6万を拾得し携帯電話を遺失した日
7月7日(月)
「仙台七夕まつり」の、「豪華絢爛」な飾り付けは、どの部分がそうなのか知らないが、仙台刑務所内の刑務作業でつくられているという。そしてその作業をやる囚人たちのなかに、おそらくは無実の無期懲役囚、守大助さんがいるそうだ。
「仙台七夕まつり」の賑わいを、現場でまたニュースで見るとき、守大助さんを思い出してほしい。
ウィスキィを飲みつつ原稿を書き、寝たのが午前5時半頃。これではもう午前の傍聴は無理か…。ところが、なぜか8時に、大した苦労もなく起きてしまい、裁判所へ。
今日は、今年初めて、Tシャツの上に半袖のブルゾン、ジーンズ、下駄で出かけた。もう、これから原則、半袖と下駄で行くよ。こう暑くちゃねぇ。下駄については、だいぶ逡巡、躊躇してたんだが、考えてみりゃ、毎日スカートで来る男性だっているんだもん、下駄だってえぇじゃないか、えへへ。
10時から東京地裁・刑事13部(佐藤晋一郎裁判官)802号法廷で、被告人が「警視庁築地警察署留置番号1号こと氏名不詳の男」の、「窃盗」の新件。
※2022年4月20日追記: この事件の判決はなかなかに珍しいこととなり、メルマガ第2633号「築地警察署留置番号1号は、虐待を逃れ家出した少年だった」でレポートしました。
11時から東京高裁・刑事17部(植村立郎裁判長)717号法廷で、「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反」の判決。
被告人は、見た目60プラスマイナス数歳のオバサン。ちょっと男っぽいといえるか。ストーカーの被害者も女性、という珍しい事件だ。原審は東京地裁。たしか私は一度も傍聴してない。
被告人は最初、なんだか思い詰めた風に座っていて、植村裁判長が「本件控訴を棄却する。当審における訴訟費用は被告人の負担とする」と判決を述べ始めると、鼻水をすすりだし、「元職場の同僚であった本件被害女性…甲女(こうじょ)としますが、甲女48歳に対し…」という部分から、うううと声を出してさめざめ泣き始めた。
控訴の趣意は、事実誤認。恋愛感情うんぬんではなく、謝罪を求めたのだ、という主張。しかし、「交際願望の意志を示していないからといって(ストーカー行為)にならないことはありません」と植村裁判長。
ははぁ、「脅迫・威力業務妨害」の裁判で、つまり、本人がいくら「その行為が××に当たるとは思わなかった。××する気もなかった」と言い張っても、誰が見ても××としか言いようのない行為をすれば、それは××なのだ、という考え方を、ふむ、そりゃそうだわねぇ、と聞いたが、この認定もそれのようだった。
被告人 「(言渡しのと中、鋭い泣き声で。以下同) 電話かけてませぇん!」
裁判長 「静かにしてください」
………
被告人 「謝罪してませぇん!」
裁判長 「静かにしてください」
………
被告人 「聞いただけですぅ!」
裁判長 「これ以上発言すると、退廷を命じます」
………
被告人 「面会要求なんかしてませぇん!」
裁判長 「ほんとに静かにしてください」
被告人 「(聞こえない風に) 冗談じゃないですよ!」
裁判長 「じゃ、退廷を命じます」
廷吏(若い男性)が被告人のそばへ行って声をかけると、被告人は憤然とした風に、バッグを持って、傍聴席側のドアから出ていった。
それから、「精神病院に措置入院させられ…」と裁判長が判決理由を読み上げてるとき、傍聴席側のドアにごそごそ音が! 被告人が戻ってきたのか! ドアを開けたのは阿曽山大噴火さんだった。ずこっ。
閉廷後、廊下に被告人の泣き声が聞こえており、一般待合室を見たら…!
11時30分から高裁・刑事11部(池田耕平裁判長)715号法廷で、6月10日に第1回を傍聴した「過失傷害」(自転車の交通事故)の判決。
検察官は、佐藤仁志さんというのかな、眉が濃く、時代劇のお役者風。
事務官は、初めてみたとき「誰かに似てる。誰だっけ」とずっと悩み、「あっ、永島慎二さんの漫画の登場人物だ!」と気づいて、なんだか涙が出そうになった、素敵な娘さんだ。
傍聴人は、被告人の家族か関係者らしき女性2人と、この日裁判所のあちこちで見かけた若いカップル。判決は、控訴棄却、当審における訴訟費用は不負担。
それが11時45分に終わり、地下の郵便局へ。
少しカネを引き出そうとATMの前に立ったら、突然警報音が! なに? 現金の取出口に、前の人が取り忘れた現金が。手に取ると警報音は止み、現金を数えると6万円。あらま。窓口の職員に渡し、食堂へ…。
そのとき、昨日のことが思い出された。私が昔、貧乏な頃、小さなパン店へコロッケパンか何か買いに行ったとき、店先の路上に1万円札が1枚落ちていて、私は「落ちてましたよ」と店のオバサンだったかオジサンだったかに渡したんだけど、昨日、妻子とその話になり「なんて馬鹿なの。なんで警察へ届けないの」と、めっちゃ叱られたばかりなのである。
それで、郵便局に戻り、こういう拾得についての手続きはあるのか尋ねてみた。すると、拾得者が申し出た場合は手続きがあるらしい。所定の書類に書き込んでたら、6万円を取り忘れた中年男性が来た。そりゃすぐに気づくよね。じゃもういいや。私は食堂へ。そば食堂で、かけそば210円+大盛り80円=290円。
それから1階へ戻り、一服。突然、気づいた。携帯電話がない! 落としたのだ! どこで?
715号法廷で、携帯電話で時刻を確認したのは記憶してる。そのあとだ。でも、腰のベルトのポウチから裁判所の硬い床へ落とせば、嫌な音がして、気づかないはずがない。気づかないのは、どんなシチュエーション? 椅子…?
そば食堂で尋ねたが、なし。裁判所の管理課へ行ったが、届けはなかった。
うろうろしてるうち、さっきの取り忘れの男性にばったり。私を捜していたという、謝礼のために。いやそんなのぜんぜんいいですよと固辞。拾得の手続きをしたのは、妻子に言い訳するためだし、だいいちねぇ、そんな謝礼を受け取ってる場合じゃないし(笑)。
昼休み中で申し訳ないけど、15階の高裁刑事11部へ。上述の事務官さんがニッコリ、法廷を開けてくれた。でも、携帯電話はない。が、私は不思議と心配してなかった。すぐに戻ってくる確信のようなものがあった。
結局、もう一度管理課へ行ったが届けはなく、念のためにと郵便局へ行ったところ、職員らがニッコリ。そりゃそうだ~、6万円を拾って自分の携帯電話を落っことしていった、私は珍しいオヤジだったのね。かくして携帯電話は戻った。拾ってくれた方、ありがとございました!
解決したことを、やっぱお伝えしとかねばと、管理課と高裁刑事11部へ。あ~、今日は裁判所内を歩き回ったな~、下駄で(笑)。
13時05分から、東京地裁・刑事11部(小池勝雄裁判官)405号法廷で、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」の判決。
電車内における痴漢行為で、懲役8月、訴訟費用負担。
同種罰金前科があり、2004年5月には懲役8月、執行猶予3年の判決を受けており、その猶予経過後1年足らずでの犯行なんだそうだ。20万円を支払って示談し、寛大な処分を求める上申書を被害者から提出してもらったが、実刑である。
言い渡しが終わると検察庁の職員が2人、バーのなかに入り、保釈取消の手続きを。ちなみのこの女性弁護人、どこかでお見かけしたような。
13時07分、405号法廷を出ると、隣の404号法廷の前に、開廷待ちが5~6人。13時30分から「死体遺棄」の新件があるのだ。21歳の母親が乳児の遺体をコインロッカーに遺棄したという事件。もう並んでるのかよ。てゆっか、こういう事件を狭い法廷(傍聴席20席)でやるなよぉ、この場をいったん離れたら、もうこれは傍聴できないだろな~、と思いつつ私は8階へ。
13時15分から高裁・刑事9部(原田國男裁判長)805号法廷で、「不動産侵奪」の判決。
被告人はお爺ちゃん。「移動飲食業」だという。市営住宅の敷地内に穴を掘って支柱を立て、適法な占有権限がないのに店舗(報道によればラーメン店)を設けたんだそうだ。器物損壊で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けての、その猶予中の犯行なんだそうだ。原審は、求刑が懲役1年6月で、判決は懲役10月。
控訴審判決は、控訴棄却、当審における未決40日算入。お爺ちゃん、2年4月の刑期で下獄することになるのか。13時21分閉廷。
404号法廷を念のため見に行くと、若いカップル(上述のカップルだっけ?)が出てきた。この時刻に出てくるってことは、満席で座れなかったんだな。私は直ちに踵(きびす)を返し、本日の傍聴はこれでオシマイ。
裁判所を出て、飯田橋の警視庁遺失物センターへ。だいぶ前に、裁判所内で拾って管理課へ届けた18金の鎖状のネックレス、持ち主は現れなかったそうで、受け取りに。
2時間半しか寝てないのに眠くならず、6万円拾って携帯電話を落とし、昔拾ったネックレスを受け取りに…。非常に珍しい日といえるので、帰り、思いついて宝くじを1000円分買ったょ(笑)。
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