被告人質問は説教の手続きじゃないのに
2月22日(金)
この日、東京地裁で傍聴した2件は、2件とも、事件番号が「平成20年」。
「平成20年」には、昨日初めて当たった。昨日のは「47」で、今日のは「87」と「127」。末尾がスリーセブン。
14時30分からの新件を傍聴しようと、14時25分頃、地裁・刑事18部(菱田泰信裁判官)521号法廷へ入ったら、黒いロン毛を後ろで巻いて縛った大きな男(被告人。在宅)が、証言台のところに座り、裁判官(菱田さんは私は初めて)が長々説教していた。クレーン車…運転…責任…早寝早起き…次は必ず厳しい刑罰になりますから…。
はは~、判決が終わって、説示をやってるのか…。
じゃなかった! 被告人質問だったのだ! ええっ!
14時33分から論告・求刑。クレーン車で赤信号を無視して交差点に進入。左方からきた自動二輪車に衝突させ、肺挫傷、右なんとか肋骨骨折などで全治3カ月の傷害を負わせたのだという。「業務上過失傷害」の新件だった。
求刑は禁錮1年2月。
続いて14時40分すぎから、「威力業務妨害」の新件。
身柄(警察留置場だっけ? メモ漏れ)の被告人が奥のドアから入ってきたとき、一瞬、オウム真理教の教祖!? と思った。が、よく見ればぜんぜ違った。
30歳の解体工だそうで、体は大きく、手がでっかく、黒と茶と金(脱色?)が混じったぼさぼさ長髪。南大塚のパチンコ店で店員とトラブルがあり、備えつけの消火器の消化剤を店内に噴霧し、遊技客を一時店外へ避難させるなどして、もって業務を妨害したのだという。
解体工の給料の支払いと1日3000円の前借りの関係、パチスロのあれこれ、被告人はそんなの生活に密着した当たり前のことのように、問われてぽつぽつと答え、裁判官はつまりこういうことかと、まとめようとするのだが、正しくまとめられているのか、いないのか、なーんかどうも…。
若く新人らしい検察官の被告人質問を聞いていて、員面調書(司法警察員作成の調書)は被告人が任意述べたとおり間違いなく正確に録取されているのものと、この若い検察官は一点の疑いもなく信じ込んでるのでは? と思えた。もしそうなら、すっごいことだ。それが、冤罪という病理を支える、大きな原因の1つなのだろう。
菱田裁判官は、
「厳しいことを言うけど、1回犯罪で服役したら(被告人には服役前科がある。出所は約2年前)、100万円くらい弁償したとしても(被告人は逮捕時の所持金が6万2000円で、勾留中に残り4万2000円になったとき、被害店に4万円を弁償したという)、刑の長さは(考慮されることが)あっても、執行猶予はない」
とか長々説教してた。この人、被告人質問のときいつもあんなことを言うのか? 被告人質問は説教の手続きじゃないけど、ま、許される範囲なのかな。個性があるのは良いと思う、少なくとも傍聴人にとっては…。
求刑は懲役1年6月。
15時40分閉廷。
それから地裁と高裁と簡裁の開廷表をゆっくりチェックし、神保町へ。
裁判傍聴関係の新雑誌(とりあえず単発)の対談。つい先日、『冤罪File』という季刊誌が創刊されたし、刑事裁判が注目される時代になったんだな~。
3月8日、私の初の傍聴本『裁判中毒』が角川書店から発売されるよ~。
つい飲み過ぎて遅くなり、中央線の吉祥寺駅から小一時間、オヤジ狩りを警戒しつつ歩くことに。これで連続5回、間に1週間おかずに有酸素散歩約1時間をやったことになる。少し痩せ…ないまでもデブ進行はストップしてるか?
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殺人現場を歩く (ちくま文庫 は 29-2) 著者:蜂巣 敦 |
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