主文。検察官の証拠調べ請求はいずれも却下する
昨夜、娘さんたちと別れてから新宿で酎ハイ2杯飲んだのが効いたか、二日酔い。しかも雪。えーっ、今日はパスしようか。と玄関を出るまで何度もぐらぐらしたが、また裁判所へ。
10時30分から、東京高裁・刑事7部(植村立郎裁判長)717号法廷で、11月7日と12月19日に傍聴した「偽証」(原審無罪。検察官控訴)の審理。
と思って出かけたのに、電車のなかで手帳を見たら11時30分からだった。また間違えたよ、バカ野郎っ!
電車で、若めの女性から初めて席をゆずられた。
女性は、座ってるのを立ってゆずったのではなく、目の前の空いた席に座らずニッコリ私に「どうぞ」と言ったのだが、そうか、私もとうとう席をゆずられる歳になったか。がびーん。
ま、立ってるとき、私は大あくびを連発してたので、可哀想に思ってくれたのかな。
10時15分に霞ヶ関に着き、農林水産省の地下の食堂をぜんぶ回ったところ、第6食堂(軽食)と、第1食堂の一角の喫茶部だけしかやってなかった。うーむ、と唸って裁判所へ。大きいほうの食堂で弁当を売ってた。500円。うーむ。11時まで待てばぜんぶの食堂が開く…。けど空腹に耐えかね、たまには新しい体験にチャレンジしてみるかと、弁当を買い、準備中の食堂で1人もしゃもしゃ食べる。
11時から、地裁・刑事5部(四角い顔の深野英一裁判官。私はお初)で、「道路交通法違反」の新件。
免許を取ったことがないのに車を買い、本件(無車検・無保険・無免許・一般道で44キロ超過)までに約4万キロ運転したんだという。
累犯前科が2犯あり、2つ目の犯行は最初の服役から1年たってない時期で、2つ目の服役から1年たたないうちに車を買ったんだという。
早く終わりそうだったが、裁判官が、
「犯罪に巻き込まれちゃったなら、まだわかるが、半年くらいで車、買っちゃうってことは確信的だよね。社会に対して挑戦するというか、なんでそんなことするのか、そこがわかんない」
などと長々質問し、時計を見上げれば11時30分。やばっ。
11時32分、「偽証」の法廷へ入ると、証拠の整理をやってるとこだった。
「伝聞証拠」「伝聞例外」「非伝聞」という言葉がばかばか出て、どれがどうだからどうなんだか、さっぱりわかんない。
11時58分、裁判官3人がいったん奥へ引っ込み、出てきて裁判長が言った。
「主文…」
あり? もう判決? とびっくりしたが違った。
「主文。検察官の証拠調べ請求は、いずれも却下する」
へ~、そんなの初めて聞いたよ!
要するに、検察官請求の書証はどれも、刑事訴訟法第382条の2第2項の、原審で請求できなかったことのやむを得ない要件、を満たしていないから却下だというのだ。
それを「主文」という形で途中で言い渡すのも、検察官の請求がぜんぶ退けられるのも、初めて見た! かなりニュースな出来事? 私ゃよく知らないが。
第三百八十二条の二 やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる。
○2 第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。
○3 前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。第一項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。
「原審以来のいろんな問題がありますので…」
と判決期日は3月24日(→26日)の、
「書いてみないとわかりませんので、いちおう1時間とって…」
と午前11時~12時となった。12時7分閉廷。
私はもう眠くて眠くて。もう帰ろうか、どうしよう。13時30分から「公用文書毀棄」の新件があり、どうせまた調書を破いたという事件の可能性が高いが、もしかして警察官が仕事に追われて捜査文書を廃棄しちゃったとかいうのだったらタイヘンだ、いや、そんなこと言ってたらキリがない、すぱっと帰るところは帰らねば…。
13時15分から、532号法廷で「恐喝未遂」の判決、405号法廷で「住居侵入」の判決。どうしよう、405号のほうは5分間。13時30分から次を傍聴するのにちょうどいい。532号のほうは30分もとってる。住居侵入で30分間って、なんだ?
としばし悩んで、「住居侵入」の405号法廷へ。
判決の前に再開し、検察官が追加立証。前刑の残刑の執行の関係だそうだ。
すぐに結審して判決。懲役1年4月。以上。
同種前科多数あり、前刑の仮釈放中に、帰宅途中の女性(中国人?)のあとをつけ、ビルの1階から2階へ登る階段へ侵入したのだという。女性はそうとうおびえたらしい。
「仲良くなって、うまくいけば彼女の部屋に入れてもらってセックスできるかと思った」
との調書を取られているけれども、わいせつ行為が目的だったとまでは言えないと、判決理由が長くなり…。
13時28分に出て、719号法廷「公用文書毀棄」のほうへ。
エレベータでもたついて、もう人定質問が始まっていた。
朝、酒に酔ってタクシーの運転手を暴行し(傷害については示談が成立し不起訴に)、警察署で取られた弁解録取書を破き、たいへんなことになるよともう1通作成された弁録も破き、公用文書毀棄で逮捕されたんだという。
飲食店の店長だそうで、傍聴席に、かなりイケてる素敵なホステス風の女性(茶パツ、黒のミニのスーツ、良い音のするハイヒール)がいるけど、そういう店の店長?
と思ったらその女性は情状証人。あれ? 被告人は独身だと言ってたけど、婚約者かナニか? と思ったらじつは姉で、主婦なのだという。
びっくりしたのは、150万円で保釈されてる被告人の制限住所は姉の住居なのに、週に2回しか来てないと、ま、それなりの事情もあるとはいえ、普通に姉がしゃべってしまったこと。ええ~っ。
第九十六条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
○2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
○3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
裁判官も「これ、たいへんなことですよ」と言ってた。
その件、どうなったか…。今回はここまで。
とにかく求刑は懲役1年。次回判決。
座る姿勢も立つ姿勢も、ものすごく良い被告人だった。あれは大したもんだ。
しかもっ、少年時代にだいぶ悪いことをやったけれども、(少年院を、かな?)出所後、悪いつきあいは一切断ち切ろうと上京し、以後は酒気帯び事故を除き、前科・前歴ナシなのだという。いや~、えらい。大したもんだ。
ただ、酒がどうもマズイような。私もか? とほほ。
本日、裁判所地下の書店で『執務資料道路交通法解説14訂版』を見つけ、直ちに買った。4830円。14訂版の発行は今年1月20日。前の13-3訂版は去年6月5日発行だったんだよね。こう頻繁だと財布が痛いっす。
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