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2007年3月27日 (火)

憲法と良心に従った無罪判決

3月26日(月)15時30分~

 先週見た開廷表では、竹澤宏之裁判官(新しい人)となってたが、今日廊下の開廷表を見ると堀内信明裁判官だった。
 堀内さんは移動になったのでは…?
 そっか! 代読させず、自分で言渡すのか、おお~!

 傍聴席には、私のほかに11人もいた。
 司法記者クラブの記者らしき若い人たちが数名いた。

 検察官は3人。
 裁判官席に近いほうが、黒服の見かけない女性。
 次が、いつもの立会検察官、濱田立さん。
 その次が、遠藤薫さんといったっけ(間違ってたらごめんなさい)、長身で背が丸い、暗い感じの人。この人は、少し前に立会をやってた。
 この事件の第1回公判は05年6月10日。もしかしたら、代々の立会検察官が今日は並んだと、そういうことかもしれない。違うかもしれない。

 壁の時計で15時27分30秒頃、堀内さんが登壇した。
 法廷ではもう会えないと思っていた堀内さんのお顔を、私はまじまじ見た。
 近所の小学2年生のTちゃんに、ほんっとよく似てる。

 15時28分過ぎ、
「それじゃ…」
 と言って被告人を証言台の前に立たせ、判決の言渡しが始まった。
「主文、被告人…」

 事件は、「世田谷区清掃・リサイクル条例違反」。
 04年11月10日7時24分頃、世田谷区代田2丁目23番3号で、区の古紙回収のために出されてあった古紙12.1kgを、無断で普通貨物に積み運搬した、というもの。
 その行為を、世田谷区の条例による、20万円以下の罰金の対象となる犯罪、として検挙されたというものだ。

 警察に頼んで検挙する(当然、処罰の手続きにのせる)からには、検察庁とも協議しているはずだし、社会は条例でもってどんどん民を規律していこうとする傾向にもあるようだし、これはもう、被告人・弁護人のほうがどう抵抗しようと、結論は有罪じゃないのかな~、くらいに私は思っていた。
 ところが…!!

被告人を無罪とする

 私は思わず「おわ!」と声を漏らしてしまった。
 詳しい説明は省くが、ホンモノの完全な無罪を傍聴するのは、私は初めて!!
 感動したというか驚いたというか、誰も「きゃー」とも「わー」とも言わないことが、異様に感じられた。
 司法記者クラブの若い記者諸氏よ、その若さで無罪を傍聴できるとは、き、貴様ら、許せんっ! 俺はここまで52年かかったんだよぅ(泣)。
 はい、ここでCM入りまーす。

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 さて、正確には判決書きを読んでみないとアレだが、私の傍聴メモによれば…。
 いや、途切れ途切れのメモを再生してもしょーがないし、その時間もないので(いまほんっと忙しいのね)、私の感想だけ言うことにしよう。

 これ、無罪判決だから、古紙の持ち去りはぜんぜんオッケーなのかといえば、そうじゃない。堀内さんは、そんなことぜんぜん言ってない。
 ただ、自治体が、条例のそもそもの目的に沿う努力をせずに、安易に罰則を設けて排除しよう、処罰しようというのは、それはダメだよ、こんな罰則規定は、条例の制定権を超えるよ、条例自体が違法だから無罪だよ、とまぁそういうことと私は聞いた。
 あらゆる角度から子細に検討して、最後には、国の最高法規である憲法と、裁判官としての良心に従った、そういう判決と聞こえた。

 16時13分、言渡しの途中で、堀内さんの声の調子がおかしくなった。
 なんか、震えてるような。
 裁判官が45分ほど1人でしゃべり続けることは、滅多にない。
 喉の調子がおかしくなった、のかもしれないが、私は、なんというか、堀内さんは感極まったのではないかと思えた。
 風の噂(?)によると、堀内さんは令状係に移動になったらしい。
 もしそうなら…令状発布の実務も大事とはいえ、この判決が、長い裁判官人生の最後の判決ということになる。
 最後に、憲法と良心に従った、しかも、安易に条例で刑罰を科そうとする昨今の風潮に警鐘を鳴らす、満足のいく無罪判決を書けて、感極まったのではないか、と。
 どうせなら、その無罪を、オービス事件で書いてほしかった、いや、堀内さんも内心そう思っていたかもしれない…。
 と、東京簡裁へ通い詰めてる傍聴マニアの妄想は尽きないのでありました。

 16時17分に言渡しは終わり、ざわざわと被告人だけ交替し、すぐに次の判決。
 これも無罪だった。
 判決の構成も証拠もほとんど同じなうえ、この被告人は先ほどの言渡しを傍聴席で聴いていたそうで、異なる部分のみ説明して、16時19分閉廷。
 私は急ぎ警察庁と警視庁に用事があり、帰る。

 どうやら、午前中の2件も無罪だったらしい。
 明日の3件、明後日の2件はどうなるんだろう。
 世田谷区のこの一連の事件で、無罪率の統計に大きな影響が出るかもしれない。
 東京簡裁に通い詰めて、もう4年くらいになるか。
 いや~、びっくりしたよぅ。
 次はオービス事件でびっくりできるよう、私も努力したい!
 などと力が湧いてくる判決だった。堀内さん、お疲れ様でした。

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