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2006年7月29日 (土)

泣き寝入りを誘う新たな制度

 さすが、自民党が突然言い出した「司法改革」!
 すっごいことを考えつきましたなぁ!
 以下、朝日新聞から引用。

国選弁護に制限、「預貯金50万円以上なら私選を」
2006年07月28日03時00分

 資力の乏しい容疑者に国が弁護人をつける「国選弁護」制度で、法務省は「資力」の基準額を50万円にする方針を固めた。現金や預貯金の合計が50万円以上になる場合、国選ではなく、まずは私選弁護人を弁護士会に選任してもらうよう申し出ることが本人に義務づけられる。関係者からは「基準額が低く、制度からこぼれ落ちる人が多くなる」と懸念する声もあがっている。

 容疑者国選弁護制度は、10月2日から施行される。殺人や強盗など重い罪にあたる事件の容疑者が対象で、3年後には窃盗、詐欺などにも拡大される。

 これまで国選弁護人がつくのは、起訴後の被告だけだった。本人が「貧困その他」にあたると申告すれば、保有資産などを問われずに、ほぼそのまま国選弁護を受けられた。「資産のあるものは私選弁護人を依頼すべきだ」との意見があったため、04年の刑事訴訟法改正で容疑者国選弁護制度が導入された際、資力を申告する制度も盛り込まれた。50万円の新基準は今後、容疑者、被告ともに適用される。

 新制度では、国選弁護を求める容疑者は、留置場や拘置所などで「資力申告書」に自分の資産を記載。申告書を受け取った裁判所は、日本司法支援センターに国選弁護人の指名を求め、選任する。資産が50万円を超えた場合は私選弁護人と契約交渉するが、それができないと、改めて国選弁護人の選任手続きに入る。

 資産の範囲について法務省は、手持ちの現金や預金のほか小切手、郵便貯金などに限り、不動産や貴金属などは含めない意向。虚偽申告すれば10万円以下の科料になる。

 基準額50万円の設定について、法務省は(1)平均世帯の1カ月の必要生計費は約25万円(2)刑事事件を受任した私選弁護人の平均着手金は約25万円――としたうえで、「50万円以上あれば、私選弁護人に着手金を払ったうえでひとまず生活できる」と説明している。

 04年に全国の地裁で刑事裁判が終わった被告のうち国選弁護人がついたのは約6万1000人。全体の約75%だった。これらの人がどれだけの資産を持っていたのか、法務省や日本司法支援センターには資料がなく、「50万円」の新基準が国選弁護の対象者の増減に、どう影響するのかは分からないという。

 国選弁護に詳しい関係者は「現行制度で国選弁護の対象になった人が新制度では救われない例も出るのではないか。格差社会が進み、なけなしの預貯金をはたいてしまえば後の生活にも困る。扉は広く開けるべきだ」と語る。

「捜査段階で警察は(検察も)自白を強要する。被疑者1人ではなかなか耐えられない。そして裁判官は、捜査段階での自白調書を妄信する。捜査段階での国選(公選)弁護人が必要だ」
 と、昔から言われていた。
 それを認めるかわりに、すでにある公判段階での国選弁護を制限し、被告人(現在の制度なら国選を選任していた被告人)の費用負担を、実質、現在の3倍くらいにしようという、これはそういう話ぢゃないか。

 罰則を伴う(したがって刑事裁判になり得る)交通違反の取締りは、年間800~900万件。
 この大量の取締りを可能にしているのは、早い話、ほとんどすべての運転者が泣き寝入りするからだといえる。

 泣き寝入りは、当人の心の問題だけはすまない。
 取締りの適切・妥当性を不問にしてしまう。
 つまり、
「スピード違反の測定機は、果たして信頼性があるのか?」
「こんなくだらない取締りをやってていいのか(違反・事故の抑止になるのか)?」
 といった問題が、不問にされてしまう。
 毎年800~900万件(シートベルト違反も含めれば1100~1200万件)もの取締りを行い続けても、違反はあふれ、事故はほぼ右肩上がりで増加(※)という狂った現実が、見過ごされてしまう。
 ※ 事故死者だけは近年、激減している。

 そこにはもちろん、泣き寝入りを誘う甘い水がある。
 反則金制度と、略式手続きだ。
 そして、反則金を納付せず、略式に応じず、
「違反してない」
「違反したのは事実だが、これこれの事情により、処罰は不要だ」
「違反したのは事実だが、これこれの事情を酌んで寛大なご処分を」
 と、当たり前のことを主張しようとする運転者は、ほぼ必ず、警察官、検察官からこう言われる。

「裁判(いわゆる正式な裁判)をしたいんだな。正式はカネがかかるぞぉ」

 言われなくても、そう思い込んでいる運転者も少なくない。
 そんななかで、
  月収25万円、預貯金25万円
  月収20万円、預貯金30万円
  月収30万円、預貯金20万円
 なら私選だよ、着手金だけで25万円吐き出してね、という制度にすれば、泣き寝入りはどどんと増えるだろう。
 もっと収入も預貯金もあっても、数千円や数万円の罰金の事件で25万円の出費を覚悟する、そんな運転者は希有だろう。

 国選の費用なら、万が一無罪なら当然不負担だし、有罪でも不負担は(少なくとも東京簡裁では)珍しくない。負担を命じられても、免除の申請ができる。
 だが、私選の費用だと、そうはいかない。

 こういう方向へ、ぐいぐい進んでいくんだなぁ…。
 国選の基準額も、知らないうちにするっと値上げされるかもね…。
 ま、とりあえず現在のところ、交通違反の裁判は弁護人なしでもできるけれども…。

 しっかし、上掲記事の「基準額50万円の設定について、法務省は…」という部分、
「容積▲ccの人間は、●立方メートルの箱に何人入りますか?」
 なーんて試験に勝ち上がってきたエリートの考えそうなこと、との印象を受けない?

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