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2008年6月28日 (土)

学校をハーレムと勘違いした元総長に懲役実刑

6月27日(金)

 

 さんざん悩んだ末、午後から「脅迫」と「公用文書毀棄」のいずれも新件を傍聴せず、締切りを2日すぎた原稿を仕上げよう! と金曜の午前8時45分にようやく決心…した直後、午前10時から、50月30日に傍聴した「強制わいせつ(等?)」の判決があることに気づいた。大学の、というか学校グループの総長で理事長が、教職員の唇に強いて接吻したり乳房をつかんで弄(もてあそ)んだり、学校を「ハーレムとでも勘違いしたかのような行動は言語道断」と懲役5年を求刑された事件だ。
 しかし前科はない。合計2000万円を超える被害弁償、贖罪寄付、供託をしてる。相当の社会的制裁も受けてるといえる。執行猶予がつく可能性もある。こういう判決は傍聴席で見ておく価値はあるだろう。
 と、直ちに着替えて出かけた。

 

 東京地裁713号法廷(福崎伸一郎・戸刈左近・尾藤正憲裁判官)713号法廷は、記者の姿が多かった。
 被告人(身柄、拘置所)は、黒い半袖のポロシャツに、濃いグレーのジャージ、の裾をソックスの中に入れて、手錠・腰縄につながれ、半開きの口の下唇を突き出し、入廷。やつれてぶよぶよと鈍重な感じで、大学の総長だったとは到底思えない。
 裁判官3人が登壇し、全員で起立・礼。被告人を証言台の前に立たせ、判決が言い渡された。

裁判長 「主文、被告人を懲役2年10月に処する…」

 ずいぶん減じたな。執行猶予は3年以下につく。てことは、猶予をつけるのか。いや、だったら懲役3年でいいはず。2年10月にまで減じたってことは、実刑?

裁判長 「…未決勾留日数中、80日を、その刑に算入する…」

 実刑か? いや、未決算入して執行猶予をつけることも、ないわけじゃない。
 だが、実刑だった。私の傍聴ノートに「おっ!」とある。
 被告人は、見るからに大きくうなだれて、立ったまま判決理由を聞いた。
 言い渡しが終わって再び手錠・腰縄をつけられるとき、下唇をとがらせて上目遣いに弁護人(女性2人。同席の司法修習生も女性)を見たが、弁護人は机に視線を落として書類を片付け、被告人と目を合わさず…。
 ま、こうやって、「うわっ、実刑だ! マジ刑務所行きだ!」と本人および周囲を震撼させ、徹底的な反省・悔悟を示させ、控訴審で執行猶予を付する、というやり方(刑罰行政とでもいうやり方)もあるんだろう、とは思うが…。

 

 裁判所へ出てきてしまったからには、午後の「脅迫」と「公用文書毀棄」も傍聴せざるを得まい。それまでの間、久しぶりに、即決裁判手続きの公判を連続傍聴してみることに。

 

 地裁・刑事19部(園原敏彦裁判官)426号法廷に、10時から16時まで30分刻みで9件の新件が入っていた。うち6件は覚せい剤、麻薬、大麻の事件。

 10時30分から、「覚せい剤取締法違反」。
 被告人(身柄、警察留置場)は25歳で、お姫様のような見事な長い茶パツで、女優の誰かに似ていた。「風俗店店員」で、新宿のレディースサウナの地下便所にて、覚せい剤を加熱して気化させ吸引したんだそうだ。
 美人なのだけど、目つき、表情がちょっと普通じゃなく、

弁護人 「人格障害との診断を受けてますね?」
被告人 「はい」
弁護人 「薬は飲んでますか?」
被告人 「はい」

 とのやり取りがあった。
 即決裁判手続きの早さは異様なほどだね! 検察官の冒頭陳述はなし。甲1号証、甲2号証…という書証の要旨告知もなし。被告人質問は5分程度。論告は10秒程度。直ちに判決。懲役1年6月、執行猶予3年、訴訟費用不負担。
 10時41分閉廷。傍聴席にいた母親といっしょに出て行き、母親が持ってきた白い靴に履き替えて…。

 

 11時から、「道路交通法違反」。
 こっちの被告人(身柄、警察留置場。57歳。韓国人)は、最初から黒い革靴を履いて入廷。
 物損事故を起こして通報され、無免許で酒気帯び(0.44mg)が発覚。前科は3年前の傷害、罰金10万円のみ。日本人なら、本件も罰金で済んだかも。直ちに判決。懲役6月、執行猶予3年、訴訟費用不負担。
 通訳付きなのに、15分ほどで閉廷。早っ!

 

 即決裁判手続きは、裁判所的には、1日に9件、ごそっと処理できてしまう(処理できると最初からわかってる)わけで、ありがたい制度なんだろう。でも、「迅速・便利」には弊害もある。私はこの制度には批判的だ。そのへん『裁判中毒』に書いた。

 

 11時30分からまた「覚せい剤取締法違反」(これも被告人は女性氏名)だったが、待て待て、11時から地裁・刑事17部(市川太志裁判官)723号法廷に入ってる「脅迫」を、どんな事件なんだか見ておこうと…。
 11時17分頃に入ると、被告人質問をやっていた。その弁護人が、東京簡裁のあの事件の弁護士だった。これで、あの事件のあとにお目にかかるのは4回目? 弁護士さんのほうも、「こいつ、どんだけ傍聴しまくってるんだ?」と思うのか、ちらちら私のほうを見てたよ(笑)。
 事件は、よくわかんないんだけど、妻が殺された事件に関係して(?)10年ほど服役し、出所後、かつてトラブルがあった会社へ、「お礼に行く」という趣旨の電話をし、脅迫で告訴されたと、そういうふうなことらしかった。

 

 11時48分、途中で出て、農林水産省・北別館の食堂へ。
 メインは、トレイを持って移動しながら、好みの総菜を取り、好みのご飯と汁を指定してトレイに載せ、合計金額をレジで払う、というカフェテリアスタイルなのだが、それだと800円くらいすぐにイッてしまいそうで、私はカツカレー580円を注文。
 カツは大きかった。カツて見たことないほど(笑)。肉厚もそれなりにあった。うほほ! 名古屋地裁の地下の「わらじカツカレー」は、こっちを見習うべきだと思う。…んが、私が疲れていたのか、肉の味がせず、カレーもカレーの味があまりしなかった。

 

 裁判所へ戻ったのが、12時10分頃。
 午後の「脅迫」は13時30分から。1時間以上待つのは、締切り原稿が遅れてる身にはつらい。どうしよう、帰ろうか…とぐずぐず悩んでると、親しい大学院生君を発見。ラッキー! ねぇねぇ、なに傍聴するの? 今日は「脅迫」と「公用文書毀棄」が注目だよぉ、と彼に託し、というかムリに押しつけ(ひでぇオッサンだな。笑)、私はとっとと帰る。

 

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 農林水産省・北別館の食堂の夜の状況(18時15分から飲酒可)を、やはり今週中に取材しておかねば、鉄は熱いうちに打て(それ違う?)と、また霞が関へ。傍聴仲間の娘さん(昼間、土浦支部で無罪を傍聴してきたそうだ!)と合流。
 ところが、夜は一般開放していない、と警備員。がーん! 顔面蒼白、立ち尽くしてしまった。疲れた体にむち打って、往復700円の電車賃をかけて出てきたのに!
 でも、それであきらめる私じゃない。ダメもとで手を尽くし、なんとか潜入に成功した。が、居酒屋風に飲める状況では、まだなかった。お笑い芸人のあの人(誰だっけ)に似た責任者氏に話を聞き、緑茶ハイ350円を1杯飲む。これじゃあ酒飲みはおさまるはずもなく、総務省の地下でがっつり飲み直し…。

 そうそう、今週、傍聴ノートからエクセルに書き写したデータが、事件数で1000件を超えた。

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