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2006年9月26日 (火)

オービスは「ニセ科学」であることを裁判所にどう気づかせるか

9月25日(月)

 13時30分から、東京高裁第7刑事部(植村立郎・荒川英明・村山浩昭裁判官)717号法廷で、「寺澤オービス事件」の第2回公判。

 オービスの製造販売会社(本件装置では三菱電機)の社員が「我が社の商品はこれこれ優秀でしてプラス誤差は絶対出ません」と、何の客観的裏付けもなく口先だけで言う、のを鵜呑みにして有罪とする、それが「確立された採証法則」だと(うっきゃ~!)、前回村上満男検察官が答弁(答弁書を提出)したのに対し、堀敏明弁護人が弁論(弁論要旨を提出)。
 次回判決期日を決め、約2分30秒で閉廷。

   *******

 廊下の開廷表を見ると、15時から道路交通法違反の判決。へえ。
 被告人氏名は、あらま! 東京簡裁で真っ向争ってた会社役員氏ではないか。
 4月27日の簡裁判決、当ブログでは書かず、どうも『ラジオライフ』でも詳しくは書かなかったような…。

 東京簡裁(浅見牧夫裁判官)の判決は、求刑通り罰金9万円。訴訟費用は(弁護人は私選なので、東京航空計器の社員らの旅費日当)被告人負担。
 浅見さんは、判決理由の最後に、こんなふうなことを述べていた。
測定データと撮影データとのマッチングが全く行われていない旨の、傾聴すべき論拠がある。定期点検は万全を尽くすべきことは論を待たないことを付言する」

 このオービスは電子式。東京航空計器のオービスⅢLk
 定期点検のとき、現場にテープスイッチ(タイヤの通過に反応してスイッチが入り、2点間の時間差から速度を演算)を貼りつけ、その測定値と、オービスの測定値とを比較して、オービスのほうがすべて若干低いことを理由に、「総合精度 良」とする。
 この点検は、東京航空計器の場合は下請けに出さず社員が行っている。
 本当にすべて若干低かったのかどうか、誰にもわからない。
 しかも! オービスの唯一といっていい証拠は、写真(画像)に焼き付けられた記号(測定値とされるもの)であるのに、写真(画像)の記号とテープスイッチの測定値を照合することを、全く行っていないのだ!
 「傾聴すべき論拠」とは、そのことなのだ。

 で、高裁7部の今日の判決は、「本件控訴を棄却する」。
 植村裁判長は、上記の点についてはこう述べた。
「たしかにその証拠は提出されていない。しかし疑問を呈するようなものはないので、結合(上記マッチング)の証拠がないのは問題ない」

 製造販売会社の社員が何の客観的裏付けもなしに保証する機能・性能を、そのまま鵜呑みにする者に、いったい何を呈すれば疑問を感じるのか。
、測定値の速度で走行していなかったという、確かな証拠
、製造販売会社の社員の証言には、客観的な裏付けが一切ないというその事実

 により無罪としたのは、92年9月宣告の大阪高裁の判決
 により公訴棄却としたのは、06年3月宣告の仙台高裁秋田支部の判決

 のような「確かな証拠」がないのが普通なのだから、そしたら、に習って、「客観的な裏付けが一切ない」というその一点だけを追及する、それしかないように私は思うのだが…。

 たまたま見た朝日新聞9月20日の夕刊、「かがく批評室」に、菊池誠・大阪大教授(物理学)が、こんなことを書いていた。

 見かけは科学のようだが実は科学ではない、「ニセ科学」が蔓延している。代表的な例として血液型性格判断やマイナスイオンを挙げれば、なるほどその手の話かと合点がいくかたも多いのではないだろうか。

 その「代表的な例」の1つに入る資格を、オービスは優に備えている!

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 2つのオービス事件の間に、「建造物侵入、強盗、営利略取、監禁」という罪名の第1回公判を、地裁第11刑事部(平木正洋・品川しのぶ・高橋明宏裁判官)で少し傍聴。
 なんだと思う?
 スロットの「ゴト」の「打ち子」をやっていた被告人は、他の3人と共謀して、「ゴト」の元締めを襲い、現金とカードを奪い、さらにその元締めを拉致監禁して自宅にあるカネを奪おうとした…という事件。
 しかし被告人は、「一切関与していません」と否認。
 これから共犯者や被害者や、通報したその奥さんや、警察官が、証人として出てくることになるのかな。

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 埼玉県川口市の市道で、脇見運転の車が保育園児らの列に突っ込んだという、なんとも酷く悔しい事件について少し。
 酒気帯びではないようだし、ひき逃げでもないし、危険運転致死傷にも問えず、業務上過失致死傷(上限は懲役5年)になるのだろう。業過も厳罰化を、という世論になるのだろう。だが…。
 運転者にいくら注意や自制を求めても、ほとんど無意味ではないのか。

 人間という生物は、善悪は抜きに生物としての人間は、身勝手で不注意なものなのだ。
 そして車は、一瞬の間違いで簡単に人を殺す、凶器なのだ。
 2つが合体すれば、ある確率で、悲惨な事故・事件が起こる(起こり続ける)のは、悔しいけれど当たり前。
 運転者に注意や自制を求めると同時に(あるいはそれ以上に)、ガードレールなどの構造物で歩車道を分離するとか、つまり運転者が間違いを犯しても簡単に人が死傷しない、そういう環境をつくっていくしかないんじゃないのか。
 道路のペイントや、たとえばハンプ(かまぼこ状の盛り上がり)などで、心理的に注意したくなったり、物理的に速度を落とさざるを得なくなったり、させる方法も有効だろう。

 カネがかかる?
 でも、交通安全施設の設置管理に使途を(以前より若干ゆるやかに)限定された交付金、の原資になる反則金の収入は、年間800~900億円。最新号の『ザッカー』に書いたように、今年度の予算は昨年より多い。
 この使途を見直せば、かなりのカネが出るんじゃないないのかなぁ…。

 とにかく、白線を1本引いて、あっちが車道、こっちは歩道の扱いとする、なんてことが普通である現状が「信じられないっ!」と、こういう無惨な報道に接するたびに驚愕する…。

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