デパートの陰茎露出魔
4月25日(金)その3
帰って仕事を、と思ったんだが、13時30分から「自動車運転過失致死」の判決を傍聴した地裁706号法廷で、15時15分から「公然わいせつ」の審理があると、見知りの娘さんから教わり、ちょうど時刻もよいので、ちらっと傍聴してみることに。
被告人は身柄(拘置所)。ジーンズに紺のトレーナー、襟首から、細いチェックの模様入りのワイシャツが見える。背は高め。普通の若者風だ。私が昔、劇画原作の勉強をしていたとき、似た若者がいたっけ。彼も背が高かった。その後どうしてるんだろう。
弁護人(男性1人、女性1人)が書証を取調請求。検察官は同意。
弁1号証に、「犯行場所のデパート宛ての手紙」という言葉が出てきた。デパートで公然わいせつ?
15時19分、証人尋問。証人は被告人の母親。
15時35分まで弁護人が尋問。この弁護人、娘さんによると、“セレブ妻ばらばら殺人”の弁護人だそうだ。もう1人の弁護人も何か有名な事件の弁護人だと、娘さんは言っていた…っけかな、もう忘れたよ、ごめん。
15時44分、論告。求刑は懲役6月。公然わいせつの法定刑の上限だ。
刑法第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
15時46分、弁論。
それらからわかったところによると、被告人は飲食店のアルバイトから契約社員になったが、正社員以上に働かされ、結局は正社員になれそうもないことがわかり、ストレスをためていたらしい。「飲食店」って、ハンバーガーかファミレスか牛丼か。
が、単にストレスゆえの犯行ではなさそうだった。強制わいせつと児童買春・児童ポルノ法違反で執行猶予判決を受けたことがあり、その半年後に電車内の痴漢をやり、それは示談が成立して起訴猶予になり、そのさらに半年後、本件と同様の犯行を開始したんだそうだ。
犯行とは、池袋の(どうやら複数の)デパートで、自己の勃起した陰茎を見せるかオナニーを見せるか、そんなことらしい。本件は、小学生の女児に声をかけ、陰茎を見せたらしい。2005年の夏頃から、少なくとも30回はやっていたとか。
弁護人は、前科・前歴の犯行と違い、本件は直接に有形力を行使するものではないので、前回の裁判による更生効果は一定程度現れている…などと、再度の執行猶予を求めていた。どんなことであっても、被告人に有利と解釈できる余地があることは、なんでも言ってやる、のが弁護のひとつのあり方なんだろうけど、うーん…。
こういう性癖(欲望の前にハードルを越えてしまう性向)が、カウンセリングとか薬物療法とかで直る可能性があることを示し、出所したら直ちにそのカウンセリング等を受けられる段取りを整えて、整えたことを立証し、寛大な判決を(刑期を短くと)求めるほうが、現実的というか、本人のためにも社会のためにも、したがって裁判官の心証的にも、良いのではないか、と身の程知らずにも思ってしまいますた。
最終陳述のとき、証言台のところに立って、
「二度とこのような…深く反省し…たいへん申し訳ありませんでした」
と述べる被告人の両手が、何か太いものをつかむかのような形になり、微妙に動いていた。左手のほうが、丸めた手の親指を弾くような、妙な動きをしていた。
被告人のあんな手の動きを見たことがない。私は隣の席の娘さんと、顔を見合わせてしまった。
15時51分閉廷。
来週は事件数がえらく少ない…と思ったら連休なのだった。もう5月なのか。そういえば、連休があるから原稿を早く出せと言われてるんだった。やばっ…。でも来週は「化製場等に関する法律違反」という、東京の傍聴マニアが全員集合必至の超レアな罪名が入ってるし…。
というわけで、連休のお供に、『裁判中毒』をぜひどうぞ。
| 裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21 B 107) 著者:今井 亮一 |
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