事故は保険金詐欺だから免許取消処分は無効?
東京地裁の場合、道路交通法違反は、ほとんどすべて「新(新件)」か「判(判決)」かどっちかだ。
第1回または第2回で判決まで終わるってことである。
自白事件だってことである。
「審(審理)」だと、否認事件の可能性がきわめて高い。珍しい。
というわけで7月11日(水)、東京地裁で道路交通法違反の「審」を傍聴してきたよ。
前回傍聴した礼田計さんから、ぶっ飛びの内容だと情報をもらってた事件だ。
被告人氏名は、開廷表で何度か見てたような記憶があるが、傍聴するのは私は初めて。
刑事11部、403号法廷、平木正洋裁判官。ナレーター調の人だ。
書記官は、以前東京簡裁にいた人だった。そういうことってあるんだ~。
傍聴人は、礼田計さんと私を含め、計13人。男ばっか。なんで? 警察官や聴聞官が証人出廷したそうで、注目されてるんだね。
この日は論告・弁論。
被告人は身柄(拘置所)。
実際にはそうでもないのかもしれないが、だいぶ高齢に見え、耳がかなり遠く、書記官から補聴器を借りていた。
いや~、これが、びっくりの内容だった。
03年5月29日 指定駐禁 2点
04年2月5日 指定横断禁止 2点
04年7月23日 軽傷人身事故 4点
処分の前歴が2回以上あるらしく、05年1月28日に「意見の聴取」を経て取消処分365日を食らい、
05年3月6日 不服申立(異議申立)
そして、
05年5月29日 タクシーを無免許運転
05年10月28日 タクシーを無免許運転
06年4月14日 公安委員会は異議申立を棄却
被告人は、6カ月間無事故・無違反なら点数はゼロになるのに(←完全に勘違いだが被告人はそう確信している)ゼロにならないのは府中の試験場の担当官の重大なミスであり、かつ、人身事故は保険金詐欺の事案であり、したがって無免許ではない、と言うのだ。
それを、最終陳述で、興奮してくり返し言うのだ。
その内容は2通の上申書にまとめてあるそうで、平木さんは、上申書で足りないことのみ簡潔に述べてくださいと何度も言うのだが、被告人は聞かず、興奮してくり返すのだ。
裁判官 「あのぅ、今の話も3回目くらいになるんだけども、ほかに言いたいことは?」
被告人 「何度もくり返しますけど…」
と4回目を話す、という調子。
被告人 「あの男は重大な犯罪者であります! 私は断言します!」
興奮して、もうどうにかなりそうな感じ。永遠に続きそう。
刑務官がさらに2人現れた。
そのタイミングで平木さんが「もういいですか?」と言うと、被告人はあっけなく陳述を終えた。おぉ~。
6カ月無事故・無違反なら、というのは被告人の勘違いだが、保険金詐欺については、ま、あり得る話ではある。
ケガなどなくても、「首が痛い」とか言いさえすれば人身事故になり、治療費等が出る。
運転者に対する行政処分は、交通安全協会の利益と結びついてることも関係するのか、警察はとにかく点数を付して処分したがる。
ある意味、警察が保険金詐欺を後押ししてる、ともいえる。
しかし、被告人は担当警察官が詐欺犯と共謀してると言い、それはちょっと考えにくいんじゃないかと…。ま、事実はわかんないけど。
被告人は、処分は無効だから今後も運転を続けると、明言してるそうだ。
求刑は相場どおり懲役5月。次回判決。
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改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?―警察では教えない126の基礎知識 著者:今井 亮一 |
◆ 裁判員制度はいらない!大運動 ◆
昨日の名古屋高裁のオービス事件、さっそく傍聴記をお送りいただいた。
ありがとうございます~。
それによると、被告人側の証拠調べ請求はどんどん却下され、次回(9月3日午前11時)判決となったそうだ。
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