自衛官による駐禁身代わり出頭
3月31日(月)13時15分~
農林水産省地下・第5食堂で“お別れランチ”をとって裁判所へ戻る。
13時15分から東京高裁・刑事9部(原田國男・田島清茂・左近司映子裁判官)805号法廷で、「道路交通法違反・公務執行妨害」の判決。
広い法廷に傍聴人は私を含め2人だけ…かと思ったら開廷3分前、ヤクザっぽい人たちが数人ぞろぞろ入ってきた。そのうち、身なりも顔つきも良い中年男性が被告人席へ。
数値の高い酒気帯び、物損事故。動けなくなってイライラしていたところ、飲酒検知の若い警察官からタバコを吸い続けるのをヤメるよう言われたことに腹を立て、顔面を頭突きしたのだという、判決の理由によれば。
※ 検査装置の取説を読むと、タバコは検査値を高めるおそれがあるので、検査前によく深呼吸させるように、とある。
酒気帯びの前科2犯あり、覚せい剤で懲役1年6月、猶予5年の判決を受け、その猶予期間中の本件犯行。原判決は懲役1年(求刑1年4月)。控訴棄却。
続いて同じ法廷、同じ構成で、「強制わいせつ」の判決。
被告人(在宅)は、ポケットにフラップのついた、しゃれた冬のブレザーを着た、背の高い高齢者。目がやけに小さい。
双方から弁論再開の求めあり。弁護人(若め)からは控訴趣意書の一部撤回。
被告人質問が行われた。
どうやら、一審および控訴審第1回では、わいせつ目的を否認していたが、被害女児(!!)の家族からの「通告書」なるものを見て、自分の主張が社会通念から外れていたと気がつき、否認を撤回することにしたと、そういうふうなことらしい。
そんなんじゃあ、このまま判決とはいかない。判決は2週間後に。
控訴するってことは、一審は実刑だったと思われ、てことは同種前科があったか、前科なしだけどよっぽどひどいことをやったか…。
13時39分閉廷。
枝廊下を挟んだ803号法廷(高裁刑事5部。中山隆夫・服部悟・田村眞裁判官)で、13時30分から「犯人隠避」の審理があった。
審理の期日を取るからには、それなりに長い証人尋問なんだろう、と思って先に805号の判決を傍聴したのだが、803号に入ると、なんと判決を言い渡しているところだった。開廷表はアテになんないんだよね~。
内容は、借金に借金を重ね、高利で借りた相手の駐車違反について身代わり出頭、という自衛官の事件だった。
あとでネット検索できた報道によれば、原審は長野地裁・松本支部で、原判決は懲役1年、執行猶予3年。身代わり出頭をさせたほうはすでに懲役1年6月、執行猶予5年(求刑1年6月)の判決を受けており、いずれも荒川英明裁判官なんだという。
ええっ、私は荒川裁判官が仕切るスピード違反事件を、千葉地裁と横浜地裁・小田原支部で傍聴したことがある。その後、東京高裁・刑事7部の右陪席にお見かけしてびっくりしてたら、松本支部の支部長に…。荒川さんが仕切る公判を、また見てみたい…。
それで、だ。自衛官は執行猶予付きでも懲役刑を受けたら懲戒免職となる、「犯人隠避」の罰金の上限である20万円を贖罪寄付した、債務は整理して400万円に圧縮、月7万円5年間で完済する計画が立った、上司が上申書を出し、同僚ら345名が署名して嘆願書を出し…なんとか罰金刑に落としてほしい、という控訴の趣意なのだった。
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
判決は、原判決破棄、被告人を罰金20万円に処する。
よかったね~。
じゃあ、荒川裁判官の量刑は重すぎたのか、いや、そうじゃないんだと思う…。
加えて、駐車違反の身代わりを処罰することの意味…。
終わって傍聴席で見られた光景…。
そのへんは『ラジオライフ』の次の原稿で書こうか。
13時48分、枝廊下へ出ると、さっきの805号法廷の前に裁判所の職員がいた。
14時からの罪名は、「準強姦、準強制わいせつ、公務執行妨害、傷害」。判決。
遮蔽の措置をとるので、措置が終わったら傍聴人を入れるという。
判決なのに、なんで? 再開して証人尋問?
興味がわいて傍聴することに。
だが、遮蔽の衝立(ついたて)は、証言台の部分だけではなく、バーに沿って長い高い壁のようにあり、
「じゃ、弁護人から再開の申請…と。示談書と預り書、ですか。もう1件の関係もあるとのことなので、4月14日でよろしいでしょうか」
と原田裁判長が言い、2分ほどで終わってしまった。
うぅむ、これは、傍聴人のなかにいるかもしれない事件関係者と被告人とを隔てる壁だったのか…。どういう事件なんだろう…。
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