検察官、裁判官からどう責められても大事な車は売らない被告人
4月22日(火)その2
いろんなことが押せ押せのなか、急にTV番組のVTR撮りが入り、さらに別件の急ぎの用事もできて、もぉう、どうしていいのか。有酸素散歩の時間もとれない、ヤバイ…。
けど、その日その日に裁判所で何があったか書いとかないと(理由の説明は省く)、あとで困るので、手短に書いとくです。
13時10分から、東京高裁・刑事10部(須田贒裁判長。「贒」の字は拡大して見てください。凄い字だよ)813号法廷で、「道路交通法違反」の判決があった。
被告人の氏名に、どうも見覚えがある。法廷に入ると、被告人(在宅)がすでにいて、どうも見覚えがあった。なんだろう。
判決の予定だったが、弁護人が再開申請して何点か証拠請求し、須田裁判長はその一部を証拠採用し、判決言い渡しは先送りとなった。
あとで私の傍聴データ(現時点で約920件)をチェックすると、昨年12月25日に東京簡裁で判決(罰金20万円)となった無免許運転だった。控訴してたんだ~。
13時30分から、東京地裁・民事50部(布施雄士裁判官)631号法廷で、原告:有限会社エム・ピー・アイ、被告:株式会社二玄社の事件(開廷表の事件名は「編集委託料」)の証拠調べ(本人・証人)。これ、民事裁判のマニア氏から情報をもらったのだ。世のなか、いろんなマニアがいて、頼もしい。世界を支えるのはマニアだぁ! とか言ったりして。
二玄社発行の車雑誌『NAVI』で、私は連載コラムを書かせてもらっていたことがある。編集長が辞めて、連載も終わった。だいぶ前のことだ。
原告と被告、証人2人、計4人が証言台のところに並び、宣誓(嘘偽りを述べないという宣誓)。まずは、二玄社から本を4冊出し、総計100万部を超えるという「自動車ライター」氏を尋問。原告代理人から尋問してたってことは、この人は原告のほうで請求した証人なのだろう。
私は車雑誌でよく書きながら、車自体のことはほとんどわからない。この証人の氏名を聞いても、どういう人だかぜんぜん浮かばない。
ここんとこあんまり寝てないうえ、さっきラーメン大盛り400円(ラー油垂らし)を食ってきたばかり。居眠りの底に沈んでしまった。居眠りしながらも「そうかそうか」と聞いてるのが普通だが、今回はなんだか夢をみながら寝てしまった。最近そういうことが多い。ヤバイ。ふと目を覚ますと、尋問する側が被告代理人に変わっていた。あれ~。
上述のマニア氏を傍聴席に残し、14時30分頃、私は外へ。
もう帰ろうかと思ったが、ついふらふらと、15時から東京地裁723号法廷の、「道路交通法違反」の判決へ。この法廷も刑事17部(市川太志裁判官)で、検察官は午前に見た女性だった。同じ格好だった。
被告人(在宅)は78歳で、無免許の常習。執行猶予中のまたも無免許で、贖罪寄付を100万円もしたというのに、懲役4月。実刑である。15時4分閉廷。
贖罪寄付についての、まとまった論考があってもいいような気がする。すでにあるんだろうか。
15時30分から、東京地裁・刑事7部(大村陽一裁判官)401号法廷で、「道路交通法違反」の新件。
早めに入ると、「自動車運転過失傷害・道路交通法違反」の新件の、論告が始まるところだった。これも横断歩道での人身事故で、加害車両はタクシー。ドライブレコーダに、ぶつかる瞬間、被害者が驚いたように目を見開くシーンが録画されていたという。
最終弁論で弁護人は、「被告人には集中力を欠く事情があった」と述べた。なんと直前に、本件前に起こした事故が物損から人身に切り替わったと警察から電話があったんだそうだ。本件後、被告人は、自分はタクシー運転手には不向きであると考え、会社を辞めたという…。
求刑は懲役10月。次回判決。
それが15時40分に終わり、引き続き「道路交通法違反」の新件。
被告人(在宅。49歳)は、茶パツで、髪型が、なんつーのか、歌手の布施明さんを思わせる感じ。顔立ちも格好いい。黒いスーツが、サラリーマンとはだいぶ違う感じで、よく似合う。背が高く、独特の雰囲気がある。演歌歌手、のようでもある。
職業は「飲食店のヘルプ」だという。私ゃ「ヘルプ」がどんな仕事かよく知らないが、「なるほど~!」と納得した。
これも無免許の常習。しかし特異な事件だった。運転した車両が――車に無知な私は、これを言えば誰だかすぐ特定されるかと想像し、とりあえず言わないけど――相当に貴重な車両らしい。こういう事件では普通、車を売却して反省を示すのに(『改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?』のQ125参照)、検察官、裁判官からどう突っ込まれても、売却するとは断固言わないのだった。裁判的には良くないのだが、その頑(かたく)なさに私は感動した。
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改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?―警察では教えない126の基礎知識 著者:今井 亮一 |
昨年10月に無免許&酒気帯び(0.3mg)、今年3月に無免許、なので求刑は懲役10月。酒気帯びは休みの日のことで、どこで誰と飲んだのかも含め、すっごく印象に残る被告人だった。ヘルプをやってるという店へ飲みに行きたい。高いんだろうなぁ…。
16時55分閉廷。
さすがに631号法廷の民事はもう終わってるだろうと裁判所を出たが、あとでマニア氏からメールがあり、17時過ぎまで続いたそうだ。うわ~。
地下鉄の改札を通り、アートコーヒーに見知りの娘さんらを発見。ふらふら寄り、少しだけ歓談。ほっと落ち着いてコーヒーを飲むと、まぶたが閉じそうになってしまう…。
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眠くて死にそうな勇敢な消防士―モラヴィア動物寓話集 著者:アルベルト・モラヴィア |
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