車間距離の取締りに新兵器!
秋田県警が“新兵器”を導入したそうだ。
以下は、秋田魁(さきがけ)新報の記事。
「あおり行為」の摘発強化へ 県警高速隊が車間測定装置導入
県警高速隊は、高速道路走行時に適正な車間距離を保っているかを測定する装置を導入、12月20日から車間距離不保持車両の取り締まりに乗り出す。「あおり行為」などを行う悪質な車両などを重点的に取り締まり、事故の一因となる車間距離不保持車両を減少させるのが狙い。
この装置は、車間距離を瞬時に測定するレーザー距離計と違反状況を撮影する電荷結合素子(CCD)カメラ、それに違反場所を特定する衛星利用測位システム(GPS)を搭載したもので、パトカーに積んで使用。高速道で車間距離不保持車両を発見した場合、車両の斜め後方を同じ速度で並走して取り締まる。車間距離不保持とみなされた場合は、その場で警察官が停止を求め、測定したデータや写真などを違反車両の運転手に示し、摘発する。
道路交通法第26条では、同一方向に走る前方の車両への追突を避けることができる距離を保つことが義務付けられており、違反者は普通車で6000円の反則金、違反点数1点。
パト内のその装置と被疑車両との距離、ではなく、被疑車両とその前走車両との距離を、どういう仕組みで測るんだろう。
高速道路交通警察隊の資器材は、全部がそうなのか知らないが、警察庁が国の予算で購入等するのかな、と私は理解している。
記事からは、この装置を誰が購入等したのか、わからないけど、秋田県警は少なくとも装置の取扱説明書の類は保有しているはず。
なので、取説と、購入またはリースの契約を秋田県警がしていればその契約書と仕様書を、さっそく開示請求してみよう。
ところで、こうやってきちんと証拠をつくろうとするのは良いことなんだけれども、一方で、警察組織・警察行政にとっては良くない面もじつはある。
1つは、装置を用いずに車間距離不保持の取締りをしたとき、
「なんであの新兵器を用いなかったんだ。こんなのは認められない!」
とゴネる運転者が出てきかねないこと。
車間距離だけでなく、他の現認だけの取締りにおいても、
「車間距離みたいな証拠がないのかよ。こんなのは認められない!」
とゴネる運転者が出てきかねない。
とくに、追尾式のスピード違反取締りにおいては、
「同一車間で追尾したから、パトカーの速度が俺の速度だって? 同一車間だったって証拠があるのか。車間距離の取締りには、あんな新兵器を導入しといて、スピード違反は警察官の目視だけって、おかしくないか。こんなの認められない」
となりやすいんじゃないか。
だったらパトカーと被疑車両との車間も、レーザー距離計で測ればいいと思うかもしれないが、現実には、そんなきっちり測ったら、追尾式の取締りはほとんど行えないんじゃないか。
※ 追尾式の取締りの詳しいやり方は、『改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?』のQ035を。
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改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?―警察では教えない126の基礎知識 著者:今井 亮一 |
あと、装置の信頼性。
信頼性の裏付けとなる客観的データ(第三者的立場の技術者・学者がそれを見て「おお、これなら信頼できる」となるデータ)を出せば、
「じゃあ、オービスではなんでそういうデータがないんだ!?」
となってしまう。
え? この装置でも、そんなデータは出さない、出さなくても裁判所は信頼してくれるって? あ、そうか…。
※ 違反とならない車間距離とはどれくらいで、その根拠は何か、については別の機会に。てゆっか、それは警察のほうで周知すべきはず。この装置を用いた取締りは12月から実施されるそうで、そのときには秋田県警が発表するんじゃないかな。
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