さつま白波を愛する酒気帯び被告人 罰金25万円は高すぎるか
ぎりぎりまでご相談等に対応し、昼食抜きで裁判所へ。
13時20分から、東京簡裁1室3係(堀内信明裁判官)534号法廷で、道路交通法違反の新件。
被告人は在宅(身柄を拘束されてない)で、なんていうんだろう、全体にロケンロールの雰囲気の40歳弱。新宿でライブハウスを経営しているという。
弁護人は国選。弁護士っぽくない感じ。
検察官は小川裕明さん。やや不機嫌そうな不愉快そうな顔を、何があっても変化させない、個性的な人だ。アメリカの昔の、刑事物の連続TVドラマにいたよなぁ、主人公の上司か同僚で、ほら、誰だっけ、と私は小川さんを見るたび思う。そしていつも思い出せない。
その小川検察官が起訴状を朗読。犯行日と運転車両などの順序が、いつもと違う。え? そんなとこまで「司法改革」?
そうじゃなかった。略式で罰金の支払い命令を受けたのち、被告人のほうから正式裁判を請求した事件、つまりいったん略式起訴された事件なのだった。
酒気帯び運転。普通乗用車。0.17mg。略式命令は罰金25万円。
それがなぜ不服なのか、ごちゃごちゃしゃべらないロケンロールな口調の陳述をまとめると、こういうことのようだった。
「自分は酒が強い。芋焼酎、それもさつま白波しか飲まない。5合瓶1本は飲む。ほとんど毎日。多いときは1升。前年に原付の酒気帯びで捕まったときは、かなり飲んでいた。そのときは罰金10万円だった。今回は、もう捕まらないようにと、ビール(小ジョッキ)3杯しか飲まず、3時間ほどコーヒーやウーロン茶を飲んで醒ました。アルコールが残っているとの自覚はなかった。友人は、普通乗用車で0.19mgで罰金20万円だった。今回の25万円というのは高い。だいたい、以前(02年5月末まで)は0.25mg未満は違反ではなかった(検挙の対象ではなかった)わけだし」
酒気帯び運転には、過失犯の処罰規定がない。しかし、小ジョッキ3杯が3時間で抜けたという認識はどうなのか…。
といった問題はさておき、私のFAQにあるように、また先日『ラジオライフ』にも書いたように、検査値の多寡は刑の量定にあまり関係しないようだ。普通車は20万円、前科ありなら25万円、それが相場なのだ。
相場なのだけれども、「これこれの事情があった。処罰するに当たって考慮してくれ」と求めるのは、当たり前のことと思う。
ただ、拙著『なんでこれが交通違反なの!?』を読んでいてくれたら、最初から略式には応じなかったか、応じても正式裁判の請求はしなかったのではないか、と思えた。こういうことを知っていれば、ややこしくならなかったのに、ということが交通違反では多いように思う。
求刑は罰金25万円。
次回判決。午前中でも大丈夫か心配した堀内さんに対し、被告人は述べた。
「私、もう、朝6時に起きてますので」
堀内さんが「にやりっ」としたように思えた。
さつま白波を愛する、早起きなライブハウス経営者…。格好いいではないか。ちなみに私も、さつま白波は好きだ。
★
14時20分から、東京簡裁1室1係(武内晃裁判官)826号法廷で、道路交通法違反の新件。
10分ほど前に傍聴席につくと、前の窃盗か何かの事件が終わるところ。被告人は身柄(拘置所)。
次回(判決)期日を決めるに当たり、武内さんの提案に弁護人(男女2人)が何度も差し支えを言い、「裁判所もこの時期いろいろある。4月になってもいいのか」旨、武内さんが言ったのに対し、弁護人がためらいもなく「かまわない」旨言ったのには驚いた。弁護人の都合で勾留が1カ月近くも延びていいのか。まあ、約10日後に落ち着いたけどもさ。
被告人は再び手錠と腰縄をつけられて奥のドアへ、弁護人は傍聴席の後ろのドアへ消え、私と礼田計さんと傍聴席に…座っていたら、14時20分からの道路交通法違反は期日変更になったと書記官(可愛い娘さん)が教えてくれた。あれ~。
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1階でトコさんに会い、「昨日から毎日開廷の殺人事件がある。今日もやってる」と教わる。
東京地裁第10刑事部(川口政明、板津正道、廣瀬裕亮裁判官)424号法廷、「殺人、窃盗」をちらっと覗いてみる。「時効直前で起訴の殺人事件、公判前整理手続き適用」と報じられた事件だ。
弁護人は3人、検察官は5人。傍聴人多数。検察官席の後ろの壁に、大きな「現場周辺見取図」が貼られていた。おそらくは「さむらい」というカラオケスナック(?)のママ、そしてその南に位置する「ヒロ」というカラオケスナック(?)のマスター(現在は廃業?)を証人尋問していた…。
今週は月曜から金曜まで裁判所へ通ってしまった。疲れた~。
16時頃から某週刊誌と打ち合わせ。日没前だが、ええぃ、この際もう黒生ビールとワインデカンタを…。
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