検事さんよォ、人を騙してよォ、笑ってんじゃねーぞ、この野郎!
昨日書いた、「ストーカー判事」のメールの件。産経ニュースほど詳細ではないが、朝日新聞でも内容が一部紹介されており、そこに「検察発表資料から抜粋」とある。ふぅん。もしかして検察は、メールの詳細な内容等を、つまり捜査資料乃至書証(とする予定の文書)の少なからぬ一部を、記者らに撒いてたわけ?
被告人が書証の写しを求めても、「写させて良いとの法律がないからダメ」と断り、被告人の防御を妨害するくせに、記者には出すわけ? ふぅん…。
※ 2007年11月11日の記事「裁判員制度の本質とは」も関連。
さて、9時50分から東京地裁510号法廷で(中村昌史裁判官)で「公務執行妨害」の判決。
4月8日、公園のベンチの前で、無灯火の自転車に乗って警察官2人から職務質問を受けた際、右手に持っていたシュークリームを1人の警察官の顔面に押しつけ、もう1人の警察官に投げつけたんだという。被告人は身柄(拘置所)。前科・前歴なし。
判決は、罰金30万円、未決勾留中40日を、その1日を金5000円に換算して、その罰金額に算入。払うのは10万円でいいよってことだ。
だけど、ええっ!? 地裁で罰金!? 確認したところ、求刑も罰金だったそうだ。そんなの簡裁でやればいいのに、なんで!? 起訴後に何か事情が変わった~とか?
★
10時から地裁724号法廷(合田悦三裁判官)で「道路交通法違反」の判決。
2月18日に(そのときも審理を)傍聴して、ひき逃げ死亡事件なのに、なぜ「道路交通法違反」なのか、ナゾだった事件だ。
理由がわかった。被害者(5歳男児)は被告人の車(報道によれば米国製の四輪駆動車。戦争用のアレ?)に衝突されて転倒、背部から頭部を少なくとも1回轢かれて死亡した(可愛そうに! 戦争用の米車で日本の街路へ乗り入れるな!)が、それについては起訴されておらず、救護義務も報告義務も怠ったという「道路交通法違反」のみの、本件は起訴だったのだ。
被害者は、米国製四輪駆動車の直前へ飛び出し、被告人には過失すらないとされたんだろう、と推測するのが最もストレートか。
被告人は、衝突・礫過したことに気づかなかった、と否認していたわけだが、合田裁判官は、未必的認識はあったと認め、有罪とした。
懲役2年、執行猶予4年。訴訟費用(証人費用)負担。
黒いスーツの被告人は若く、小泉純一郎元首相の息子にどこかしら似てる。顔立ちやたたずまいが、根っからの“金持ち階級”そう、に見えた。
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約5分遅れて、10時30分からの「窃盗未遂」の審理を傍聴に、東京高裁803号法廷(中山隆夫裁判長)へ。拙著『裁判中毒』で一審・東京簡裁の様子を書いた、スリ未遂の真っ向否認だ。
今日は弁護人、検察官、双方の最終意見。
被告人の妻が、いつもの最前列で、顔を赤くして泣いていた。
壇上の裁判官らは、気のせいか、なーんか、つまらなさそうというか、ま、これはものすごい妄想的憶測だが、無実らしいのに控訴棄却とせざるを得ない気持ちを黙って噛みしめているような…。
次回判決。
★
約11分遅れて、11時からの「器物損壊」の新件を傍聴に、東京地裁409号法廷(小川賢司裁判官。去年、高裁刑事3部、中川武隆裁判長のとこで陪席をやってた)へ。
被告人(身柄、警察留置場)の氏名は女性風なのに、男性だった。
入ると、第2の起訴事実についての甲号証の要旨告知が始まるところで、起訴事実は第5まであった。ぜんぶ、コンビニ等のトイレの電気コードを切断したというもの。“トイレ壊し魔”か。無職でイライラがつのっており、最初は犯行時ビクビクしていたが、切断したら気持ちがスッと楽になり…。
店側は、水が流れなくなって気づいたんだという。電気仕掛けで水を流し、そのコードが露出してる? よくわかんなかったが、他に14件、同種のことをやっており、かつ、現在は偽計業務妨害で再逮捕中で、追起訴をどこまでやるか、続行。
11時32分閉廷。
終わってから、隣の傍聴人が霞っ子クラブの毒人参さんだと気づいた。被告人氏名が女性風だったので傍聴に来たんだという。私もだよ~。
霞っ子クラブといえば、ユキさんが書いてる昨日の「犯人隠避、組織犯罪処罰法違反」って、私が2006年7月28日に第1回を傍聴したやつじゃないかな。私は昨日は武蔵野区検と府中刑務所へ行ってて…。
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13時10分から、地裁425号法廷(林正彦裁判官)で「化製場等に関する法律違反」の判決。
懲役6月、執行猶予3年。「猟犬飼育の個人的な趣味乃至興味から…」と林裁判官は言ってたが、そうだったの? 前回5月19日は、上記「窃盗未遂」と完全にダブり、傍聴できなかった…。
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さぁ、もう帰ろうか、眠くて眠くて。
けど、もうちょっと、と13時30分から、高裁720号法廷(田中康郎裁判長)で「犯人隠避、証拠隠滅」の判決。隠避と隠滅、ダブルの罪名は東京地裁では見たことないはず、原審は地方なんだろう、と。
入ってきた被告人(身柄、拘置所)を見て驚いた。あれ、この人知ってる!! どこで会ったんだっけ。すぐにわかった、5月12日に第1回を私は傍聴してたのだ。なぜ私的な知人と、一瞬とはいえ勘違いしちゃったんだろう。
さらに驚いた、同時刻から高裁410号法廷で「傷害致死、証拠隠滅教唆」の第1回があり、どっちを傍聴しようかと悩んで720号へ来たのだが、こっちの被告人の申告により410号の事件が発覚したのだった。
もう少し詳しく言うと、被告人が銃刀法違反(実弾付き拳銃所持)で鹿児島地裁に服役しているとき、ある人物の死亡はじつはある男(410号の被告人)が金属バットで殴打する等して死なせたものであり、被告人も協力して証拠となる車に灯油をかけて燃やしたことを、白状し、それにより、410号の被告人および一緒に車を燃やした2人は逮捕された…と。
判決は、控訴棄却。
被告人は判決理由を聞きながら首をひねり、終わって裁判長に食いついた。
被告人 「じゃ、自分が言ったことは、バカみたいことだったんですか!」
被告人と裁判長とで、けっこう長いやり取りがあった。
被告人 「刑事、検事は、俺の事件を解決して、地位が上がってるんですよね」
いっしょに車を燃やした2人は懲役1年、自首した自分は懲役1年2月、納得いかないわけだ。裁判長は、1年は証拠隠滅の分であり、死亡した被害者について病院や警察に虚偽の説明をした犯人隠避のほうは2カ月、ものすごく軽くしてあると言い、更生のためのプロフェッショナルぽい人生訓みたいなものを言うのだが、被告人は納得いくはずもない。だって、一審で自首の主張がなかったのでと、控訴審での自首(刑法42条1項)の主張は封じられてるわけだし。
13時48分、被告人は再び手錠・腰縄につながれ、
被告人 「検事さんよォ、人を騙してよォ、笑ってんじゃねーぞ、この野郎!」
と出て行った。
私は傍聴していて、思った。自首すれば、自首により逮捕された者(本件では暴力団員)から激しく恨まれるはず。自首なんかしないほうがいいよね…。
痴漢やスリ未遂の疑いをかけられたら、やってなくても直ちに認めてヘコヘコしまくるほうが絶対にお得だよとか、裁判傍聴を重ねてると、そんな知恵ばかりついてくる。いいのか!?
同じ法廷で、「住居侵入、暴行」の判決と、「窃盗、強盗未遂」の第1回を傍聴して、私も帰る…。
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