけど。

 

 日本の軽犯罪法にもそういうのがある。以下は第1条の柱書と、第34号まであるうちの第20号のみだ。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
 二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者

 20号露出とでもいうべき「軽犯罪法違反」の刑事裁判を、私は何件か傍聴した。
 うち1件、東京高裁の控訴審判決について、メルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」(2022年11月末の第2697号をもって終了)から、一部転載しよう。
 被告人は不出頭、裁判長は後藤眞理子裁判官、主文は控訴棄却だった。

 

 刑法の「公然わいせつ」ではなく「軽犯罪法」、いったいどんな「仕方」で何を「露出」したのか。

裁判官 「午前3時30分頃…Tバック下着…ミニスカート…尻、腿を露出した…」

 「女装」という語が出てきた。被告人は男性なのだ。年齢は不明だが。
 弁護人(中堅男性。それが地なのか、つまらなさそうな目つき)は、あらゆることを主張していた。

 ことさらに露出する意図はなく、臀部は下部を露出したに過ぎない。第20号の構成要件に該当しない…。
 誰も注視しておらず、嫌悪の情をもよおす者はいなかった。不愉快に思う者は皆無と考えられる…。
 女装は被告人にとって性欲発散行為であり、これを咎めることは自由を侵害する…。
 自宅で女装を楽しんでいたところ、たまたま急遽(きゅうきょ)手紙を投函する必要があって外出しただけ…。

 裁判長はいちいちぴしゃっと退けた。「通常人の風俗感情のうえで不快の念を…」という言い回しも出てきた。
 外出については、捜査段階でか原審の法廷でか、被告人自身がこんな供述をしているんだという。

供述  「欲望を抑えられず、もう少し歩きたいと遠回りして帰宅した」

 原判決は拘留10日だという。弁護人は科料が相当と主張したが…。

裁判官 「いずれも同種…平成×年10月、平成×年(翌年)7月、科料の略式命令を受け…本件犯行は(平成×年7月の科料から)わずか8カ月後…」

 それじゃあ量刑相場的に拘留とせざるを得ないわねぇ。
 拘留の執行猶予? それは無理だ。執行猶予を付けられるのは「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」についてだけと刑法第25条第1項が定めているので。

 裁判長はこんなことも言った。

裁判官 「もはや監督する立場の者は存在しないと認められる…」

 「もはや」ってことは、離婚されたか、親御さんが亡くなったか、被告人を見放して去ったか…。
 孤独を深めてますます女装徘徊が生き甲斐になったりしないか、ちょっと心配な気がした。

 

 こんな哀愁の(?)レポートもメルマガには書いていたのですよ。懐かしい。
 被告人の氏名で今ネット検索してみた。完全ノーヒットだ。どんな人生をお暮らしやら。

 

 ヘンリー・マンシーニのこの曲が聞こえてしまうのは、いくらなんでも不謹慎だろうか。

 ←9月24日19時50分現在、週間INが402位。

※追記  以下は刑法。

(拘留)
 第十六条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。
(科料)
 第十七条 科料は、千円以上一万円未満とする。

2023年9月22日 (金)

「ガーシー被告」を解剖する

Screenshot-20230922-at-090452-3000-3-8ne  「ガーシー被告」、今年の流行語大賞にノミネートされるんじゃないか。 ※画像は9月21日付けのTBS NEWS DIGのスクリーンショット。

 

 東京地裁・刑事第6部、9月19日(火)13時30分~17時、広いほうの警備法廷425号法廷を使って「暴力行為等処罰に関する法律違反、名誉毀損、強要、威力業務妨害、証人威迫」の第1回公判があった。

 傍聴券抽選、11時50分締切。傍聴席は42席のところ、抽選の当たり券は18枚、そこに560人が行列をつくったという。
 行列の多くは、各番組等が雇った並び屋さんかと思われる。

 19日(火)、私は東京地裁へ行った。が、行列に加わろうとは思わなかった。
 「威力業務妨害」「証人威迫」は傍聴したい事件ではあるけど、有名人には特に興味がない、どうせ大行列、馬鹿馬鹿しい、時間がもったいないので。

 

 立花孝志氏が傍聴券をゲット、と報じられている。
 並んだマニア氏によると、立花氏は抽選に外れ、しかしどこかのメディア(テレビだっけ)から当たり券をもらったのだという。
 そのことは報じられてるのかな。

 

 さて、「ガーシー被告」である。
 開廷表の被告人氏名はこうだった。

 ガーシーこと東谷義和

 「ガーシー」の部分を「こと名(ことめい)」というらしい。
 2013年10月14日に解説記事を私は書いた。
 その記事以外に、現時点で「こと名」のヒットはない。おお~、である。

 次に、「被告」の部分。
 正しくは被告人だ。被告は、単に短くしたとか略したとかでは済まない。
 立派な誤用、誤報だ。

 刑事裁判 検察官vs被告人
 民事裁判 原告vs被告

 被告は民事の一方の当事者なのである。
 有名な話として、こんなのがある。

 民事の弁論期日で、裁判官が普通に「次に、被告から答弁書を陳述…」と言った。
 聞いた被告が怒った、「私を犯罪者扱いするのか!」。

 世間の人とって「被告=犯罪者」なのである。
 以前、裁判所内で、退官したばかりの元裁判官氏にばったりお会いしたとき、元裁判官氏はこう言うのだった。

 「刑事の被告人を『被告』とやるのは、あれはどうにかならんもんですかね(笑)」

 ほんとそうですよねえ(困)。

 

 なぜ被告人を被告と報じるのか。
 「ひこくにん」だと「ひこくみん(非国民)」に聞こえるから、という説がある。

 刑事の公判で裁判官が「では開廷します。被告人、前へ出なさい」と言った。
 聞いた被告人が激怒、「俺を非国民扱いするのかあ!」。

 戦後間もない頃、そんなことがあったんですかね。
 だけど、今どき非国民なんて語が頭にあるのは、一部の大日本帝国好きな方々と…って感じでは。

 ま、なんであっても、被告人を被告とする誤用、誤報は、永遠に改まらないだろうと私は予想する。
 そんなことはいくらでもあるでしょ。

 世間がどうであろうと、私は被告人を被告人と、被告を被告と書く。
 未決勾留日数の算入も、把握できれば書く。
 可搬式(オービス)を正しく可搬式と書く。
 マイナー街道まっしぐらだ、あはは。

 ←9月22日11時10分現在、週間INが402位。

2023年9月21日 (木)

本気で懲りた、猛烈に反省している

1905171-2  東京高裁で「道路交通法違反」の判決を傍聴した。

 検察官は、私が勝手に「セクシーおばさん」と呼んでる女性。おばさんというよりお姉様、かな。

 

 弁護人は非常に特徴的な中年男性だ。私は傍聴ノートに「こんな男、見たことないよ」と書いた。
 いっぺん見たら忘れられないような特徴的な容姿の弁護人を、初めてみかける、ということが近年よくある。
 昔は、いつも見る弁護人か、ときどき見る弁護人か、見たような気がする弁護人がほとんどだったのに。

 国選弁護人を受ける弁護士が増えたのか。
 どぎつく(昔に比べれば、ですよ)特徴的な人が弁護士になることが増えたのか。

 

 被告人は不出頭。控訴審は被告人の出頭を要しない。

裁判長 「主文。本件控訴を棄却する。くり返します、本件…」

 無免許運転だった。

 2014年に「無免許過失運転致傷等」で懲役10月、執行猶予3年。 ※「等」の部分は救護義務違反(いわゆるひき逃げ)か、分かりません。

 

 2021年11月、「道路交通法違反」(無免許運転)で懲役7月、執行猶予3年。 ※無免許だけでその量刑は重い。他に何かあったはず。

 

 そして2023年2月、1週間をおいて2回にわたり、準中型貨物を無免許運転。
 原判決は懲役5月
 再度の執行猶予を付すべき、と控訴したのだった。

 弁護人の主張について裁判長が述べた。その中にこんな部分があった。

裁判長 「深刻に受け止め、猛烈に反省している…」

 この部分に私は、ペンを持ち替えて赤色の波線を引いた。

 そうなのである。無免許の被告人のなかに、捕まって罰金刑を何度受けても、執行猶予付き懲役刑の判決を受けても、ぜんぜん懲りずにくり返す、そういう者が少なからずいる。

 いっくらなんでも、もう実刑だよね(笑)、という形で実刑判決を受けてから、控訴して、控訴審で、要するにこう主張する。

被告人 「今度こそ本気の本気で懲りた、反省した。本気で心を入れ替え、二度と再び無免許運転をしないことを天に誓ってお誓い申し上げます」

 本気度がすごく伝わってくることが多い。
 そんな控訴審を、私はさんざん傍聴してきた。

 

 話は飛ぶが、人間による環境破壊、地球破壊は、ある一線を越えると、もう後戻りが効かない。滅びの坂道をまっしぐらに下るしかない、という話を聞く。
 ある一線を越えてから、人間は「本気で懲りた、猛烈に反省している。どうかお慈悲を」と言うのかな。
 傍聴席でそんなことも思う私なのである。

 

 昔、『ソフィーの世界』というぶ厚い本があった。読んだ。
 『ソフィーの裁判傍聴記』とかあったらいいのに。

 ←9月21日20時50分現在、週間INが402位。

 弁護人と弁護士が混在したのは誤記ではない。
 弁護士が弁護人を務めるのだ、検事や副検事が検察官を、判事が裁判官を務めるように。当然に、傍聴人にもいろんな人がいる。

«あのミュージシャンが薬物で捕まってた?