初めて裁判傍聴、裁判ウォッチングをする方へ
自力HPのほうに「裁判傍聴&イベント」というコンテンツを設け、各種集会や公判・弁論の期日を紹介していたが、もう、手が回らなくなった。というか、やりたいことのほうへ集中したくなったのかな。
それで、当該コンテンツは閉じることにした。そこの末尾に掲げていた、私なりの、傍聴の手引というか心得を、以下に。
民事裁判は、証人尋問、本人尋問以外は、ほとんど書面のやり取りだけで終わります。
判決は、主文(たとえば「本件請求を棄却する」)を数秒間読み上げるだけで終わったりします。傍聴席からは、なにがなんだかわかりません。
国を相手に賠償を求める事件(国賠訴訟)では、終わってから近くの弁護士会館などで報告集会がもたれることがあります。そこへ飛び込み参加してみるのも一興でしょう。一方、刑事裁判は、 検察官による起訴状の朗読、冒頭陳述、被告人質問、論告・弁論などで、だいたいの内容が傍聴席からもわかります。
判決は裁判官が全文を朗読します。刑事裁判の開廷表に、「新」「続(または審)」「判」とあるのは、新件か続審か判決かです。
どうせなら新件を傍聴するのがよいでしょう。続審や判決だけより、ずっとよくわかります。
1回目で判決まで終わることもあり、「ははあ、こういう事件はこうやってこういう刑を言い渡されるのか」と 、お手軽にわかります。
ところで、刑事事件には「自白事件」と「否認事件」とがあります。
ほとんどは自白事件です。
自白事件では、犯行をすべて認め「深く反省した。二度としない」と頭を下げる被告人に対し、裁判官が優しく厳しく説教するのが見られます。司法の威信、厳粛さみたいなものを味わえるでしょう。しかし、否認事件ではガラッと変わります。
とくにスピード違反の否認事件では、科学的な検証は一切抜きに、なんと測定機の製造販売会社の社員の証言(要するに「我が社の商品は絶対に大丈夫でございます」)を鵜呑みにして「よって測定値は信頼できる」と判決してしまうのです。
民事事件だって、「民vs民」の事件と「民vs国」の事件とでは、かなり違います。
刑事裁判は「被告人(民)vs検察官(国)」なのです。
洋風の結婚式では、「汝は病めるときも貧しきときも妻(夫)を愛しますか?」と言うでしょ。
健康でカネのあるときだけ「愛してるぅ」ではダメだよってことです。
健康でカネがあるときの相手、被告人が頭を下げてる事件、そんなのだけ見ていると本質を見誤る、そのことはしっかり心にとどめておいてほしいと思います。
ちなみに、事件番号、在宅か身柄か、事件名、前科、犯行日、求刑、判決等々等々、を傍聴のたびに入力していたエクセルのデータは、426件になったよ。
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