裁判官から「間違いない」と聞けば納得する?
9時40分頃、裁判所の入り口がやけに混雑した。
今日は“ホリエモン”と“監禁王子”の期日がある、そのせいだろうか…。
9時55分から、東京簡裁・刑事1室1係(松本弘裁判官)826号法廷で、1月19日に傍聴した10t トラックの酒気帯びの判決。
その前に50分から、横領の判決。被告人(身柄。拘置所)の顔に見覚えあり。
東京都北区でオリックスレンタカーを借り、欲しいままに返還することなく自己のものとして用いた…。
あれ、この事件、酒気帯びのあとにすぐ始まり、ちらっと傍聴したやつだ。酒気帯びと同じく、今日判決なのか。
最終刑の執行後20年近くがすぎてるとのことで、懲役1年、執行猶予3年。
釈放されても、金は一銭もないという。レンタカーは、寝泊まりに利用するため横領したのだという。
だいぶ年配か高齢のように見え、うまくホームレス生活ができなければ、猶予期間中に弁当とか万引して刑務所で暮らすほかないのか…。切ない…。
55分から、酒気帯びの判決。求刑どおり罰金25万円。被告人(在宅)は、前回と同じジャンパーとズボンだった。
途中、やけに素敵な中年女性と、顔立ちがはっきりした若い女性が入ってきた。次の事件の、どっちかが被告人なのだろうか。いや、これから手錠・腰縄で入ってくる被告人の、身内なのだろうか…。
★
次の事件は窃盗だった。
被告人(身柄。拘置所。47歳)は、前夜会社の飲み会で飲みすぎ、カプセルホテルで泊まり、起きたが仕事にならないと思い渋谷から田園都市線で帰宅する途中、上り電車が混んでいるのを見て、あれならヤレると思い、三軒茶屋駅で乗り換えた。
乗客のショルダーバッグに目を向けていた被告人を、スリの警戒に当たっていた警視庁捜査第3課の警察官2名が怪しみ、被告人といっしょに上り電車に乗った。被告人は、池尻大橋駅へ向かう間に、立っている女性のバッグに手を差し入れ、何か探した。女性が被告人を見てバッグを引っぱったことから、被告人は手を引っ込めた。
渋谷駅へ向かう間に、被告人は別の女性の近くに立ち、女性が右肩にかけたバッグに自分の右肘を当てて幕をつくり、左手でごそごそバッグ内を物色。被害女性を押しながら青っぽい財布を抜いた。渋谷駅で被告人が走り出したのをみて、警察官らは被告人を現行犯逮捕。財布を差し押さえた…と検察官。
甲12号証は、被告人の手帳の複写。
現金いくら、朝かどうか、被害者は男かどうか、略語で記載されているという。フィリピンパブへ行った日には星印が付けられているという。
手帳でわかるスリの回数は53回、被害金額は126万円だという。ただ、それら被害については立証がなかった。
傍聴席にいた女性の、年上のほうが被告人の妻だった。
妻を証人尋問。夫が逮捕され、もう別れようと決めたが、思い直したという。
続いて被告人質問。
盗んだカネで買ったDVDソフトを売り(2000円)、現金8000円を足して1万円、贖罪寄付したという。
今後は、つきあいで飲み会に出ても、どこへも寄らずに帰り、通勤の電車内では、両手で吊革をつかみ、家族の(2人の娘の)ちっちゃいときの写真を持ち、妻と娘に指輪を1つずつ買ってもらい、足かせのつもりで両手につける、今は(鞄は)リュックタイプだが、お弁当は別にして両手に物を持つ、という。は~。
検察官(木村昇一さん)はこう責めた。
検察官 「ここまでくり返すのも不思議だが、それより不思議なのは、家族が見放さないことだよ。仲が良い? 非常に恵まれてるというかねぇ、そのへんよく考えたほうがいいぞ。(奥さんが情状証言するのは)普通は1回だよ。6回なんて、まぁず珍しいぞ」
えっ、ええーっ!!!
検察官 「子供が小さいときの写真? 平成2(90)年にやったとき、子供は小さかったんだろ? (写真など)戒めにも何にもならない、あんたにとって。まだわかってない、あんたは! 二度とやりません、今回が最後です、毎回毎回言ってきたんだよ! 累犯だから(今度は刑務所に)長く入る。よく考えてきなさい! 甘える気持ちを捨てなさい! 人を頼ったり甘えたり、どんどん堕落していって…。刑務所に入ってもわからなければ、人間、終わりだぞ!」
「(スリの常習犯は)熟練した技術、胆力が必要だ。盗癖は相当に深化し、固着している」と、懲役3年を求刑。若い弁護人が、最終弁論。
弁護人 「帰宅途中、上り電車の混雑を見て、つい出来心でやったものであり、偶発的側面を有する…。バッグを切ったり仲間で囲んだりするのと比べると軽微といえる。100件のスリは、そのような事実はない。三件茶屋駅から池尻大橋駅の間で、他の乗客を狙ったというのは、起訴の直前で急に出てきており、不自然。何らの秘密の暴露もない…」
被告人の最終陳述。
被告人 「あっ、ほんとにもう、被害者の方には申し訳ない。さっき検事さんが言ったように…。ほんとに天に誓って二度とこのような…誓います」
「…」の部分はメモ漏れ。私の傍聴メモには、この最終陳述に矢印をつけ、「慣れてる」とある。次回判決。10時55分閉廷。
次に私が傍聴する事件は15時50分。もう眠くてたまらない。
夜、某TV番組のVTR撮りの予定で、連絡が入るはずなのに、携帯電話を忘れた。それで、馬鹿馬鹿しいけれども、いったん帰宅して急ぎ仮眠することに。
★
仮眠して裁判書へ戻り、15時50分から、東京簡裁・刑事1室3係(堀内信明裁判官)534号法廷で、道路交通法違反の新件。1分前に入ったら、もう検察官の論告が始まっていた。
…が、あれ? なんか違うぞ? 新件じゃなくて、10月6日が第1回の、首都高5号線下り・南池袋のオービス事件の、第4回公判(論告・弁論)だった。
12月6日の第3回のとき、次回期日は追って指定となったのだ。
被告人は最終陳述で、こういう趣旨のことを言っていた。
被告人 「ごく普通に走っていて、速度違反だと取締りを受けた。そんな速度を出した覚えはないと言い続け、写真に写ってるから間違いないんだと言われ続けてきた。裁判官にシロクロつけてもらいたい。裁判官からお話をいただけば、警察や検察でとは違う意味で納得できると思う」
えーっ? 警察や検察じゃ信じられない、裁判官が「写真に写ってるから間違いないんだ」と言うなら納得できる、つまり、容疑の121㎞/h(61㎞/h超過)を出した可能性はある、そうとしか聞こえないんだけど。
ご相談者にも、
「絶対出してない。出したという証拠があれば罰金払う」
とか言う人がいる。
「絶対出してないんだから、出したという証拠があるはずがない」
と言いたいんだろうけど、「あるはずがない」と「あれば罰金を払う」とは、イコールじゃないんですよ。
被告人が言う、「裁判官から聞けば納得する」は、皮肉を込めた言葉なのかもしれないが…。
次回判決。16時03分閉廷。急いでまた帰宅し、VTR撮りの準備。何をやってんだ俺わ(泣)。
その撮影のカメラマン氏が、「私のこと覚えてますか」と。え…? 昨年6月の前後のあの嵐の時期に、何かの番組でお会いした…?
そうじゃなかった! ななっなんと、以前交通違反のことでご相談を受け、『ドライバー』でレポートさせてもらい、『交通違反ウォーズ!』にも収載させていただいたケースの、その人だった。
当時の情景がありありと思い出された。いや~、こんなところで、こんな形でお会いするとは!!!
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