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2006年2月10日 (金)

殺人未遂・銃砲刀剣類所持等取締法違反 判決

 10時から地裁刑事8部415号法廷(飯田重信・大川隆男・明日利佳裁判官)で、殺人未遂・銃砲刀剣類所持等取締法違反の判決。

 「霞っ子クラブ」の傍聴記に度々出てきて、私もつい誘われて一度傍聴したことのある事件。
 東京は世田谷区・八幡山2丁目先路上で、刃体の長さ11.5cmで両刃の「ブーツナイフ」で通行人を刺し、警察官から拳銃で撃たれた事件だ。詳しくは「霞っ子クラブ」を参照。

 判決主文は…。
 懲役9年、未決勾留期間のうち150日を算入。ブーツナイフを没収。訴訟費用は負担させない。

 以下、傍聴メモから(抜けている部分あり)。
 犯行日は2005年6月6日。前日の6月5日、自宅アパートの上の住人から……警察に通報され腹を立て、自宅天井をほうきで突いて壊したが、しばらくの間、愛着していたナイフをながめることで、気分が良くなった。
 6月6日、歩いて福祉事務所へ行く途中、容姿の良い男性が女性連れで歩いているのを見て、いじわるをしようと、2人の間を通って男性を肘で突いた。呼び止められて、ナイフで威嚇した。男性が携帯電話を取り出して警察に通報しようとしたのを見て、刺し殺してでも逃げるしかないと思い……。
 被害者の行為は、まことに正当。被告人の行為は、あまりに短絡で理不尽きわまりない。他人の生命を尊重する気持ちが希薄。犯行態様は非常に危険で悪質。被害者が一命を取り留めたのは、被害者に武道の心得があり咄嗟に……たまたま胆管と門脈の間をナイフが通った……。
 ……加えて被害者は、激しい復讐心と、そのような自分への嫌悪感で今も悩んでいる。しかし被告人は何らの慰謝の気持ちもなく……今後も……。しかしながら、犯行は突発的で計画性がない。1回限りの突き刺しで、執拗さも認められない。思考方法には特異なものがあり……分裂型人格障害(?)に起因する……が背景にあることは、ある程度酌まねばならない。前科はない。
 前回、被害者の意見陳述……人の命をなんだと思ってるんだという問いかけ。これは我々裁判官にとっても非常に重い問いかけと受け止めた。事件の審理をしていると……どうしても他人事ととらえがちだが、被害者本人の声を聞いて……まして被告人は重く受け止めなければならない。長い服役の……いつもその点を考えてください。この判決に不服があるときは……。

 被告人(ブルー系のセーター)は、開廷間もなくのとき、裁判長から「被告人は前へ」と呼ばれても、聞こえないふうだった。二度呼ばれて気がついた。
 判決言渡しの間、手を後ろに組んでいた。
 言渡しが終わると、カチャカチャと手錠をかけられ、腰縄をかけられ、(少なくとも傍聴席から見る限りでは)何事もなかったかのように出て行った。
 上記太字の部分は、被告人に対してではなく、被害者に対しての言葉のように傍聴席からは思えた。

 傍聴席、最前列、私の隣の隣に、ロン毛で細い若者がいた。被害者だろうか。
 もう1人、茶髪のロン毛でややぶかぶかのスーツ(それが流行?)の若者がいて、閉廷後、外で苦しんでるふうだった。

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