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2008年3月20日 (木)

もう死ぬか犯罪を犯すかだと思い

3月18日(火)14時~

 

 もう眠くて眠くて帰ろうかと思ったが、時間が近接してたので、東京地裁・刑事19部(園原敏彦・津田敬三・宮下洋美裁判官)426号法廷、「強盗致傷」へ。

 合議の広い法廷の傍聴席は、主に若い男女で5分の3ぐらいか埋まってた。
 最前列左端(この法廷では検察官席に近いほう)に座ったら、検察官席の後ろの壁にスクリーンがあって、なにか映し出されてる。

 あれ? 今日は判決のはずでは? 再開してなにかやるのか? この席じゃスクリーンが見えないよ、と移動。最前列中央、あの娘さん(なんて表記しよう。いつも悩む)の隣へ。スクリーンには、

 冒頭陳述
 検察官が
 証拠により立証しようとする事実
 罪名   強盗致傷
 被告人 ■■■■

 と映し出されていた。へぇ~、これが裁判員裁判へ向けてのやり方なのか。私は死刑または無期懲役または重い懲役の事件はほとんど傍聴しないんで、そういうの初めて見たよ。
 つか、これ、新件なのだった。俺のバカ野郎!

 

 裁判が始まり、わかった。検察官がノートパソコンを操作すると、パソコンのモニター画面と同じものが、パソコンとつながれた投影機により、スクリーンに映し出されるんだね。

 検察官はこまめにマウスを操作し、絵を動かしたり、次の文字を出したりする。ワイドショーでレポーターが指示説明する、カネのかかってない絵、という感じか。ふうん。

 スクリーンを使うとき、バーの内側の天井の照明が暗くなる。薄暗い映画館にいるよう。私は最前列で、カックンカックンしながら眠ってしまった。眠くて死にそうな勇敢な傍聴人、とか言ったりして。モラヴィア氏の『眠くて死にそうな勇敢な消防士』が、たしかうちの書棚にあったはず。

 

 被告人は35歳。前科なし。身柄(拘置所)。
 要するに、いじめられることもあり、働くのが嫌で、年末に給料をもらってから出勤しなくなり、給料はパチスロなどでつかってしまい、食うものがなくなり、借金はあるし、もう死ぬか犯罪を犯すかだと思い、しかし死ねず、ひったくりをやることに決め、駅前で2時間ほど獲物を物色し、何人か尾行もしたが果たせず、とうとう50歳の女性を尾行して暗がりで襲い、女性が手提げ袋を放さなかったので、顔面を何度も殴り、倒れた顔面を足で踏み、髪をつかんでガードパイプに何度も打ちつけ、悲鳴を聞いて駆けつけた近所の住人により私人逮捕され…。

 被告人は、にやけた感じで、投げやりな無反省な、無気力な態度でこう述べた。

被告人 「あんまり、生きてく気力も、まァ、なくなっちゃったって感じで」

 しかし、園原裁判官から、

裁判官 「じゃ、どうすれば良かったと思います? 思うこと、ないんですか?」

 と問われて泣きだした。激しく泣き、なにかを叫んだ、叩きつけるように!

 ほんとは、良く生きたかったのに、生きられなかった、そんな自分への、また周囲や境遇への、やり場のない怒り…か。
 検察官が、例によって、被害者へ謝罪の手紙を書いてないことを、なじったのに対し、被告人は言うのだった。

被告人 「(手紙を書こうという気持ちは)ないスね。やっちゃったものはしょーがない。いや、まー、悪いこととは考えますけども。(謝罪の手紙を送られることを)やられたこと、ないスからね。自分が殴られたりとか、ま、イジメられたりとか、されたとき、手紙でそういうこと(謝罪を)されたことないス! (手紙を)書いたって(加害者を)恨む気持ちは変わらない」

 ものすごーくショックな被告人質問だった。

 激しい暴行のわりに、被害者は「加療約10日間」。よかった。被告人は空腹で力が出なかったんだろうか、良心が手加減させたのだろうか。

 被告人よ、あんたの境遇、生き方は、というほどのことは傍聴席からはわからないにしても、傍聴人の…少なくとも私の胸に、深く刻まれたよ。ずっと忘れない。

 

 求刑は懲役7年。強盗致傷は重い。15時36分閉廷。
 娘さんは、さらになにか、重い事件の判決の法廷へ行くという。でも私は帰る。帰って傍聴ノートを整理して20時頃、早々と寝た。

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