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2007年1月26日 (金)

『それでもボクはやってない』を観たよ!

1月25日(木)13時55分~

 警視庁でまた3件ほど開示請求し、12時をすぎた。
 公務員を38年間やって勧奨退職に応じ、ハプニングバー(スタート時はカップル喫茶)を始めたという被告人の公然わいせつ幇助の、13時15分から判決。
 傍聴したいけれども…。
 えーい、スケジュール的にもう今日しかない!
 てことで昼食をとる暇もなく地下鉄で新宿歌舞伎町へ。
 コマ劇場前の広場に面した、なんていったっけ劇場で(客席がかなり多い)、12時55分からの回の、『それでもボクはやってない』を観ることに。

 や~! これは何と言っていいのだろう。
 昨晩あんまり寝てないし、映画は2時間半もあるっていうし、ちょっとでもダレたシーンがあれば(なくても)もう絶対居眠りするなぁ、でも今日しか行けないしなぁ、と行ったのだが、なんとまったく眠らなかった。眠くもならなかった。

 自白の強要だとか、被告人側の証拠請求がじゃんじゃん却下されることとか、そういう部分は、あの伝説(だってもう絶版だもんね)の名作『交通被告人 前へ!!』(小学館スピリッツコミック)の原作を書いた私には、べつに新鮮味がない。
 のだけれども!
 それでもやっぱり見せてくれるうえ、細部のリアルさに度肝を抜かれた。
 もう、ぷぷっと吹き出しそうになったよ。
 裁判所の外で、マイクで何かわめいてる人がいるんだが、霞が関の裁判所ビルへ通ってる人は、「そんなとこまでリアルにやるかよ!」と、もう笑っちゃうんじゃないかな。

 細部といっても、もちろん、私が知ってる範囲の細部だし、裁判所のロビーや階段の造りについては「あんな裁判所あるか?」と思うし、喫煙所についても、建物内にありながら隔離された小部屋じゃないのには違和感があるとはいえ、法廷のなか、審理のシーンは、すごいよ! すっげぇよ!

 裁判官が奥のドアから入ってくるとき、その直前にちょっと固い音が聞こえることとか、裁判官が壁の時計を見上げる雰囲気とか、「壇上で居眠りしてるのか?」と傍聴席からは見えるときの裁判官の表情とか、それに、証人尋問、被告人質問のやり方とかね。
 検察官の雰囲気や表情もそうだ。
 よっくもあれだけリアルにつくれたもんだ。
 映画監督と俳優をはじめ映画人のすごさに、驚愕したよぅ!

 公判は、平日の、原則10~17時しかやらない。
 そんなんじゃ傍聴に行けねーよ、という方、ぜひぜひ“それボク”をご鑑賞ください。
 真っ向否認の事件は、東京簡裁のオービス事件ではときどきあるが、全体としてはごく少ない。少ない否認事件は、まーさーに! あんなふうに審理、判決、されるんですよ。
 それを、捜査段階も含めて2時間半くらいで観られるのは、チョーお得だと思う。
 
 ところで、
「だから、国民の真っ当な感覚が必要なのだ。裁判員制度が必要なのだ」
 という論法もあるようだが、私にはそうは思えない。
 否認事件の場合(自白事件でも!)、真実が何か、結局だれにもわからない。
 たいてい、各証拠は、突き詰めれば(とくに突き詰めなくても)有罪とも無罪とも、解釈し得る。
 裁判官が、何か専門的なことを言って有罪へリードしようとした場合、
「もしかしたら有実の者を自分は無罪と考えてるんじゃないだろうか。有実の者を無罪としたら、被害者・遺族は浮かばれないし、被告人は舌を出してまた凶悪犯罪をやるかもしれない」
 という不安に逆らって、
「それでも私の意見は無罪です」
 と言い続けられる裁判員がいるだろうか。
 そして、終わってから、
「裁判官がこんなセリフでリードした。あの裁判員とあの裁判員が、こう引きずられた。私はこれこれの理由で無罪と思う」
 と誰かに言えば、守秘義務違反で処罰されるのだ。

 だいたいやね、国は、
「裁判官だけだと無辜の者が有罪とされるので、だから裁判員制度にするのだ」
「裁判官の量定は非常識なので、だから裁判員が必要なのだ」
 と言ってるか?
 国にとっては、現行の裁判はすでに十分に公平・公正・妥当・適切であるのだ。
 そこに、国民の荷担を強制する、それが裁判員制度なのだ。 
 国民の参加が必要だとしても、国民が求めて勝ち取るならわかるが、国家が強要して義務づけるって、はは~、そういう制度であり、そういう時代になったんだなぁ…。

 民主党や社民党や日本共産党に政権を与えるのは不安だから、自民党に投票する(公明党支持者は不動)、または、投票しないことで自民党と公明党に勝たせる…。そんなことをこのまま続けていると…。

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