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2008年4月15日 (火)

オービス写真4枚で起訴3件!

4月15日(火)その2

 11時から、東京地裁・刑事3部(丸山哲巳裁判官)533号法廷で、「道路交通法違反」の新件。
 じつは今日は、10時と13時半に、地裁に珍しめの罪名の新件があって、11時からのこの「道路交通法」は、いわば“つなぎ”で傍聴したのね。ところが10時と13時半のは、私のメモミス(翌日のを今日の欄に書いた)とわかり、だったら今日は裁判所へは来なかったのにぃ、と内心嘆いてたのね。でもまぁ、来ちゃったんだから粛々と傍聴しましょ、と法廷に入ったのね。
 そしたら、なんと! いや~、こんなことがあるから裁判傍聴はヤメられない、止まらない。詳細はあとでどこかに書くとして、ここでは、いくつかの要素だけ簡単に拾うにとどめとくです。

(1)検事、ご苦労さん!
 定刻の1分ほど前に弁護人と被告人(とその父親)が入廷。弁護人がいきなり、よく通る大きな声で「遅くなりました、すみません!」と言った。それはいいのだが、続けてこう言った。「検事、ご苦労さん!」。はぁ? そんなの初めて聞いたよ~。
 弁護人は、60歳くらいだろうか、グレーのスーツに白いワイシャツにエンジ色のネクタイ。面積の大きなメガネ、鼻下に黒いヒゲ。恰幅がよくて、ちょっと大阪の芸人風…つか吉本の芸人さんたちの大阪の番組に出演し、がんがん勝手なこと言って芸人さんたちを食ってしまう弁護士…みたいな。いや、すでにテレビに出てる人? とにかくチョー個性的でサイコー!

(2)オービス3件!
 起訴事実は、①2005年3月、首都高・環状線・内回り、八丁堀付近のオービスによる71キロ超過。②同年5月の、首都高・湾岸線・東行き、羽田空港3-3のオービスによる85キロ超過。③同年12月の、②と同じオービスによる57キロ超過。
 1年足らずの間のオービスで3件って、私は初めてだ。1日に2件ってのは前に傍聴したけどさ。
 ちなみに②は東京航空計器のオービスⅢLk。①もⅢLkだっけ? ま、それはおいといて先へ進もう。

(3)認否のあとに弁護人が!
 被告人は、「(起訴状の内容に誤りは)ないです」。自白か。だが、裁判官から弁護人の意見を問われて、弁護人は言うのだった。
「ちょと検事にですね…これ、平成17年の事件なのに、なんでこんなに遅れたんですか」
 検察官は、初めて見る若者。ちなみに被告人は、在宅(保釈中?)で38歳。目元が若干、昔の時代劇の俳優顔だ。
 検察官は言いにくそうに言った。
「被疑者の特定に時間を要したということです」
 ほぅ、車の転売や引っ越し、あるいは被告人が逃げ回っていたとかで、なかなか検挙できなかったのか。←この予想は、あとでガキーンと裏切られる。
 弁護人はさらに言った。
「それとこれ逮捕したのはなぜ?」
 検察官は若いくせに、冷たく生意気に突っぱねた。
「その点については答える義務がないと思います」
 おお~。まぁね、認否の手続きなのに、検察官にそんなこと尋ねる弁護人のほうが、どうかしてるっちゃしてるわけで。

(4)写真は4枚!?
 被告人質問で被告人が述べたところによると、警察からの呼び出しは2006年の頭には来て、被告人は指定日に出頭。その後も、呼ばれて行かないとか、仕事の都合で日にちをずらすとか、一切なかったという。
 んじゃあ、なんでこんなに遅れるわけ?
 起訴は今年2月らしく、とすれば公訴時効寸前に起訴したことになる。
 弁護人が被告人に尋ねた。
「写真、4枚あるよな。起訴されたの、3つだよな」
 オービスが撮った写真が4枚あり、そのうち起訴は上記のとおり3件…はぁ!?
 被告人は言うのだった。
「1.2キロ(1~2キロ?)の距離を130~140キロのスピードで…15分、20分かけて通るのは不可能じゃないのかと…」
 4枚のうち2枚は、同じ夜の測定・撮影なんだという。
 ほほ~。「交通違反一筋(ひとすじ)25年」の私は、そりゃあ、オービスの時刻が間違ってるんだろう、と推測する。写真に焼き付けられた時刻が「違うよ!」というケースはときどきあるのだ。
 しかし警察は絶対認めない。オービスは“無謬神”なのだ。そこで、解明、つまり被告人のウソを暴く、つまり被告人が誰かの身代わりで出頭してきたんだろ、と警察・検察は考え、その捜査に時間がかかったらしい。それで被告人は逮捕されたらしい。
 身代わりって、被告人の車両と同じ車両に同じナンバーをつけて同じ服装、同じ容貌で同じ夜に、近接した時刻にスピード違反した人物の、被告人は身代わりになったわけ? そこまでやって、指定日にハイハイ出頭するって、いったいどんな動機? 警察・検察が何を考えたか、私にはどうにも理解不能だ。いや、“無謬神”をムリに守ろうとすれば、狂ったようなことをせざるを得ないのか…。

(5)認めればフィリピン免許はチャラ!?
 被告人質問の前に、父親の証人尋問があり、尋問の最後に弁護人はこう尋ねた。
「この事件のとき(被告人が)免許持ってたの、フィリピンのか?」
「そうですね」
 なにぃっ!?
 被告人質問で、被告人は言うのだった。
「警察では、全部認めればフィリピン免許は起訴しないようにしてあげるって」
 なぁにぃぃぃっ!?
 出国期間が3カ月ない…とか出てきたから、法的には無免許だったんだろう。
 “無謬神”を守りたく、しかし少なくとも1件は身代わり出頭とすることはできず、なので3件だけの立件・起訴とし、それで手を打ってくれるなら無免許は見逃してやる(じつはもともと過失犯なので起訴しにくかった)とか?

(6)じつは私も長年検事をつとめ
 求刑は懲役5月。1件ずつなら、①は罰金10万円、②は懲役3月、③は罰金8万円が相場だ。1年足らずの間ってことも加味して、まとめて懲役5月、そんなもんなのか。
. 最終弁論は、こう始まった。
「じつは私も長年検事をつとめておりましたが、この起訴を見たとき、びっくりしましてね。2年以上たって逮捕をして、キューレイ(逮捕令状の請求?)してるんですね。しかも保釈して。私もたくさんの起訴を、何千件とやってきましたが、こんな起訴! これは私の、ま、法律やりだして40年もたちますが、ほんと、ちょっとやっぱりおかしいんじゃないのかと。事件は4つ。それなのに起訴したのは3つ。4つ起訴できないオービスなんだという点、もっと合理的に解明しないと。逮捕して起訴するのは如何なものかと。ま、検事の専権事項ですからいーんですけどね。私が上司だったら、ナニやっとるんだと…(中略)…ま、ご寛大な判決を賜りたいと、以上です」
 閉廷後、弁護人は検察官にまた、「や、検事、ご苦労!」とニコニコ。
「あんたも東京、長いの?」
「…いや、4月から」
「来たばっかなの。頑張ってね(ニコニコ)」

 11時46分閉廷。次回判決。
 傍聴席からの印象では、書証のなかに4枚目の写真が含まれてるように思えたが、それはないよね? 含める意味がないし…。まぁとにかくビックリの事件だった。
 ここ数カ月、『裁判中毒』の第2弾にばっちりの裁判を、続々傍聴してる気がする。

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 警察庁などが入ってる合同庁舎2号館の、リニューアルされた食堂の、定食の食堂のほうで、鶏塩焼き定食だっけ530円。ご飯は、白米と、白米にアワかヒエか混ぜたのと選べた。私は当然後者を。ここの給茶器は、お茶が濃かったよ。500円超えるのは、私の感覚からは高すぎだが、社会通念上、十分に満足すべき昼食といえるんじゃないか。

 午後は東京地裁724号法廷(合田悦三裁判官)で「公務執行妨害・傷害」の判決(泥酔し、保護した警察官の上腕部に噛みつき2週間の口傷を負わせた)を傍聴。懲役1年4月、執行猶予3年、訴訟費用負担。
 東京簡裁534号法廷(武内晃裁判官)で、「暴行」の新件を傍聴。JR御徒町駅のホームで、酔って車掌の足を蹴ったという事件。否認ではなく、逮捕・勾留して満つるまで算入のパターンの事件だった。求刑は罰金20万円。次回判決。仕事を転々としているものの、溶接等の免許を持ち、仕事は好きなのだという。見た目はホームレス風だけども、こういう、地に足をつけてるみたいな被告人は私は好きだ。
 傍聴席に、以前よくお会いしてた女性。近ごろ仕事が忙しかったんだそうだ。武内裁判官の被告人質問はちょっと異様だったんじゃない? 清酒(チェーンの居酒屋で日本酒と表記されるやつ)が好きなんだろうね、などと話す。

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