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2008年3月の38件の記事

2008年3月31日 (月)

さよなら第5食堂

 外山恒一さんの控訴審判決の記事、オチを書き忘れた。
 こんな判決だったら良かったのに、と。

「原判決を破棄する。被告人を罰金3万円に処する。未決勾留中の1日を金5000円に換算し、10日をその刑に算入する」

 1日5000円なら、6日で3万円。余るじゃないか?
 いや、だから、言い渡しが終わると書記官がそばへきて、残り4日分、つまり2万円が入った茶封筒を外山さんに渡し、紙を1枚差し出して言うのさ。

「じゃ、これに、今日の日付と氏名を書いて、押印してください。印鑑お持ちですか?」

 いま思いついた冗談じゃなくて、ときどき、そういう粋な計らいがあってもいいんじゃないかこの被告人には、と思うことがあるのよ傍聴してて。

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 さて、今日は朝から冷たい雨だったし、この時期、開廷はめちゃめちゃ少ないだろう、とは思ったが、「農林水産省共済組合 本省支部委託食堂 職員第五食堂」が今日でほんとに閉店と某氏から聞き、最後に礼を言わねば人間失格だからと、出かけた。久しぶりに車で。

 まずは、裁判所ビルの、簡裁と地裁と高裁の今週の開廷表をチェック。
 やっぱこの時期、開廷が少ないのなんの。
 簡裁は3日(木)に2件、地裁は今日(月)16件、1日(火)1件、2日(水)2件、3日(木)1件、4日(金)2件、高裁は2日(水)2件、のみだった。
 地裁の3日(木)の1件は、外国人2名を被告人とする「傷害」(だいぶ長く争われてたやつ)の判決だ。
 ま、今週は春休みとしよう。原稿の締切りもあるし。

 そして農林水産省へ。

 農林水産省の、第1食堂(裁判所の正面玄関にいちばん近い食堂)以外を私が初めて試したのは、懐かしい「焼糞日記」を見ると、2003年11月のようだ。
 第5食堂で最初に熱中したのは、豚生姜焼き定食。
 なので最終日にも、と食券(520円。配膳口で「半食」と申告すると50円バックされる)を買ったが、私の数人先で売り切れとなり、A定食(ミックスフライ定食)に変更。
 心のなかの「蛍の光」を聞きながらそれを食ってるうちに、カレーライスと牛丼しかなくなったと、配膳口から聞こえてきた。
※ 某氏情報によると、夕方、カレーとさば生姜焼き定食だけで営業し、それがラストになったという。

 食べ終えて、オジサンに声をかけた。
 以下、おおむねこんなやりとりを。
「今日でほんとに終わりなんですか?」
「うん、頑張ったんだけどねぇ~」
「なんでやめるんですか」
「あれだよ、入札になったから、大きなところには、ほら…」
 大きな資本による出店には勝てない、ということらしい。
「べつのところで、またやるんですか」
「(寂しそうに)いや、もう…」
「ここ、サイコーの食堂でした。長い間ありがとうございました。ごちそうさまでした!」
 涙がこみあげる前に、私はそそくさと立ち去ったのであった。

 そうだ! どういう条件の入札だったのか、どこがいくらで応札したのか、第5食堂と新しい食堂の契約書・仕様書を、農林水産省に開示請求してみようっ。

 それから裁判所へ戻り…。

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なるほど「思いやり判決」

 3月27日、福岡高裁・宮崎支部(竹田隆裁判長)が、外山恒一さんに対する控訴審判決を言い渡したそうだ。
※ 

 起訴事実は、原付バイクによる、20キロ超過(反則金1万円)と一方通行の逆送(反則金5千円)。ま、いってみればショボイ事件だ。
 ところが! 外山さんが警察捜査に応じなかったこと、および外山さんの特異なキャラクターゆえに、逮捕・勾留され、さらに一審・鹿児島地裁の渡部市郎裁判官は、いや、私はべつにオカルト信奉者ではないけど、前世でお2人はよっぽどの因縁があったのか、あるいは裁判官自らも外山さんの向こうを張るパフォーマーになりたかったのか、とバカなことをつい思ってしまうくらいあり得ない、ななっ、なんと求刑罰金1万5千円に対し罰金12万円の判決を言い渡したという、チョー珍しいというか司法の歴史に残るだろう展開になった、そういう事件なのだ。
 当ブログでは以下のように言及してきた。

2007年10月19日 外山恒一さんに対する鹿児島地裁判決について
2007年10月7日 2日の判決を5日に報じたのは?
2007年10月3日 違反処理システムの根幹が揺るがす「罰金12万円」
2007年10月2日 求刑1万5千円に対し判決12万円!
2007年6月23日 交機隊員の速度違反取締り 1回の当番で約7件
2007年6月22日 平成18年(わ)第182号の「わ」は我々団の「わ」か
2007年6月20日 外山恒一さん 勾留理由開示の裁判
2007年6月14日 有名人を逮捕することの利点
2007年6月13日 外山恒一さん交通違反で逮捕
2007年4月4日 反則金、罰金を払わないから逮捕ってあり得ね~!
          ※ 参考記事 反則金を払わず逮捕!?
2007年3月31日 諸君の中の多数派、少数派

 で、高裁判決。
 原判決破棄、罰金3万円、満つるまで算入だという。
 「満つるまで算入」の意味は、拙著『裁判中毒』参照。と、すかさず宣伝(笑)。

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 罰金12万円が破棄されるのは、火を見るより明らか。
 それはいいとして、なぜ3万円なのか。
 外山さんは、「思いやり」だと言う
 そのとおりなのだろう、と私も思う。
 検察官が、よっぽどムカついたのか、量刑相場を2段階くらい超える求刑をして、裁判官は、たぶん検察のメンツも重んじてなのだろう、1段階だけ超える金額にする、というのは何件か傍聴してきた。
 メンツを重んじて、まぁそれなりのところを着地点とする判決、そんな判決はあると、もう事件数で900件近く傍聴してきて感じる。
 それにしても、外山さんは、ああ見えて、他人の思いやりを察することができるわけで、偉いっ。思いやり、惻隠(そくいん)の情、これは日本の美徳の重要な部分であると、『国家の品格』にあった。

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 「満つるまで算入」は、きわめて妥当だと思う。
 訴訟費用不負担が、原審の訴訟費用のことなのか、当審における訴訟費用のことなのか、あるいは両方なのか、言い渡しの詳細がわからないので、かつまだまだ私も不勉強なので、わからない。ま、いろいろ推理はできるけれども。
 でも、推理などするまでもなく、書記官に聞けば、すぐ教えてくれるはず。弁護士に尋ねるより、書記官のほうが間違いないと思いますよ。
 どっちか負担させられたとしても、判決確定から20日以内に、免除の申立てができる。「政府転覆に一命を捧げているので経済的余裕はない」という理由を認めるユーモアを、裁判所は持って欲しい…ってそういうのはダメかな。

 弁護人による控訴趣意書と、外山さんによる上申書、読ませてもらった。
 控訴趣意書はともかく、上申書のほうは、読みながら爆笑してしまった。ユーモアはあるが、ただフザケてるのではない、冗長にならず、言うべきことは的確に表明する、優れたパフォーマー、もとえファシストだと思う。

 外山さんの「思いやり判決」という記事は、こう結ばれている。
「しょせん裁判や選挙でものごとが変わると思ったら大間違いで、もはや政府転覆しかない!のは明らかなのである」
 「しょせん裁判でものごとがかわると思ったら大間違い」という部分は、そのとおりだと思う。
  立法=法律をつくる
  行政=法律に基づき、犯人と見込んだ者を検挙して処罰する
  司法=行政を、法律にもとづきチェックする。無罪は無罪とする
 なのだが、現実には、ほとんどの法律を行政府自身がつくり、司法府は行政府の追認機関、といって悪ければ行政府の一部であるのだと思う。
 それに関連することを、4月20日発売の『ドライバー』の連載原稿に書いた。

 でも、すべての裁判官、すべての裁判がダメと決めつけないでほしい。拙著『裁判中毒』の最後のエピソードのようなこともあるんだから…。

 ま、今回はとりあえずそんなことで。もう寝なければ。

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※ 現在、福岡高裁・刑事1部にお名前がある浅香竜太裁判官は、以前東京地裁にいた。2003年と2004年に刑事7部・401号法廷で私は何件か傍聴している。この人、名前以上に容貌も役者風。左陪席だとすれば、もしも被告人質問があれば発言する可能性が高い。福岡の傍聴マニア・女子部には、すでにファンクラブができてたりして?

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2008年3月30日 (日)

それらを所与のものとしたうえで正確だとメーカーが言ってるから

 ちょっとどうにも時間がとれなくて、遅れてしまった…。

3月28日(金)9時40分~

 3月13日に日本無線のヨシナガアキオ証人の尋問と被告人質問を傍聴し、3月24日の論告・弁論は霞が関の本庁へ行って傍聴しなかった、光電式43キロ超過の、東京地裁・八王子支部(小原春夫裁判官)で判決。

 9時40分に霞が関の裁判所へ行く電車は、通勤ラッシュでたいへんだけど、八王子支部は逆方向。最初から座れて、八王子へ近づくにつれ、がらがらになる。いいな~。

 論告・弁論の4日後に判決、というこの期日は、遅くとも3月13日には決まっており、小原裁判官は遅くとも証拠調べが終わった時点で(おそらくは最初から、年度内に)有罪と決めていたんだろうと想像される。

 あとで被告人に尋ねたところ、第1回期日は今年2月中旬で、第2回は測定現認係と現場責任者(いずれも警察官)の証人尋問。今日は第5回になるんだという。私が記憶する限り、最高のスピード裁判じゃないかな。スピード違反だけにスピード裁判…すんません。

 判決は、罰金7万円、訴訟費用負担。
 罰金額は、拙著『交通違反でつかまっても困らない本 (ワニ文庫 P- 147)』に表で示したとおり、自動二輪の相場だ。

 被告人は測定値について争っていたのだが、有罪の理由は、測定機のメーカーの言い分によれば「適正に作動していたことが認められる」というもの。ま、ごくごく普通の判決だ。
 知らない人は信じられないかもしれないが、ある商品の作動が問題になったとき、その商品のメーカーの言い分だけを聞いて、「この商品の作動に問題はない」とするのが、日本の裁判所なのだ。
 それだけで有罪にしてもらうことを、検察は「確率された採証法則」だと豪語している。

 光電式のビームの閾値(しきいち)のことと、光路をタイヤではなく枯葉などの異物が遮った場合のこと、について被告人側の指摘に対しては、
「それらを所与のものとしたうえで適正に測定できるようになっている(とメーカー側は言っている)」
 という言い方でズバリ斬り捨てたのが、ちょっと印象的だった。この便利な斬り捨て方は、今後、他の裁判官へも広がるんじゃないか。
 あと、被告人を「あなた」と何度も表現し、法廷中央の、証言台とも発言台とも呼ばれるあの…なんていえばいいんだろう、あの家具? あれを単に「台」と呼んでたのが、珍しかった。
 言い渡しは、すっごく朗読調だった。私がこれまで傍聴してきたなかで、朗読調ナンバーワンかも。

 傍聴人は、私を含めて3人。
 1人は、電車に途中から乗ってきた男性だった。
 先日いっしょにプールへ行った小学生とよく似てて、彼のパパ? いや彼のパパは知ってるけど、この男性とはぜんぜん違うよ、それにしても似てるな~、と強く印象に残ってたのだ。
 わざわざ電車に乗って、9時40分から裁判所へ来て、こう言っちゃ申し訳ないけどたかが道路交通法違反事件を傍聴するなんて、どういうこと? そうとうマニアックな傍聴マニア?

 ついでに言えば、地裁の刑事の事務室にいた人、どぉ~も、どこかでお会いしてるような。東京簡裁か東京地裁で、かな?

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 被告人としばし話し、せっかく八王子へ来たんだから他の事件も傍聴しようかと思ったが、やはりこの時期、開廷がものすごく少なくて…。
 「業務上過失致死傷」があったので傍聴しようとしたら、ぎっしり満席だった。なんだったんだろう…。

 八王子支部は、地裁と簡裁の翌週の開廷表を、それぞれファイルに綴じて、当日の開廷表とはべつに、1階ロビーの机に置いてあるんだね。すばらしい。

 食堂は、どなたかから「ない」と聞いてたが、ほんとになかった。
 1階ロビーの一角に、ちらっと衝立(ついたて)で仕切られた場所があり、売店でパンとか弁当とか買ってそこで食べるんだそうだ。そっ、そんな~(笑)。
 でも、それもこれも、あと1年。八王子のこの庁舎は閉店し(とは言わないか)、立川のあっちのほうの立派な新庁舎へ移るのだ。

 その夕方、某氏より重大情報!
 農林水産庁地下の第5食堂は、とうとう31日(月)で閉店するそうだ!
 もしかしたら、昼間の営業で終わるかもしれないという。
 31日は傍聴の予定がないけど、これは行かねばならないか。行って、「長い間、感動を与えてくれてありがとう。サイコーでした」と、あのオジサンに礼を述べねば、人間失格か!?

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2008年3月27日 (木)

中国と日本、どっちが偉い?

 以下、3月24日付け琉球新報の記事。太字は今井。

【中国時報】速度違反 警察の計測器に誤差
2008年3月24日
 あなたは警察の車の速度を測る計測器にどれだけの誤差があるか知っていますか。
 昨年の2月、国光客運の運転手が苗栗県の高速道路を走行中、国道警察局の新型計測器が時速116キロを記録したとし、罰金と違反切符が切られた
 もともと国光客運は速度超過を防ぐため、車にデジタル式走行記録器を搭載しており、最高でも102キロであった。その後、不思議に思った国光客運が地方裁判所に異議を申し立てた。
 裁判では苗栗の制限速度は時速100キロであったため、2キロの超過でも違反は違反としたが、罰金額は軽減された。警察も一応の面目は保たれたものの、毎年検査を通っているはずの機器に10%以上の誤差があったのでは申し開きができない。他の運転手も制限速度内の98キロでも罰金を払わされる可能性があり、注意が必要である。

 ノンキな記事に見えるけど、ワタシ的には大ニュース(笑)。
 太字の部分について、長々マニアックにコメントできる。でも、時間が…(泣)。
 さっそく『ドライバー』の囲み記事で、中国と日本とどっちがエライか、という観点で書いたよ。

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他人の郵便通帳に入れた自分のカネを自分で引き出すと窃盗

 なぁにぃ~? やっちまったなー!
 3月7日に被告人質問を傍聴した「道路整備特別措置法違反」の、たぶん第5回公判、15時からだと思い、締切りを2日過ぎた原稿を書きつつご相談等に対応しつつ、13時40分頃、「16時からだったら助かるな~。念のため確認しとこ」と手帳を見たら、なんと13時30分からではないか!
  15時=午後3時
  13時30分=午後1時30分。
 似てる…。「3」が4つもあるし…。
 いや、じつは、もう10年以上か使ってた手帳を、今年から変えて、視覚から受ける時間帯についての感覚が、以前とはちょっと違う…てゆっかボケが進行してるのか? 心配…。

 しかしまぁ、おかげで最低2時間半くらいは浮いたので、昨日のもう1件の裁判についてささっと書いとこう。

3月26日(水)13時10分~

 3月12日に傍聴した「窃盗未遂の判決。
 氏名不詳者と共謀し、不正に入手した他人の通帳を、無修正アダルトDVD販売の代金の入出金に使っており、ある日、いつものようにカネ(被告人のカネ)を引き出そうとしたところ、通帳の持ち主から亡失届けが出ており、郵便局の者から誰何(すいか)されて逃走、110番通報を受けて現場へ向かう警察官が、着衣等の特徴から被告人を見つけ逮捕…その後、通帳の持ち主は亡失届けを撤回したが、郵便局の通帳は、譲渡、質入れ、第三者の利用はできないとされており…という事件。
 誰のカネを窃取しようとしたことになるのか、通帳の持ち主か、郵便局か、聞き取れなかった。じつは、午前4時頃から起きてて、昼食後はもう眠くて眠くて、少し居眠りしちゃったのだ。

 「公務執行妨害、傷害」で懲役1年6月、猶予4年の判決を受けてから2ヶ月足らずの本件犯行であり、別種の犯罪とはいえ、たまたま通帳を借りて使ったのではなく計画性を有する犯行なので、被告人に有利な点は量刑のうえで考慮するのが妥当…と、懲役10月、未決勾留中80日をその刑に参入。

 前回と同じく傍聴席に、乳幼児を連れた若い女性がいて、被告人の妻子かと思われるのだが、再び手錠・腰縄をつけられて去るとき被告人の態度は冷たく、女性はムッとしたような表情だった…。

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 それから「裁判員制度はいらない!大運動」の関係で某弁護士事務所へ寄り、新宿駅まで某氏のジャガーで送ってもらう。ジャガー(の助手席)に初めて乗ったよぅ。
 そして、ミニホール新宿Fuで、「100円すっとこ」なるライブを途中から少し、初めて観る。
 いちおうお笑いのジャンルになるのか、しかしほとんど、どこで笑っていいのか、わかんなかった(笑)。ま、私は交通違反マニアで裁判中毒人で、観客としてちょっと特殊なんだろうとは思うけど。ただ、みなさん、腹からしっかり声が出てた。あれは大したもんだと思ったス。心地よかったス。
 お客より出演者のほうが人数は多かった。
 よくは確認してないけど、お客は全員男性だったかな。
 これが18時からの「すっとこどっこい」になると、笑えるかな~という部分が少し増え、お客は出演者の2倍くらいにはなり、しかもお客のほとんどが若い女性になるんだよね。
 ま~、ものすごく特殊な、刺激的な世界ではあると思う。傍聴マニアが裁判所へ通い詰めるようにライブへ通い詰め、“ライブ中毒人”となり、お笑い芸人評論家として其の道の達人となる、そんなのも十分アリだと思う。すでにそういう人、いるのかな。

 とにかく諸氏よ、お時間があったらいっぺん、スケジュール表を確認して、怖いもの見たさで行ってくるといいと思いますよ。

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2008年3月26日 (水)

第5食堂が閉店!?

3月26日(水)11時~

 12月20日に被告人質問を、1月23日に証拠の整理を傍聴した、東京高裁・刑事7部(植村立郎・村山浩昭・伊東顕裁判官)717号法廷で11時から、「偽証」の判決。←こういう文体、けっこう好きなのょ。

裁判官 「主文。本件控訴を棄却する。控訴棄却です」

 2005年9月13日 強制わいせつ事件発生
             → 警察は母親の息子を逮捕(のちに一審有罪)
 2006年5月8日と同22日 母親が息子の公判廷で息子のアリバイを証言
             → それが偽証だとして検察は母親を起訴
 2007年6月1日 一審・さいたま地裁で無罪とされ、検察官が控訴
 という経過の事件らしい。母親(本件被告人)に対する一審の求刑は懲役1年6月。

 偽証とされた証言は、矛楯等する部分もあるものの、それは通常人にあり得る記憶の間違いにすぎないということができ、通常人が鮮明に記憶するだろう部分は終始一貫している、したがって被告人が記憶に反して偽証したと認めるには合理的な疑いをいれる余地がある…というふうな判決理由。
 こんなものを「偽証」で逮捕、起訴するとは、息子さんはよっぽど無実臭かったんだろうか…。
 11時46分閉廷。

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 農林水産省の地下・第5食堂へ。
 今日もウィンドウのメニュー(見本)は少なく、配膳窓口というのか、あそこの上に以前あった小鉢の品書きはなく、ただし今日は何か紙が1枚あった。
 その紙のこと、とくに気にせず、さば味噌煮定食(半食)400円。
 やはり、たくあんの支給はなかった。そしてなんと! 小鉢が1品減った! しかもっ、さばの腹部分の骨が、なかった! どういうこった!? 確かになにかゴゴゴと異変が起こっているぞ!

 夕方、携帯電話を見ると、某氏から着信と留守録とメールが入ってた。
 なにか大事件があったのか。
 メールを開いてびっくり。3月末で第5食堂は閉店らしい!
 そんな馬鹿な! “俺ミシュラン”で★★★★★の、サイコーの食堂だったのに!
 農林水産大臣はナニを考えてんだ…って考えなんぞあるわけないか。
 4月からどうなるのか、追って報告しよう。
 もしもアメリカ資本のくだらない飲食店が入ったら、

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 だよ!

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ひとばしら 【人柱】

再審請求中の袴田死刑囚、特別抗告の棄却決定…最高裁
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080325-OYT1T00401.htm

袴田事件:再審請求認めず 最高裁が抗告棄却決定
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080325k0000e040110000c.html

「袴田事件」再審認めず 最高裁が特別抗告棄却
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200803250266.html

袴田事件、再審認めず…最高裁「判決確定に疑いなし」
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_03/t2008032537.html

最高裁判所判事 今井功
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/imai.html

裁判官の良心 熊本典道
http://kumamoto.yoka-yoka.jp/

日弁連 袴田巌氏の再審請求事件の最高裁決定に対する会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080325.html

東日本ボクシング協会
http://jpbox.jp/hakamada.html

無実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会
http://www.h3.dion.ne.jp/~hakamada/

袴田巌さんの再審を求める会のホームページ
http://hakamadajiken.hp.infoseek.co.jp/

 裁判官僚がボクサーを殺す…合法殺人…無惨。
 事件数で900件くらい傍聴してきて、思う。袴田さんが無実(=実際にやってない)としても、裁判制度(=国家の威信、秩序)を守るためには、有罪とせざるを得ない…。裁判官僚の頭に、無意識にか、確固たる意志としてか、あるのはそれではないのか、と。
 無実の死刑囚は、国家の威信、秩序を守るための人柱、か。

ひとばしら 【人柱】
(1)橋・堤防・城などを築くときに、工事の完成を祈り、神々の心を和らげるために、犠牲として人を水底や地中に生き埋めにすること。また、その埋められた人。
(2)ある目的のために犠牲になった人。
infoseekマルチ辞書powered by三省堂より。

 石の砦、最高裁の壁面に、人柱となった数多の民草の氏名を、刻んでほしい。

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 刑事裁判の大原則は、
  ・有罪方向の証拠については、信用できる理由をムリにも探す
  ・無罪方向の証拠については、徹底的に疑い抜く
 そして、
  ・警察を疑わない
  ・紙の上でそれなりの有罪判決を書けるなら書いてしまう
 というものだから(それはほぼすべての国民自身が「冤罪」をみるときの内心だろう。それゆえに)、検察立証の怪しさや破綻を暴くとか、無罪の証拠を示すとか、それだけでは有罪はひっくり返せないのだ。
 そのこと、当然の前提として肝に銘ずるべきと思う。
 

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2008年3月25日 (火)

痴漢と児童買春で中年男性2人刑務所へ

3月24日(月)13時15分~

 霞が関(の裁判所合同庁舎)のほうは、今日は午後も事件がたくさんあるから、と八王子支部行きはパスし、昼食も霞が関でとったのに、よくよくノートを見たら、ぜんぜんそうじゃなかった。私が傍聴したい事件はとくになかった。あ~。
 しょーがない、帰るか…。でも、そろそろ13時。13時15分と13時30分に色情系の各判決がある。せっかくだからそれだけチェックして帰ろう…。

 13時15分から、東京地裁402号法廷で、「強制わいせつ」の判決。
 被告人は身柄(拘置所)。服装は茶系のグラデーション。太めのオッサン風。
 夜の電車内で、21歳の女性に対し、左手をスカート内から入れ、パンティ内へ手指を入れ、陰部を弄ぶなどしたのだという。
裁判官 「被告人を懲役1年に処する。未決勾留期間中10日をその刑に参入する。判決の主文は以上です」
 「以上です」ってのは、執行猶予はないよってこと。実刑である。
 同種痴漢行為で複数の前科があり、猶予付きの懲役判決を受け、その猶予の終了から3ヶ月後の本件犯行なのだそうだ。
裁判官 「最終的な結末はともかく(上訴により執行猶予がつく可能性は法律上は一応ある)、今後同種の犯行を犯さないためにはどうすればいいか、しっかり考えて社会復帰してください」
 被告人は、固まってるように見えた。
 13時17分閉廷。

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 13時30分から403号法廷で、東京都迷惑防止条例違反の判決。
 ところが、職員が2人、法廷の前にいて、もう満席(20席)だという。そういえば被告人氏名に見覚えある(つまり何度も審理があった)ような…。否認なのか? もしかして電車内の痴漢じゃないとか? ますます傍聴したいが、でも満席。
※ あとで被告人氏名でネット検索したが、それらしいものはヒットせず。

 13時30分から533号法廷で、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反」の判決。
 開廷3分前、透明なビニール傘を持って、傍聴席側のドアから弁護人とともに被告人が入ってきた。フードに毛皮風のが付いた、ダウン風のコートのようなジャケットのような。ジーンズ。黒字に赤と白のデザインが入った、おしゃれな靴。髪はパーマ風のもじゃもじゃ髪、鼻下とあごに軽くヒゲ。見たこともないような、おしゃれなメガネを、開廷前に外してポケットに入れた…。

 大田区内の蒲田プラザホテルで、16歳の「児童」に5万3000円を供与して性交をしたのだという。
 「被告人にはロリコンの性癖があるところ…」と裁判官が言ってた。
 「蒲田プラザホテル」ってどういうホテル? とネット検索したら、霞っ子クラブの毒人参さんによる、第1回公判の詳しいレポート、がヒットした。3月6日にそんな審理があったんだ~。私はその時間、東京簡裁のほうの「自動車運転過失傷害」を傍聴してたんだ~。
 01年に、やはり買春で執行猶予判決を受け、その猶予期間が満了して3年たたないうちの本件犯行だそうで、判決は懲役1年

裁判官「あなたの場合、社会内で更生の機会を与えられたのに、それを生かせなかったわけですから、今度は刑務所へ行ってもらいます」
 と、ぴしゃり冷たく言ってた。
 13時33分閉廷。
 傍聴席に、どこかで見た顔の男性が2人いるな、と思ったら検察庁の職員で、直ちにバーのなかに入り、なにやら手続きを取った。保釈取り消し、収監の手続きだろう。
職員 「荷物はないの?」
被告人「…………(固まったまま無反応)」
職員 「じゃ立って。傘、持って」
 被告人は職員に前後を挟まれ、奥のドアから出て行った。ものすご~くショックを受けてる風だった…。

 それから高裁の今週の開廷表をチェックし、さて帰るかと正面玄関から出ようとすると、霞っ子クラブのユキさんと毒人参さんが入ってきた。なんだっけ、マスコミ報道もされた殺人事件の傍聴券の抽選(玄関脇で行われる)が終わり、入ってきたのだ。
 毒さんは当たったが、ユキさんは外れたという。それって締切り、13時40分だっけ。しまった、私は抽選の整理券を取る時間があった(私は殺人にはあまり興味がないので、もし当たればユキさんに傍聴券をあげる)のに、そこまで頭が回らなかった。役に立たねぇオヤジだ~。

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コーチがコーチされる立場に

3月24日(月)11時~

 10時から東京地裁・八王子支部で、3月14日に証人尋問を傍聴した光電式ネズミ捕り事件の論告・弁論…なのだが、うぅ~、どうしよぅ、ええいっ、と東京地裁(本庁)へ。

 11時から東京地裁403号法廷で、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律違反」の新件。

迷惑メール22億通送信、25歳男を逮捕
 出会い系サイトの広告など迷惑メールを大量に送信していたとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは15日、江東区大島6、居酒屋従業員■■■■容疑者(25)を特定電子メール送信適正化法違反の疑いで逮捕したと発表した。
 ■■容疑者は2006年5月からの約1年半に、約22億通の迷惑メールを送り続けていたという。
 調べによると、■■容疑者は昨年11月13日、送信元を突き止められないよう、架空のメールアドレスが表示されるソフトウエアを使って、出会い系サイトや競馬情報サイトの宣伝メールを9回にわたって大量に送信した疑い。
 ■■容疑者は06年1月ごろ、インターネット上で売買されている約30万件のメールアドレスを5万円で購入。自宅近くに借りたアパートの部屋で、1日約400万通の迷惑メールを送信し、複数の広告主から約2000万円を受け取っていたという。
(2008年2月16日  読売新聞)

 と報じられた事件だ(■部分は記事では実名)。
 この罪名は私は初めてなので、どうしても傍聴したかった。
 専門である交通違反をパスして、珍しい罪名だから傍聴したかったって…うぅ、ごめんよぅ(泣)。

 前の「自動車運転過失致死」が長引いて、11時10分から始まった。
 前のは、普通トラックが交差点を直進する際、目の前を横切った高校生男女の自転車2台に気を取られ、前方の横断歩道の歩行者(?)に気づかず時速15~20キロでハネた、という事件…。求刑は禁錮1年6月。
 検察官は例によって「被害者に何ら落ち度はない」と被告人を責めた。それが悪いとはもちろん言わないが、でもそこに重心を起いてヨシとするなら、こういう事故は悲劇は永遠に起こり続ける。

 迷惑メールの被告人(在宅)は、黒のスーツにネクタイ。禿げにくそうな短髪で、もみあげからあごにかけてと鼻下にうっすらヒゲ。なかなかキマってる。
 起訴事実は、07年11月13日午前3時19分から同5時23分までにおける、「勝てる馬券に直結する情報」の広告宣伝を請け負っての、発信元を偽っての、4回に渡る「4通の電子メール」の送信だった。

(送信者情報を偽った送信の禁止)
第六条  送信者は、自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として、電子メールの送受信のために用いられる情報のうち送信者に関するものであって次に掲げるもの(以下「送信者情報」という。)を偽って電子メールの送信をしてはならない。
一  当該電子メールの送信に用いた電子メールアドレス
二  当該電子メールの送信に用いた電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)を識別するための文字、番号、記号その他の符号

第三十二条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  第六条の規定に違反した者
二  第七条の規定による命令に違反した者

 冒頭陳述によれば、07年12月までに「19億5000通」を送信し、「930万円余りの利益を上げ、遊興費に」使ったんだという。
 競馬のメールは一部で、多くは出会い系のメールだそうだ。

 父親が情状証人。この人もまた、禿げにくそうな短髪で、もみあげからあごにかけてと鼻下にうっすらヒゲ。なかなかキマってるのだった。ただし、頭髪の色は薄い茶で、ヒゲは白。
 被告人質問で、「楽して稼ぎたかった」という言葉が何度も出てきた。
 ハキハキ話す、良い感じの若者だった。
 こういうことは二度とやらず、まともな仕事を地道にやっていく、と誓う被告人は多い、というか皆がそう誓うのだが、しかしほとんどすべて、実際には何もやっていないか、やれる見込みがありそうもないか、どっちかなんだが、この被告人は、すでに弁当の配達の仕事を(刑務所行きかもしれないのでアルバイトで)やっているという。おぉ~、えらい。
 迷惑メールは、たしかに迷惑だけど、でもこの被告人がやったことって…と大いに考えさせられた。

 求刑は懲役6月。
 3分休廷して判決。懲役6月、執行猶予3年。
 訴訟費用の言及はなかった。被告人は検挙前、地域の少年スポーツのコーチをやっており、弁護人もそのコーチの1人なのだという。被告人はもう少年たちの前へ出られないが、地域の人たちは被告人を見放さず、監督していくのだという。
 11時53分閉廷。

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 農林水産省地下・第5食堂で、とんかつ定食(半食)440円。
 ショーウィンドーの見本が減り、店内の小鉢のメニューがなくなったね。
 えっ、そういえば、タクアンの支給もなくなった!?

 裁判所へ戻って霞っ子クラブのユキさんに会い、午前の裁判の内容をちらっと話したら、ユキさんが言った。
「コーチはヤメさせられて、今度は自分がコーチされるんですね~」
 うまいっ。

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2008年3月23日 (日)

無罪病と有罪病

 3月22日付けの毎日新聞、「正義のかたち:裁判官の告白/2 木谷明さん、30件超す無罪判決」。
 すごい人もいたもんだ。一度も無罪を書いたことがない裁判官も少なくないとか聞くのに、「30件超す」って…。『週刊新潮』は“無罪病”とぼろくそ叩いたのかな。
 記事中に、「白鳥決定」に関して、こうある。

 1952年1月21日、札幌市警本部(当時)の白鳥一雄警部が射殺された。日本共産党札幌地区委員長(94年死亡)が、国外逃亡した実行役に指示したとして逮捕・起訴され、最高裁で63年、懲役20年が確定する。委員長は65年再審請求。札幌高裁に棄却されるが、異議を申し立て、同高裁の木谷さんの部に舞台は移った。
 50冊を超す記録を読み、唯一の物証だった2発の弾丸に疑問を持つ。確定判決は「事件が起きた52年1月上旬に札幌郊外の山中で試射した弾丸」と認定したが、発見されたのは、事件の1年7カ月と2年3カ月後だった。発見されるまで土に埋まっていたのに腐食がない。新たな鑑定書も「長期間土中にあれば、弾丸の表面にひびが入る」と指摘しており、証拠の捏造(ねつぞう)を疑った。

 おお~、「菅生事件」も1952年の、6月のことなんだよね~。
 「菅生事件」は、警察組織を上げてのデッチ上げのスパイをやらされた警察官を、記者らが発見するという仰天の展開があり、無罪とされたけれども。
 証拠の捏造(ねつぞう)、事件自体の捏造をやってのける体質が、現代にも引き継がれているわけだ。

 毎日の記事の最後は、こうなっている。

 木谷さん流の表現では「検察官が有罪と認めさせる十分な証拠を出したか」が裁きの基準だ。弾丸に感じた「証拠捏造」の可能性も忘れず、証拠を深く吟味した結果が、多くの無罪判決につながった。
 裁判員が臨む法廷では、過去の事件を完全には再現できない。だから、と木谷さんは説く。「裁判で絶対的な真実を発見することは不可能と割り切ることが必要。想像で証拠を補ってはいけない」

「裁判で絶対的な真実を発見することは不可能」
 同趣旨のことを、私は『裁判中毒』で何度か言及した。
 傍聴を続けてると、やっぱどうしてもそのことが痛感されるのだ。
 そして、木谷さんが言う「割り切り」を、99.99%、裁判官はできないってことも。
 裁判官が「発見」するのは、
  ・有罪の理由
  ・被告人側の主張・立証をなんとか怪しむ理由
 である。有罪の証拠が怪しいときは、想像で補って有罪とするのだ。
 “有罪病”なのである。

 じゃあ、裁判員裁判なら、無罪を無罪とできるのか。
※ 「無罪」と「無実」の違いについては『裁判中毒』参照。

 私は、ムリだろうと思う。
 裁判官により有罪方向へリードされるかも、というだけではない。
 袴田巌さん、守大助さん、ゴビンダ・プラサド・マイナリさん等々の支援を求められたとき、多くの国民は躊躇するのではないか。
「本当にほんとに絶対に無実なのか? 万が一にも騙されてたら、嫌だよぅ。ウソつきの犯罪者を野に放つようなことはできない。警察がデッチ上げたって、確たる証拠もないわけだし」
 と。
「無実の者を、警察が逮捕するはずがない。検察が起訴するはずがない。やってないのにやったと自白する(自白調書に署名する)はずがない」
 だから支援は躊躇する、それがイコール、裁判における有罪ではないのか。

 万々が一、有罪を無罪としたら、一大事。“無罪病”だと叩かれる。
 無罪を有罪としても、とりあえず、一部の運動家が騒ぐだけ。事件は一件落着し、警察・検察のメンツは保たれ、被害者も満足する…。“有罪病”とはなかなか言われない。
 裁判官も国民(裁判員)も同じなのだ。
 “無罪病”と叩かれることはあっても、“有罪病”は問題にされない…これはなんていう病気?
 いちばん喜ぶのは誰? 真犯人だよぅ!
※ 守大助さんの事件については、もともと「殺人」がないので、真犯人はいない。

 でもって、裁判員制度の怖いところ(の1つ)は、木谷さんや熊本典道さんは「じつはこうだった」と語ってるけれども、裁判員がそれをやったら犯罪になるってこと。
 「そんなの平気だ」って人もいるかもしれないが、犯罪になるってことは、刑罰を科されて前科者とされる以前に、逮捕されて長期間身柄を拘束され、家宅捜索もやられちゃうってことだよ。
 以下、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」より。太字は今井。

(裁判員等による秘密漏示罪)
第百八条  裁判員又は補充裁判員が評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  裁判員又は補充裁判員の職にあった者が次の各号のいずれかに該当するときも、前項と同様とする。
一  職務上知り得た秘密(評議の秘密を除く。)を漏らしたとき。
二  評議の秘密のうち構成裁判官及び裁判員が行う評議又は構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたもののそれぞれの裁判官若しくは裁判員の意見又はその多少の数を漏らしたとき。
三  財産上の利益その他の利益を得る目的で、評議の秘密(前号に規定するものを除く。)を漏らしたとき。
3  前項第三号の場合を除き、裁判員又は補充裁判員の職にあった者が、評議の秘密(同項第二号に規定するものを除く。)を漏らしたときは、五十万円以下の罰金に処する。
4  前三項の規定の適用については、区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものは、併合事件裁判がされるまでの間は、なお裁判員又は補充裁判員であるものとみなす。
5  裁判員又は補充裁判員が、構成裁判官又は現にその被告事件の審判に係る職務を行う他の裁判員若しくは補充裁判員以外の者に対し、当該被告事件において認定すべきであると考える事実若しくは量定すべきであると考える刑を述べたとき、又は当該被告事件において裁判所により認定されると考える事実若しくは量定されると考える刑を述べたときも、第一項と同様とする。
6  裁判員又は補充裁判員の職にあった者が、その職務に係る被告事件の審判における判決(少年法第五十五条の決定を含む。以下この項において同じ。)に関与した構成裁判官であった者又は他の裁判員若しくは補充裁判員の職にあった者以外の者に対し、当該判決において示された事実の認定又は刑の量定の当否を述べたときも、第一項と同様とする。
7  区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものが、併合事件裁判がされるまでの間に、当該区分事件審判における部分判決に関与した構成裁判官であった者又は他の裁判員若しくは補充裁判員の職にあった者以外の者に対し、併合事件審判において認定すべきであると考える事実(当該区分事件以外の被告事件に係るものを除く。)若しくは量定すべきであると考える刑を述べたとき、又は併合事件審判において裁判所により認定されると考える事実(当該区分事件以外の被告事件に係るものを除く。)若しくは量定されると考える刑を述べたときも、第一項と同様とする。

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 京王線つつじが丘駅前の「書源」では、コーナーのわりと良いところに、目立つ形で置かれてた。ありがとございますぅ。
 うれしくてつい、野田敬生さんの『心理諜報戦』を買ったよ。ここんとこ、本をずいぶん買ってるけど、読むヒマが…。そろそろ温泉へ行かねば。

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Police in dock over rape

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2008年3月22日 (土)

『ルポ貧困大国アメリカ』

 どうもここんところ尋常じゃなく眠い。電車でも傍聴席でも眠くて眠くて。
 なので3月20日(木)、「三浦和義氏の逮捕に怒る緊急集会」へ行かず、21日(金)は裁判官へ行かず、だらだら眠りました。

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 これ、川端康成氏が62歳のときの小説で、最近ドイツの監督が映画にしたと、机にあった「週刊新社会」をぼんやり見てたら、書いてあった。

 先週末から格闘してる、自力HPの更新。
   ・元になるソフトを探し当てて読み込ませ
   ・バージョンアップ版のHP作成ソフトをインストールし
   ・入力すべき名前とパスワードを探(さぐ)り当てて入力し
   ・これまで使ってたと同じ画面を出す
 …そこまでは、どうにかできたのだが、ページの更新が、できない! なんで!?
 so-net は電話での相談には応じないそうで、サイトの説明をじっくり読み、ものすご~くややこしい方法で、なんとかトップページを更新できた。めんどくさいけど、とりあえずこれでやるしかないか…。ところが、なにか他のことをやって再起動したら、その方法での更新もできなくなった。んもぉうっ!

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 新しいメールソフトは、便利だ。いったん全部受信後、どういう基準で選別するんだか、迷惑メールを1本ずつ自動的にピロン、ポロンとかいって迷惑メールフォルダへ送ってくれる。見てて楽しい。送られずに残った迷惑メールを禁止リストに登録する方法も、以前に比べてだいぶ簡単。
 ただ、開いて読むだけで感染するウィルスもあるっちゅう話を聞き、プレビューしない設定にしたもんだから、メールの本文を読むには、いちいちダブルクリックが必要で、面倒。
 …とかやってるうち、迷惑メールじゃないかもしれないメールを、何本か迷惑メールフォルダに送り込んでしまったかも。差出人の欄に表示される文字も、件名の欄に表示される文字も、迷惑メールと区別のつかないメールは、そのように削除される可能性が高まる…。私も気をつけよう。

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 18日(火)に開示を受けた確認事務(ニュー駐禁取締り)関係の文書1万500円分を、ファイルに綴じる作業をつつがなく終え、「ここに山積みの資料を土日で一挙に整理したら気持ちいいだろうなぁ」などと前向きな空想し、本日はお日柄も良く、有酸素散歩約1時間。公園のベンチで、

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 を一部読む。やっぱそうだったんだぁ、恐るべしアメリカ! こういうアメリカのやり方、価値観についていこうとする自民党政府を、我が国の愛国者諸氏は…。

 そうそう、霞っ子クラブのユキさんが関わったという『法廷タブー有名事件裁判の闇』を買わねば、とコンビニに行ったが、見つけられなかった。あとで、そういう雑誌をたくさん置いてそうな書店へ行ってみよう。

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2008年3月21日 (金)

催涙スプレーは自宅警備員専用か

3月19日(木)16時~

 2月27日に第1回を傍聴した「軽犯罪法違反」の判決。
 真っ当そうな会社員(経理担当)が、たまたま深夜、自転車で運動することになり、多額の有価証券や現金を運ぶときに自前で護身のため用意してあった小さな防犯用催涙スプレーを、思いついてカバンから出しズボンのポケットに入れて出かけ、職質で発見された、という事件。

 再開して今井重夫検察官が追加立証。甲15~21号証。弁護人同意。
 その要旨告知が聞き取りにくいのなんの。傍聴ノートに「何いってるかわっかんねーよ!」と2度も書いてある。ちゃんとやってよね、んもぉ。

 科捜研に聞き取り…カプサイシン…アーマー有限会社…筑波大…『中毒百科改訂第2版』…ポケットモデル80141…などが、10分以上の要旨告知のなかに聞き取れた。

 検察官、弁護人、被告人の最終意見が従前どおりであることを確認し、判決言い渡しまで10分ほど休廷することに。
 ふと気づくと、私の右横のスーツの男性に、どうも見覚えが。あれ? 2室2係の石井清弘裁判官では? その前に座ってる男性にも見覚えが。もしや研さん裁判官では? そうとう珍しい事件なので、見学にきてるんだろうか。

 長坂和仁裁判官が壇上に戻り、長くなるからと被告人を座らせ、判決。
 科料9000円。1日5000円換算、端数は1日に換算。訴訟費用負担。

 要するに、催涙スプレーは十分に凶器性があるからダメよ、ということのようで、そのこと自体は、まぁ、そういう解釈もあるのか、なのだが、気になったのは、そうすると、どういうことになるのか、小さくて携帯に便利で、比較的軽微な被害しか相手に与えないから護身用に適する催涙スプレーが、ごく普通に大っぴらに販売されていることは…。

 裁判官は、自宅で持つぶんには大丈夫と言っていた…。
 あれら防犯用催涙スプレーを個人が持つことに関して、突然自宅へ侵入してきた暴漢から身を守る場合と、“自宅警備員”(つまり引きこもりの息子?)が、勝手に侵入して干渉しようとするお母さんから身を守るために持つ場合においてのみ、合法ってこと? そんなものを売ってるようには、広告を見る限り到底思えないのだが、どうなってるんだろ…。

 道路交通法の場合、みんなが普通に違反して、運の悪い者だけが捕まり、そのなかの無知な(または忙しくて投げ出した)者のみ、タテマエに基づいて処罰される、という面があるけど、これもその類(たぐい)のことなんだろうか。
 そういう犯罪行為ないし処罰構造を、専門用語ではなんと呼ぶんだろう。

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2008年3月20日 (木)

歌舞伎町のキャバクラで薄い水割り4杯

3月19日(水)13時30分~

 簡裁のオービス判決が終わり、地裁723号法廷(佐々木直人裁判官)、「道路交通法違反、自動車運転過失傷害」の新件へ。

 13時32分、もう罪状認否まで終わってるかな~と思ったが、まだ始まってなかった。検察官が遅れたのだ。よかった~。

 被告人は40代の調理師。身柄(拘置所)。長身で、手が大きく指が長かった。
 新宿歌舞伎町のキャバクラ(そのHPによれば、19時~19時59分は60分6000円、20時以降は8000円、税・サービス料が通常20%、指名料3000円、場内指名料は2000円)へ、ある女の子の誕生日だからと、隣県から車を運転して行き、車を運転して帰るのだからと、ウィスキーの水割りを薄く薄くして4杯飲むにとどめ、外でラーメンを食べ、検問をやってそうなところを避けて帰る途中、足立区内の道路(環七?)で、左側車線の車が寄ってくるように感じて、なんだろう、大丈夫か? と脇見したとき、前のタクシーが信号待ちで停止し、そこへ追突し、玉突き事故となり、運転手らおよび乗客らに軽傷を負わせた、という事件。

 飲酒運転の罰金前科が2犯あり、その後、本件までの4年間に30回近く(本人供述)、飲酒運転したそうで、若く体格の良い検察官が、被告人を責めるのなんの。
 私の傍聴ノートに、「偉そう! なんじゃこの若造!」と朱書あり。

 検察官は、悲惨な事故を扱ったことがあり、「これだけ飲酒運転の根絶が叫ばれてるのに、この野郎っ!」という気持ちもあったのかもしれない。
 私だって飲酒運転者をかばうつもりは全くない。
 でもね、酒を飲みたい(またはお姉ちゃんに会いたい)、運転して帰りたい、と両立できない願望を持つのも、飲む量を少なくして、検問を避け、注意して運転すれば大丈夫だろう、と本人なりに配意・努力を試みるのも、最初の1回、または数回、捕まらずに帰ることができれば、その後も続けてしまうのも、人間として自然なことだろう。
 とくに私としては、30回の間に1回くらいは検問に遭っており、しかしオッケーで通され、あるいは検査(何度も言ってるように非常にいい加減)の結果が0.15mgに届かず、「あ、これくらいなら大丈夫なんだ」と思い込んでいたんじゃないかと、そこが気になる。本件検査値は基準ぴったりの0.15mg。

 そういうのを、たまたま事故って発覚したからと、偉そうに高圧的に責める、また、法律をいじってひたすら厳罰化する…のではなく、車はそもそも、とんでもない凶器であり、かつ、事故原因の大半は、脇見などちょっとした不注意、人間なら誰でもやり得る不注意なのであり、そんな凶器を、酒気を帯びて運転するなど論外なのだ! という事実を、広く深く絶え間なく周知徹底させていくことが、飲酒運転・飲酒事故の防止のためには、そして飲酒以外の事故防止のためにも、もっとも重要ではないのか…との思いをまた深くした。

 求刑は懲役1年。
 直ちに判決。懲役1年、執行猶予4年、訴訟費用負担。
 直ちに判決とした理由を、裁判官が述べた。なるほど~。
 14時39分閉廷。

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 15時までに少し時間があり、農林水産省地下・そば食堂で、カレーそば280円+大盛り40円。

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こっちはカタギじゃねーんだ、ヤマグチだ

3月19日(水)13時10分~

 13時10分から東京簡裁・刑事1室3係(長坂和仁裁判官)で、「暴力行為等処罰ニ関スル法律違反」の判決。
 被告人は身柄(拘置所)。黒のカーゴパンツに、黒のキルティング防寒ジャケット(襟は赤)。寒いときに逮捕されたのか。
 新宿のカラオケ店で、警備員に対し、
「こっちはカタギじゃねーんだ、ヤマグチだ。お兄ちゃん、いなくなっちゃうよ、明日には消えちゃうよ」
 などと言い、もって団体の威力を示して威迫(脅迫?)したんだそうだ。

暴力行為等処罰ニ関スル法律  第一条  団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百八条 、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

刑法  第二百二十二条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 罰金30万円、未決拘留期間中20日間を、その1日を金5000円に換算して刑に参入、完納できないときは1日を金5000円に換算して労役場留置。仮納付を命ずる。訴訟費用は不負担。

刑事訴訟法  第三百四十八条  裁判所は、罰金、科料又は追徴を言い渡す場合において、判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又はその執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、検察官の請求により又は職権で、被告人に対し、仮に罰金、科料又は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。
○2  仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。
○3  仮納付の裁判は、直ちにこれを執行することができる。

 交通違反の赤キップ、いわゆる交通裁判所でおなじみ、罰金の「仮納付」は、運転者からすれば、確定(確定判決と同等になる時期)を待たずにとっとと払えて便利、であるのだが、当局からすれば、
「こいつ、ここで帰らせたら、払わないで姿をくらましちゃうとか、そうでなくても再三の督促をしたりでたぶん面倒になるから、この場ですぐに払わせよう」
 というものなわけだ。

 傍聴席に、最初から女性が3人、固まって座ってた。
 被告人の娘、妻、母、の3世代か? とも思える3人。
 この被告人の家族かと思ったが、被告人は一瞥(いちべつ)もくれず、3人は被告人が去っても傍聴席に。あれ? 次のオービス事件の被告人の家族? けれど、そっちの被告人とも関係なさそうだった。オービス事件の次の被告人の家族なのか…。

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もう死ぬか犯罪を犯すかだと思い

3月18日(火)14時~

 もう眠くて眠くて帰ろうかと思ったが、時間が近接してたので、東京地裁・刑事19部(園原敏彦・津田敬三・宮下洋美裁判官)426号法廷、「強盗致傷」。

 合議の広い法廷の傍聴席は、主に若い男女で5分の3くらいか埋まってた。
 最前列左端(この法廷では検察官席に近いほう)に座ったら、検察官席の後ろの壁にスクリーンがあって、なにか映し出されてる。
 あれ? 判決じゃなかったのか? 再開してなにかやるのか? この席じゃスクリーンが見えないよ、と移動。最前列中央、例の娘さん(なんて表記しよう。いつも悩む)の隣へ。スクリーンには、

       冒頭陳述
       検察官が
 証拠により立証しようとする事実
    罪名   強盗致傷
    被告人 ■■■■

 と映し出されていた。へぇ~、これが裁判員裁判へ向けてのやり方なのか。私は死刑または無期懲役または重い懲役の事件はほとんど傍聴しないんで、そういうの初めて見たよ!
 つか、これ、新件なのだった。

 裁判が始まり、わかった。検察官がノートパソコンを操作すると、パソコンのモニター画面と同じものが、パソコンとつながれた投影機により、スクリーンに映し出されるんだね。
 検察官はこまめにマウスをクリックし、絵を動かしたり、次の文字を出したりする。ワイドショーでレポーターが指示説明する、ものすごくカネのかかってない絵、という感じか。ふうん。

 スクリーンを使うとき、バーの内側の電灯が暗くなる。薄暗い薄明るい映画館にいるよう。私は最前列で、カックンカックンしながら眠ってしまった。眠くて死にそうな勇敢な傍聴人、とか言ったりして。モラヴィアの『眠くて死にそうな勇敢な消防士』が、たしかうちの書棚にあったはず。

 被告人は35歳。前科なし。身柄(拘置所)。
 事件は、要するに、いじめられることもあり、働くのが嫌で、年末に給料をもらってから出勤しなくなり、給料はパチスロなどでつかってしまい、食うものがなくなり、借金はあるし、もう死ぬか犯罪を犯すかだと思い、しかし死ねず、ひったくりをやることに決め、駅前で2時間ほど獲物を物色し、何人か尾行もしたが果たせず、とうとう50歳の女性を尾行して暗がりで襲い、女性が手提げ袋を放さなかったので、顔面を何度も殴り、倒れた顔面を足で踏み、髪をつかんでガードパイプに何度も打ちつけ、悲鳴を聞いて駆けつけた近所の住人により私人逮捕された、というもの。
 最初、にやけた感じで入ってきて、被告人質問では、投げやりな無反省な態度で、
「あんまり、生きてく気力も、まァ、なくなっちゃったって感じで」
 とか答えていたのだが、園原裁判官から、
「じゃ、どうすれば良かったと思います? 思うこと、ないんですか?」
 と問われて泣きだし、激しく泣き、なにかを叫んだ、叩きつけるように!
 ほんとは、良く生きたかったのに、生きられなかった、そんな自分への、また周囲や境遇への、やり場のない怒り…か。
 検察官が、例によって、被害者へ謝罪の手紙を書いてないことを、なじったのに対し、被告人は言うのだった。
「(手紙を書こうという気持ちは)ないスね。やっちゃったものはしょーがない。いや、まー、悪いこととは考えますけども。(謝罪の手紙を送られることを)やられたこと、ないスからね。自分が殴られたりとか、ま、イジメられたりとか、されたとき、手紙でそういうこと(謝罪を)されたことないス! (手紙を)書いたって(加害者を)恨む気持ちは変わらない」

 ものすごーくショックな被告人質問だった。
 激しい暴行のわりに、被害者は「加療約10日間」。よかった。被告人は空腹で力が出なかったんだろうか、良心が手加減させたのだろうか。
 被告人よ、あんたの境遇、生き方は、というほどのことは傍聴席からはわからないにしても、