秋葉原でナイフ4本
4月10日(木)11時15分~ 銃刀法違反
東京簡裁・刑事2室2係(小川利行裁判官)728号法廷で、「銃砲刀剣類所持等取締法違反」の新件。
いや~、これはいろんな意味でびっくり。なかなか貴重な傍聴体験だった。
まず、弁護人(国選)が、ニコニコ育ちの良さそうなお嬢さん。若いときの賀来千香子さんのエキスを少し混ぜた、みたいな。ぜんぜん違うかな?
そんで、この弁護人は新人のようで、傍聴席の端に、ちょっと犀川博正さんを彷彿とさせる弁護士がいて、検察官は2人で立ち会うこともあるんだから、ということなんだろう、その弁護士を同席させていいかと弁護人が裁判官に言ったところ、元東京高裁・民事11部の書記官だったのかしらと思われる小川裁判官は、ぴしゃりと蹴った。
被告人(在宅)は57歳。背が高く、髪はボサボサ系で口ひげ。
秋葉原で警察官がよく職質をやってるという話を聞いてた(“オタク狩り”と呼ばれたりもするんだそうだ)が、この被告人、まさに秋葉原で、リュック(被告人は「ザック」と言い、検察官は「リュック」と言い)を持ってカメラのバッテリーを探していたところ、警察官から、
「最近、秋葉原は、危ないものを持ってる人が多いんで、荷物を見せてもらえますか?」
と言われ、
「ナイフなら持ってるよ」
と、リュックからツールナイフとアーミーナイフを見せ、パトカーで任意同行され、
「他にも持ってるナイフはありませんか」
と言われ、ズボンのベルトからアーミーナイフを2本取り出したんだそうだ。
合計4本。うち3本はアーミーナイフって、アメリカ映画の乱暴者ですか? 歩く凶器、全身凶器のオジサンですか? って思うでしょ。私もそう思ったよ。
ところが、検察官が証拠物を示して、その想像は裏切られた。
ツールナイフというのは、開くとペンチになるあれで、アーミーナイフとは、スイスアーミーナイフっていうの? ほら、缶切りとかヤスリとかノコギリとかワインオープナーとかトゲ抜きとか、タイプによって付いてるものが違う、あれなのだ。
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被告人は山登りと写真が趣味で(献血も趣味なのか、秋葉原へ着いてすぐ献血。手帳で証明)、バッテリーが見つかったら山へ行こうかと思っていたんだそうだ。
被告人質問が、ものすご~く興味深かったんだけど、そこは省略。ここんとこ、ブログ記事を書きすぎで、あっぷあっぷだもんだから。
とにかくね、登山に行く予定だったのかどうか、「正当理由」に関係するところ、警察作成の書類では、リュックには登山の道具など入ってなかったとなっており、しかし被告人はリュックの中身は「(警察官は)見なかったですよ」と言うので、次回、警察官を尋問することになった。
第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
ナイフの刃長は(いちばん長いもので、かな)7.3cm。長さのことについては『裁判中毒』で詳述。この事件、同書30ページからのエピソードにちょっと似てるね。
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警察官が見たのか見なかったのか、真実はわからないが、真実がどうであれ、「これこれこのように見たが、登山の道具はなかった」と証言しない警察官がいるはずもなく(そんな証言をさせる検察官がいるはずもなく。ねぇ)、登山に行く話はウソだと認定され、相場どおりの罰金刑となるのだろう。まーちがいないっ。
刑事裁判とはそういうものだから、証拠があんまりなくても悪い奴を有罪にできる一方、痴漢をデッチ上げて示談金で儲けようという輩も出てくるのだ。
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