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2008年3月21日 (金)

催涙スプレーは自宅警備員専用か

3月19日(木)16時~

 2月27日に第1回を傍聴した「軽犯罪法違反」の判決。
 真っ当そうな会社員(経理担当)が、たまたま深夜、自転車で運動することになり、多額の有価証券や現金を運ぶときに自前で護身のため用意してあった小さな防犯用催涙スプレーを、思いついてカバンから出しズボンのポケットに入れて出かけ、職質で発見された、という事件。

 再開して今井重夫検察官が追加立証。甲15~21号証。弁護人同意。
 その要旨告知が聞き取りにくいのなんの。傍聴ノートに「何いってるかわっかんねーよ!」と2度も書いてある。ちゃんとやってよね、んもぉ。

 科捜研に聞き取り…カプサイシン…アーマー有限会社…筑波大…『中毒百科改訂第2版』…ポケットモデル80141…などが、10分以上の要旨告知のなかに聞き取れた。

 検察官、弁護人、被告人の最終意見が従前どおりであることを確認し、判決言い渡しまで10分ほど休廷することに。
 ふと気づくと、私の右横のスーツの男性に、どうも見覚えが。あれ? 2室2係の石井清弘裁判官では? その前に座ってる男性にも見覚えが。もしや研さん裁判官では? そうとう珍しい事件なので、見学にきてるんだろうか。

 長坂和仁裁判官が壇上に戻り、長くなるからと被告人を座らせ、判決。
 科料9000円。1日5000円換算、端数は1日に換算。訴訟費用負担。

 要するに、催涙スプレーは十分に凶器性があるからダメよ、ということのようで、そのこと自体は、まぁ、そういう解釈もあるのか、なのだが、気になったのは、そうすると、どういうことになるのか、小さくて携帯に便利で、比較的軽微な被害しか相手に与えないから護身用に適する催涙スプレーが、ごく普通に大っぴらに販売されていることは…。

 裁判官は、自宅で持つぶんには大丈夫と言っていた…。
 あれら防犯用催涙スプレーを個人が持つことに関して、突然自宅へ侵入してきた暴漢から身を守る場合と、“自宅警備員”(つまり引きこもりの息子?)が、勝手に侵入して干渉しようとするお母さんから身を守るために持つ場合においてのみ、合法ってこと? そんなものを売ってるようには、広告を見る限り到底思えないのだが、どうなってるんだろ…。

 道路交通法の場合、みんなが普通に違反して、運の悪い者だけが捕まり、そのなかの無知な(または忙しくて投げ出した)者のみ、タテマエに基づいて処罰される、という面があるけど、これもその類(たぐい)のことなんだろうか。
 そういう犯罪行為ないし処罰構造を、専門用語ではなんと呼ぶんだろう。

※2014年6月29日追記:  この事件、控訴審判決は2008年7月9日、控訴棄却。後に最高裁で破棄自判、逆転無罪とされてます。

  

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