松崎しげるさんの無免許
松崎しげる不満「無免許」警察の通達なかった
警察に対して不満をぶちまけた松崎しげる
昨年11月2日に効力のない国際運転免許証で車を運転し、バイクの男性にけがをさせ、今月2日付で警視庁世田谷署に道路交通法違反と業務上過失傷害の疑いで書類送検された歌手の松崎しげる(本名・茂幸、57)が6日、札幌市内のホテルで会見。「法のペナルティーは受けるが無免許運転の指摘はおかしい」と語り「気持ちの整理がつくまで今後の芸能活動を自粛する」と発表した。
けがをさせた被害者に対し平謝りの姿勢を示す松崎だが、「無免許」とし書類送検した警察に対しては不満も。松崎は89年に米国で国際運転免許を取得。その後、ロスかハワイで毎年、免許を更新してきた。02年に日本の道交法が変わり発行元の国に3か月以上滞在しなければ効力を認めないという現行規定の通達は「一度もなかった」という。今後、警察署に出頭することがあれば「もう一度話し合いたい。免許は家族のために日本で取得する」と断言した。
とスポーツ報知(上掲は記事の一部)。
この問題を詳しく知りたい方は、まずは『月刊交通』2003年7月号の「特集 運転免許行政の国際化」を読むといいです。
同誌は、大きさも厚さも『交通の教則』とおんなじくらいで(しかし表紙以外カラーじゃない)、書き手はほとんど警察職員なのに、820円もする。一般人は私みたいなマニアしか読まないので高いのかしら(笑)。
上掲記事には少し誤りがあるんじゃないかな。
同誌の記事には、こうある。
「なお、この3月の期間については、当該、国際運転免許証発給国にのみ滞在していることを要するものではなく、出国先は数か国に及んでもかまわない」
つまり、出国から入国までの間に、とにかく3カ月の期間をおけ、ということ。
パスポートにより出入国のその期間が3カ月間あることがわかれば、その国際免許証は有効。
3カ月間ないことがわかれば、無免許運転に当たるとされる。
無免許運転は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金。
違反点数はイッパツで19点。
免許がないんだから取消処分にはならないが、後日免許を取得しようすると「拒否処分」の対象とされる。
02年6月1日から、突然そんなことになったのだ。
02年6月1日から、酒気帯びや無免許の罰則が強化され、「同乗者も罰金30万円。5人乗ってれば合計150万円!」というデマが流れたりもした。
けど、この「3カ月」のことは、だーれも知らなかったんじゃないかな。
そんなので処罰されたら、かなわん?
そりゃそうだ、そんなので普通は処罰されない。
普通は不起訴になるだろう。起訴されても、刑の減軽が期待できる。
刑法第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。
こんな無免許を検察は起訴しないだろう普通は。
島田陽子さんも過去に同様の無免許とされたが、不起訴になった。
行政処分のほうも、「意見の聴取」を経て、「拒否処分」ではなく「保留処分」(国内免許がある人の停止処分に相当する処分)になるんじゃないかな。あるいは、処分猶予か。
上掲報道を見る限り、「芸能活動を自粛する」ようなことでは、まったくないと私は思う。
しかし、いちおう法律上、松崎さんは無免許運転に当たるので、警察は検挙・送検できる。
世間は、検挙・送検されたらもうオシマイ、と思うのかもしれないが、日本はそういうバカげた制度をとってない。
警察が検挙・送検した後、「処罰すべきか」を検察がまず判断し、検察が「処罰すべき」と思ったら起訴し、裁判所が「処罰すべきか」「すべきとしてどれくらいの罰が適当か」を判断する、そういうシステムになってる。
ただ、「略式」という裁判手続きがあってねぇ、これは「中身には関係なく、外形的な争いようのない事実だけでもって罰の重さを決め、処罰しちゃいましょ」というものなのだが、よく知らない人は(つまりたいがいの人は)、「いちおう裁判なんだから中身も検討してくれるんだろ。俺は無罪か相当寛大な刑になるはずだ」とか勝手に思って、「略式でお願いします」という書面に署名・押印しちゃう。
松崎さんはどうするんだろ。
ともあれ、警察としては、上記「3カ月」のことをただで大々的に宣伝できたわけだ。
ところで、なぜ「3カ月」なのか。
これは、要するに、国際免許証での運転をしにくくして、日本の免許証を取得させるために「3カ月」という期間を設けた、というほかないでしょ。
日本の免許証取得にかかる費用は、世界一高いとか言われる。
全日本指定自動車教習所協会連合会は、警察の天下り先だ。
免許証の取得や更新の事務は、都道府県の交通安全協会に独占委託されている。
試験場内の食堂も、安協の経営じゃないかな。
脅威のベストセラー『交通の教則』の発行は全日本安協が独占している。
警察の縄張りへ落ちるカネを確保したいから「3カ月」という期間を設けた、とだけは断言しないけれども、そういう側面は確かにあるんじゃないのかな。
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