何が殺人禁忌を解除したのか
交通事故の現場へまず駆けつけるべきは、救急隊員は別として、事故原因を調査する専門家だろう。
その調査結果により、同種の事故が二度と起こらないよう対策をとることができる。調査結果からは同時に、誰にどれだけ過失があったか明らかになる。それにより、処罰すべき者を処罰すればいい。
ところが現実は、まるでちがう。犯人を検挙するのが仕事の警察官が現場へ来て、加害者と見込んだ者を検察送致・処罰するために必要な証拠を集め、不要な証拠は集めない(捨てさえする)。これじゃあダメでしょ。
…と私は前々から言い続けてきた。
そして最近、思うのだ。
最近、理解しがたい(とされる)殺人事件が続々と起こってるようだが、こっちも原因調査の専門家が徹底的に調べるべき…という点において、交通事故とまったく同じではないのか。
たとえば、なぜそうも簡単に、他人の体に刃物を突き立てることができてしまうのか。人格の障害なのか、脳の機能の障害なのか、あるいは、禁忌というハードルが軽々と越えられるものになっているのか…。
“異常者”の出現は避けられないとして、その出現の頻度がかつては100万人に1人だったのが、もしも最近は10万人に1人になっているとしたら、原因はどこにあるのか…。
『脳内汚染』に、興味深いことが書かれていた。
第二次世界大戦中の戦闘員についての軍事心理学的な研究によると、狙撃兵の1割5分から2割のものしか、露出した敵に対して発砲していなかったという。兵士といえども、敵を殺すことに強い躊躇を覚えるという事実は………(中略)……人を殺害するという行為には、それほど強い抑制がかかるように、そもそも人間はプログラムされているのである。……(中略)……子どもが些細なことで叱られて親を殺したり、無関係な人々を憎しみさえなく殺してしまうという事態は、まさにこの殺人のタブーという、人間に本来組み込まれているはずの禁止プログラムが働かなくなっていることを示している。唯一考えられる可能性は、この禁止プログラムが変えられてしまい、タブーが解除されてしまったということである。……(中略)……フォークランド紛争でアルゼンチン軍とイギリス軍が戦ったとき、アルゼンチン軍は昔ながらの黒い円の標的を用いていたため、発砲率が10~15%に留まった。それに対して、近代装備のイギリス軍は、ポップアップ式の人型シルエットで射撃訓練を行っていたため、発砲率が9割を超えたのである。
あの事件、この事件の、彼、彼女の「禁止プログラム」は、何により変えられてしまったのか、何により「タブー」は解除されてしまったのか。そのへん、徹底的な解明が必要と思う。
早く死刑にしてしまえ! で幕引きされ、見当違いの規制強化・監視強化が残るばかり、では困ると思う。
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脳内汚染 (文春文庫 お 46-1) 著者:岡田 尊司 |
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誇大自己症候群 (ちくま新書) 著者:岡田 尊司 |
この暑さでか、無垢材の床の窓際の、木の節目が浮き上がって割れてた、のに気づかず、足の裏をざくっとやってしまった。いつまでも痛いな、と思ってよく見たら、小さな木片が傷のなかに茶色く残ってるじゃん。うわ~。
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