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2006年10月11日 (水)

第2次Nシステム訴訟 お知らせ

 以下、「Nシステムニュース」2006年9月20日号より。

第2次Nシステム訴訟に向けて――原告団を募集します

弁護士 桜井光政

許せぬ情報漏洩

 愛媛県警でNシステム情報の漏洩が明らかになったことは既に何度もお知らせしたとおりです。愛媛県警は、ある事件の捜査に関連して、特定の日に特定のエリアを通過した車両のうち「なにわ」ナンバーの車両をピックアップしたデータを、あろうことか、捜査官の個人のパソコンにコピーさせていたのです。ところがそのパソコンには、情報流出で悪名高い「ウィニー」ソフトがインストールされていたのです。「ウィニー」はせっせと車両情報を「ネット配信」し始め、大々的な情報流出がなされたのでした。

 私たちはかねてよりNシステムによる野放図な情報収集に反対していましたが、その根拠のひとつが、Nシステムによって収集された情報の管理が全く明らかにされていないということでした。また、1998年に提起したNシステム訴訟(以後第一次訴訟と呼ぶことにします)では、Nシステム情報が警察の職場の管理に使用されていることなどを明らかにし、管理がずさんであることの結果として使用の目的が恣意的になることなどを指摘しました。

 これに対して国は「限られた職員しか情報にアクセスできない」とか「厳格に管理されている」などと主張していましたが、今回の事件ではそれらが全くのでまかせであることが明らかになりました。仮に「限られた職員しかアクセスできない」というのが本当であれば、今回の事態は「限られた職員が誰彼かまわず情報をばら撒いた」ということになりますし、そのような事態を生じさせるような管理を「厳格な管理」とは言えません。裁判所までも平然と騙した国・警察庁をそのまま許すわけには行きません。

第2次Nシステム訴訟の原告

 今回最も被害を受けた人は、何と言っても情報を漏洩された当の車両の使用者でしょう。そこで、私たちは当初は現実に情報を漏洩された方々を中心に訴訟提起する戦術を検討しました。そして、1万件以上のNシステム情報のなかから100件を無作為抽出して、当該車両の平成〇年当時の使用者を割り出して、それらの人に第2次Nシステム訴訟への参加を呼びかけました。しかしながら、既に10年近い年月が経過しているため、当時の住所から転居して所在が分からなくなっている人も多く、また、届いた人でも突然の手紙に警戒してか、連絡をくれる人は現れませんでした。もっと多くの、それこそ1000人、1万人もの人に通知を出せばあるいは応じてくれる人も出るかもしれませんが、調査費用と郵便代の実費のみで1件当たり1000円かかる実情なので、1000人ならば100万円、1万人なら1000万円の費用がかかり、現在の一矢の会の財政では到底負担できません。そこで、現実に撮影された方々を中心に据えての訴訟提起は断念せざるを得ないと判断しました。

 翻って考えれば、漏洩がなされようとなされまいと、日々情報を取られ、且つ、いつ漏洩するかもわからないようなずさんな管理がなされていること自体がプライバシー被害だというべきです。原点に立ち返れば、Nシステムで撮影されている誰もが原告になれるし、なるべきなのです。

プライバシーは21世紀の人権

 近代以降、世界の人々は徐々に人権に目覚め、その権利を発展させて来ました。当初横暴な王権を制約する理論であった「人権」思想は、市民の「言論の自由」や「身体の自由」、「財産権の保障」などを中核にしていました。当時、権力によって最も抑圧されがちな行動が「侵してはならぬ自由」として確立されて行ったわけです。これらは19世紀的人権とでもいうべきものです。「人権」思想は個々の人間の尊厳をその根拠とします。そして個人の尊厳を普遍的な善ないし正義と考えると、新たな人権が展望されるようになります。例えば男女の平等です。

 今日わが国では、男女の平等は、少なくとも法律上は当然のことだという認識が支配的になっているでしょう。しかし60余年前までは女性の法的地位は明らかに男性よりも劣るものとされていました。日本ばかりではありません。西ヨーロッパ諸国においても女性の法的地位が男性と同等とされるに至ったのは第一次大戦から第二次大戦終戦までの間のことです。つまり、男女の平等は20世紀になって「人権」であると認識されるようになったわけです。勿論、こうした新しい人権は、自然発生的に生まれるわけではありません。先覚者たちが発見し、世論に訴え、次第に支持を獲得して行った結果、人権として確立されて行ったものです。

 今から四半世紀以上前、私が司法修習生だった頃、当時の国鉄を相手に「嫌煙権訴訟」を起こした人たちがいました。このニュースに接した修習生のほとんどは、「そんな権利は聞いたことがない」と言って冷淡な反応を示しました。けれども今日ではどうでしょう。「嫌煙権」は立派な自由ないし権利として確立されていると言って良いでしょう。修習生は間違っていたわけです。「聞いたことがない」から権利がないというのであれば、新しい権利の発見は望むべくもないでしょう。そうではなく、個人の尊厳から物を見たときに、人が本来どのように扱われるべきかが見えてくるのです。そうして初めて「新しい人権」を発見することができるのです。

 プライバシーの権利は変容を遂げつつあります。その萌芽は20世紀の初中期からみられましたが、その中心は干渉されない権利とか、不利益な情報を流されない権利という程度のものでした。しかし、20世紀末、コンピューター等の情報機器の発達により、情報の管理やコントロールがより重要な問題となって来ました。しかし、国の権力機構のごく一部が広範な国民の情報を収集、管理することの危険性についてはまだなかなか市民に浸透していません。もしかしたら、20世紀を長く生きた国民や法律家にはなかなか理解しづらい問題なのかもしれません。ならばこの問題は21世紀を生きる国民と法律家に残された課題と言えるでしょう。個人の情報が一元的に管理され、恣意的に利用されることの不気味さ、利用の仕方によっては個人に対する国民の評価を180度転換させることも可能な恐ろしさに思いを致さなければならないでしょう。人権のカタログに新たなページを書き加えることが、21世紀に生きる私たちの使命だと思います。
 
多数の参加を呼びかけます

 Nシステムは国民を網羅的に監視するシステムの走りともいうべきものですが、今日もなおその監視力を軽視することはできません。一方で画像認識のシステムはますます高度化していますし、他の監視機器とのリンクも進んでいるものと思われます。歯止めなき監視社会の到来を防ぐためにも第二次Nシステム訴訟の提起は重大な意義を持つと言えるでしょう。
 多くの皆さんの参加を呼びかけます。
 参加の要領は下記をご覧下さい。

原告応募要領

◆応募者の資格
 自動車を運転して使用している人。使用頻度は問いません。そのほか一切の制約はありません。
◆応募者の負担
 参加費として1万円をお支払下さい。印紙、切手等の実費に充てます。
 匿名での参加はできません。住所氏名は訴状に表示されます。但しプレス発表の際は個人の住所氏名は伏せます。
 毎回の口頭弁論期日や原告団会議等に出席していただけるとありがたいですが、無理をしていただく必要はありません。
◆応募方法
 一矢の会宛お電話又はFAXを下さい。折り返し訴訟委任状をお送りします。
 電話03-3780-0993 FAX03-3780-0992
◆締め切り
 2006年10月31日(当日消印有効)

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