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2008年1月31日 (木)

その髪を切ったら人生変わるんじゃないか

1月30日(水)

 10時30分から、東京高裁720号法廷で、「傷害」の判決。
 被告人は不出頭。
 千葉のコンビニで、菓子パン1個をズボンの右後ろポケットに入れ、カゴにカレーパン3個を入れてレジへ行き、後ろの客(柔術の心得あり)から「万引になっちゃうよ」と言われ、店長が警察を呼んだので立ち去ろうとして、止めようとした客を蹴った、というふうな事件。
 原判決(罰金20万円)破棄、罰金10万円。
「罰金20万円は、重きに失するといわざるを得ない」
 えーっ、控訴審で罰金の原爆もとえ減額って、初めて傍聴したんじゃないかな。

 10時45分から、簡裁826号法廷で、「道路交通法違反」の新件。
 ちょうど45分に入ると、前の「窃盗、占有離脱物横領」の被告人質問をまだやってるところだった。
 すべて同種の前科・前歴多数。累犯関係にある前科もあり。服役経験5回。最終刑を仮釈放後、1年たたずしての本件犯行は、ふすま1枚を隔てた同僚の部屋へ、ゴミ出しをしてやろうと入り、こたつに置かれていた財布を窃取、その後、安易に足にしようと他人の自転車に勝手に乗ったんだそうだ。
 43歳の誕生日を取調室で迎えたそうで、求刑は懲役3年。
 服役前科が多数ある被告人は、最終陳述をじつにすらすら上手に述べるのだった。

 11時をすぎてから、「道路交通法違反」の新件へ。
 身柄(拘置所)の被告人が入ってきて、一瞬、ギョッとなった。濃い髪が、口の上あたりまで垂れて、顔がぜんぜん見えない。
 起訴事実は無免許運転。車のチューンというか整備が好きだそうで、寄宿先の主人の車の、タイヤを交換してあげるに当たり、車を持ち込んだほうが安いからと、タイヤ屋を探して運転したらしい。
 木村昇一検察官の、ちょっと説教を交えた被告人質問に対する被告人の供述は、そんなの当然わかってるよ、車関係の仕事を始めることになってるんだから、任せとけよ、みたいな雰囲気がどうも感じられた。
 しかし(木村さんもしきりに心配していたが)無免許で車関係の仕事を始めるって、絶対ムリがあると思う。
 車を運ばねばならなくなったとき、どうするのか。
「知ってるレッカー屋がいるんで、そういう人に頼んで…」
 と被告人は言っていたが、他人の商売のためにそうそうタダでレッカーしてくれる者がいるはずもなく、結局は、儲けを出そう、赤字は避けようと、また無免許運転してしまうんじゃないか、それがお決まりのパターンなんだけどと、無免許運転の裁判だけで100件くらいの傍聴してきた者としては思わざるを得なかった。
 直ちに判決。罰金20万円、満つるまで算入。訴訟費用は不負担。
 あの髪をすっきり切ったら、人生だいぶ変わるだろうにと、薄い短髪の私は思うのだった。

 同じ法廷で11時50分から、「住居侵入」の判決。被告人は在宅。
 深夜、女性の肢体を覗き見るため、アパート玄関前の通路へ侵入したのだそうだ。
 同種罰金前科多数あり。本件犯行の1年足らず前に、同種事案で懲役1年、執行猶予2年の判決が確定しているのだという。
 判決は懲役1年。訴訟費用は不負担。
 終わって検察官が被告人に言ってた。
「確定したら検察庁で手続きしてね。いなくなったりしないでね。もし逃げたりすると全国手配がかかるから…」
 1階で、その被告人と弁護人が話してるのを漏れ聞いた。控訴するようだ。

 今日の826号法廷(刑事1室1係)は、岩垂正起裁判官ではなく、武内晃裁判官だった。武内裁判官の公判を、私は2004年から2005年にかけて15件傍聴している。その後、松本弘裁判官になり、2007年から岩垂正起裁判官になった。今日だけピンチヒッター?

 ちょっとナゾのメッセージを。傍聴を重ねてると、冤罪臭いけど弁護人の弁護にも問題があるのでは、と思うことがある。「こんなの絶対無実だ! 警察、検察、裁判所が悪い!」とか、やたら息巻くのは、弁護人のやることじゃないはず。緻密に防御し、攻めなければ。なんであそこを突っ込まないの? と思うことがある…。

 農林水産省地下の第5食堂で、フライ盛り合わせ定食(半食)440円。満足~。

 13時15分から、東京地裁415号法廷で、「業務上過失傷害」の判決。
 被告人(在宅)は、若めの女性。検察官は、以前簡裁のほうで立会いをやってた濱田立さん。禁錮1年2月、執行猶予2年。被告人は申請により免許の取消を受けたそうだ。

 13時30分から、東京地裁406号法廷で、「強盗等」の判決。
 1時間もとってるので、なんだろと傍聴してみた。傍聴席はパラパラだった。
 「等」は、暴行、強姦、強姦致傷など。そういう罪名も開廷表に書かれていたら、満席だったんじゃないか。
 懲役16年(求刑は20年らしい)、未決600日算入(事件番号は平成18年)、仕込みナイフ1本、手錠2個、ヒモ1本を没収、そして、一部無罪。
 被害者は、援助交際(売春とどう違うんだろ?)に応じた、いずれも20歳前後の女性ら、A嬢、B嬢、C嬢、D嬢、E嬢で、判決理由には、「両手両足に手錠をかけ」「口の中に放尿」などの言葉が聞こえた。避妊具を用いず、膣内に射精もしたらしい。
 1984年に、連続強姦で懲役13年を宣告され、仮釈放までだいぶ長期間服役したんだという。
 一部無罪は、E嬢のぶんで、E嬢は3回の公判不出頭をくり返したんだそうだ。したがって、弁護人が不同意としたE嬢の調書は採用できないからという、つまりは法律手続き上の無罪らしかった。

 15時ちょいすぎ、角川書店へ。新書の校正刷りのチェック。

 お知らせ: 2月8日というのは私の間違いだったようで(ごめんなさいっ!)、2月1日、新雑誌『冤罪File』が創刊される。表4を除いて広告なし、128ページで380円。当面は季刊。私も、当ブログで少し紹介してきた「スリ未遂冤罪」について、どかんと6ページにわたってまとめさせてもらった。
 冤罪が次々と報道され、来年には裁判員制度がスタートする予定のこの時期、まことに時宜を得た創刊であり、今週発売のサンデー毎日、2月1日の「The Japan Times」、2月2日朝6時30分過ぎのTBSラジオなどで取り上げられるそうだ。

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