駐車監視員とホームレスとカップ清酒
何か忘れたが、器物損壊の夢を見て、夢にまで見るんじゃしょーがないよね(笑)と、午前中から裁判所へ。
地下鉄の出口を出ると、裁判所の前の桜田通り(下り)で、駐車監視員が確認事務(新しい駐禁取締り)をやってた。
その車のすぐ後ろには、除外標章をつけた車が1台。そのまたすぐ後ろには、運転手が乗った白ナンバー高級車が複数台。もちろん、それらの車に対しては確認事務は行わない。つまり、何台もずらっと違法駐車してる車のうち1台からカネ取った~、次行こ~、である。
10時30分から東京簡裁・刑事2室2係(小川利行裁判官)728号法廷で、「器物損壊」の新件。
法廷へ入ろうとすると、若い男性とその家族らしき女性が2人、出てきた。
男性の足下は官品のサンダル。警察留置場で勾留されてて、執行猶予判決を受けて釈放されたんだろう。サンダルのことを男性が「みんなこれなんだよ」とか言い、女性(母親かな?)が「知ってるわよ」と応じた。し、知ってるって、普通そんなこと知らないよぅ…。
「器物損壊」は、否認ではなかった。住所不定・無職なので逮捕・勾留し、罰金刑を満つるまで算入で終えるパターン、の事件だった(その意味は『裁判中毒』参照)。
多いよね、このパターン。こんなことのためにいちいち公判を開くって、ムダじゃない? 満つるまで算入専用の簡略な手続きがあってもいいような。
いや、身柄拘束を伴う以上は、なるべく公判廷を経るほうがいいのかも。なんでも迅速・簡便にすりゃいいってもんじゃない、こういう社会負担は、やむを得ないか。
事件は、52歳のホームレスが朝から公園で酒(清酒ワンカップ)を飲み、北区の滝野川消防署の訓練の声がうるさいからと怒鳴り、アルミのフェンス1本を手で引きはがして折り曲げ、1万6800円の損害を与えた、というものだった。
23歳頃に結婚して子どもを持ったが、飲酒が原因で離婚し、1976年以降、前科15犯、前歴6回なのだという。
求刑は罰金20万円。
弁護人は、「犯行を認めて真摯に反省しており、従って再犯のおそれはないと…」と弁論していた。え~? 被告人は、裁判になる度に「犯行を認めて真摯に反省」してきてるわけで、そして今後も酒はやめられないと正直に言ってるわけで…。うーん。そのへんのこと、そのうち雑誌の原稿で書こう。
次回判決。11時00分閉廷。
11時15分から同じ法廷で、「占有離脱物横領」の新件。
じつはこの被告人、私の大学時代の友人と同姓同名。その友人は、なんつーか、良い奴なんだけど、見た目は完全にヤクザ。「もしや彼では…いや、まさか」と傍聴してみたのだ。
やはり、彼ではなかった。安堵しつつも残念に思う自分…許せ。
被告人は56歳、住所不定、無職。私立高校を卒業して、たぶん有名な会社に就職したが、3日目の合宿中に逃走して退社したんだそうだ。その後、別の会社に就職し、退職して居酒屋を経営したが、うまくいかず、さらに別の会社に就職したが、2000年に実母を亡くしてやる気を失い、保護観察官も呆れるほど就労意欲がなく、ホームレスになったんだという。
占脱は、氏名不詳者が遺留した他人の自転車を自己のものとするため持ち去り。追起訴があり、そっちは同様の占脱と、コンビニでの清酒ワンカップなど417円相当の万引き。弁護人が、追起訴分の書証の検討がまだということで、続行。
11時50分から東京高裁・刑事8部(阿部文洋・吉村典晃・堀田眞也裁判官)717号法廷で、東京地裁での公判を1度も傍聴しなかった(高裁での審理も傍聴しなかった)、逮捕も地裁判決も報道された「監禁」、の控訴審判決。
被告人は身柄(拘置所)。青系の縞、が入ったポロシャツに、良さげなジーンズ。しかし、突っ張って動かない右足を、前屈みになって必死に前へ出すような、異様な歩き方で、思い詰めた硬い表情で入ってきた。腕が細くて白かった。
原判決(懲役2年)破棄、懲役1年10月、原審における未決20日算入。
さらに100万円を賠償金として払ったことが考慮されたようだ。2カ月を100万円で買ったことになるのか…。傍聴してると、そういうことが多い。
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