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2007年1月17日 (水)

ハプニングバーで公然わいせつ幇助

1月16日(火)13時30分~

 

 今日は10時から殺人の新件。
 いやいや、ここは、やはり分をわきまえて(専門外に手を出すときりがないので)パスし、ちらっと仮眠。
 13時15分の道路交通違反の判決(審理は傍聴してない)からスタート…。
 の予定が、ちよと寝過ごし、かつぎりぎり電車(10分おき)に乗り遅れて、裁判所着は13時23分。げ~。

 

 13時30分から、東京地裁・第17刑事部(登石郁朗裁判官。幼稚園からエリートだったお坊ちゃん、みたいな感じ。いやゴメン。特徴をデフォルメして覚えるのが習性なので許してね)の723号法廷で、「公然わいせつ幇助」の新件を傍聴することに。

 

 公然わいせつ幇助って、あんまりないけど、もしかしてあれかな…と思ったらそれだった。
 起訴状朗読で、「下半身を露出し」「性玩具を挿入し」「陰部をなめるなどし」「乳房を露出し」「陰部をパンティーの上からなめるなどし」等の、中学生が喜ぶ言葉がばんばん出た。
 池袋のハプニングバーの事件だった。

 

 被告人は、ちょっと眉の濃い、普通のおじさん風。保釈中。
 38年間、東京都の西のほうの市役所に勤務したのだという。
 少年野球の監督をしたり、サッカーの審判の資格を持ってたり。
 ところが、市が合併することになり、00年末に勧奨退職に応じた。
 年金が出るまで、と喫茶店をやることにした。
 当時、ドトールコーヒーとか流行って、一般の喫茶店は衰退の時期。
 フランチャイズは大金が必要だし、公務員時代何十人もの部下がいて人をつかうことに疲れていたこともあり、かとって自分に技術があるわけじゃなし、いろいろ検討した結果、カップル喫茶をやることにしたのだという。
 04年、お客の薦めもあり、もっと売上を得ようと、単独男性も受け入れることにした。
 それがハプニングバー。

 

 40年近く公務員をやってきて、始めた喫茶店がなぜカップル喫茶なのか、裁判官はどうにも理解できなかったようで、何度も理由を尋ねていた。
 被告人の答は、先に供述したことの堂々巡り。

 

 紙に書いて、法曹界の他の者がその紙を見たとき、さくっと納得するような、そういう理由を求めるのだな裁判官は、という臭いを失礼ながら私は感じてしまった。
 これはオービス事件にも共通する。
 真実はどうせわからない。だから調書に書かれて署名押印があることを拾えばいいのだ…。紙の上で整合してるように見えれば、とりあえずいいのだ…。紙の試験に勝ち上がってきた人の、紙の世界…。裁判所の限界…。
 そういうものを、どうも感じるんだけど、如何でしょう。

 

「二度としないと、当法廷で誓えますか?」
「誓います」
 お定まりの手続きを経て、求刑は懲役3月。
 被告人は、伊豆のほうで余生を暮らすのだという。
 前科はないようで、ま、これは執行猶予だろう。

 

 マニア的には、通常は被告人に示す、甲号証の写真を、
裁判官「写真を示すほどのものではないですね」
 と示さなかったのが、私としては初めて見るシーンだった。

 

※2014年追記: そんなのが「初めて見るシーン」とは、この当時、争いのある事件を多く傍聴していたのか…。

 

 あと、未成年者を入れず暴力団ともとくに関わらず、ハプニングバーをやることの、どこが悪いのか、法廷的な考え方も興味深かったね。

 

 詳しくは、「裁判傍聴愛好集団刑裁はうす」か阿曽山大噴火さんがレポートしてくれるんじゃないかな。

 

 私は次の事件の時刻が迫り、求刑を聴いて退席。

 

※2014年、さらに追記: 判決は懲役3月、執行猶予2年、訴訟費用(国選弁護人の費用)不負担。詳しくは拙著『裁判中毒』に収載。 あと、13時30分からの、事件名に「わいせつ」の4文字があって傍聴席20席の事件を、13時23分頃に裁判所へ行って傍聴できた、ということに驚愕を覚える! 今は傍聴人が爆発的に増え、とくにエロ裁判は大人気なのだっ。

 

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