オービス身代わり出頭 本当は無実?
5月14日(月)
ぎりぎりまで原稿を書いてから、浜島望さん(『警察の盗撮・監視術―日本的管理国家と技術』)と待ち合わせ、栃木方面へNシステム踏査に出かける。
盛りだくさんな1日だった。
以下その一部…。
関東ダンプの栃木分会で、下野新聞を見せてもらった。
栃木県さくら市の市議会議員(63歳)が、免停中に国道4号のオービスに撮影され、知人(68歳)を出頭させて罰金8万円の略式命令を受けさせていた、罰金は議員が払った、議員は知人に「身代わりの報酬」として10万円を渡した、という事件について、下野新聞は連日一面トップでデカデカ報じてたんだね。
これ、もしかして、下野新聞のスクープだったの?
以下、刑法より抜粋。
(教唆)
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
(犯人蔵匿等)
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
交通違反の身代わりは、何件か傍聴したっけ。
フェイクデリックのオーナーの件(判決は懲役2年・執行猶予5年)は、執行猶予中に業過致傷で措置義務違反の犯人隠避教唆だったけれども、ずばりオービスの、本件議員のとほぼ同様のも傍聴したことがある。
その被告人は有名な会社の社長か会長だった。
罪名は「道路交通法違反・犯人隠避教唆」。
判決は懲役1年・執行猶予3年だった。
その後、身代わり出頭したという人物(のスピード違反の罰金刑)を、検察官請求の再審で無罪にする公判も(東京簡裁で)偶然傍聴した。
事件番号は「平成×年(ほ)×号」だった。
まぁすっごい事件だったよ。
本件議員も、とくに前科とかなく、然るべき情状立証をすれば、懲役1年・執行猶予3年くらいで終わるんだろう。
知人男性は、罰金8万円について再審で無罪とされ、それとは別に、犯人隠避で、略式処理か公判請求になるんだろう。
そんなことより私が気になるのは、5月13日付け下野新聞の記事にある、
「『10キロか20キロオーバーの速度違反をした。罰金を払うだけだから、代わりに行ってくれないか』などと依頼」
という部分。
身代わりを依頼するに当たり、「軽いことだからちょっと頼むよ」という調子で言ったのか?
そうかもしれないが、もしかしたら、本当に10~20キロの超過と思っていた(少なくとも40キロ超過とは夢にも思っていなかった)のかもしれない…。
「免停中だから十分注意して運転してたが、10~20キロの超過でまさか捕まるとは。出頭してキップを切られて、ちょろっとバッキンを払えばすむから、代りに頼むよ」
という調子だったのかもしれない。
本件オービスは、オービスマップなどによると、東京航空計器のオービスⅢLk。ループコイル式で電子式(画像伝送式)のやつだ。
※ 画像は、警視庁保有のⅢLk(柱上型)の仕様書の一部。
これは、ってどのオービスもそうなのだが、写真に焼きつけられた記号(測定値とされるもの)が、測定値を示す唯一の証拠でありながら、実際の走行車両の速度とその記号との一致について、一切チェックをしてないらしい。
しかし、オービスのメーカー社員は、オービスは絶対に正しい、絶対にプラス誤差を出さない、と法廷で(何の客観的裏付けもなくただ)言い張り、被告人はみな有罪にされていくのだ。
仮に本件議員が、スピード違反については無実だったとしても(測定値は誤っていたとしても)、オービスについてのそこまでの知識はなく、
「おっかしいな。でも、警察の取締り装置が40キロオーバーだと言うからには、たぶんそうなんだろう」
という程度の認識でいるのかもしれない。
誤測定と確信があっても、
「今さらそんなことを言っても、さらに立場が悪くなるだけ」
と思い、非難の嵐が過ぎ去るのを、執行猶予付き判決で終わるのを、ただただ身を縮めて待っているのかもしれない…。
わかんないけれども、確かなのは、オービスの信頼性を客観的に裏付けるものは一切ない、ということだ。
ループコイル式の誤測定のカラクリについて、車中、浜島さんから重要なヒントを得る。うおう!
右の画像は、国道17号の、更新されたNシステム端末。
筐体1個のタイプだが、先日交番の屋根に見つけたN(らしきもの。以下同)とは若干違う。
その下の画像が、“交番N”のアップ。
帰りに、その“交番N”を見に行く。
びっくり!
車が通るたびに、ストロボ部分が赤く発光してたよ!
…でも、発光しないことが、少なくとも1割くらいある。二輪車にも発光するが、その不発光は四輪の場合より多い…。
あれは、いったい何なんだろうと、浜島さんとマニア談義。楽しいな~(笑)。
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