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2008年8月 7日 (木)

悔悟の鼻水

8月6日(水) その3

 席の奪い合いがあったのち、11時05分頃から、東京地裁・刑事10部(野村賢裁判官)405号法廷で、「業務妨害」の新件。
 秋葉原でのあの通り魔事件(6月8日)の翌9日2chに「今から池袋行って100人ぶっ殺す。もうすべてが嫌になった。俺もやる」とか投稿して6月15日に逮捕された事件である。

clip 被告人(7月28日に保釈)は、廊下での私なりの第一印象は“若くて普通に可愛い感じのボクちゃん”だったが、じつは29歳。もうすぐ30歳なのだった。
 細いストライプの、黒のスーツ。3つボタン、3つ掛け。スーツの袖口にシャツがまったく見えないところからすると、ワイシャツは半袖か。
 独身で、母、姉と同居。定職に就かず、アルバイトで50万円ほど貯めると辞め、カネが底をつくとまたアルバイト、ということをやってたんだそうだ。本件当時も無職。

 6月9日、朝起きてテレビをつけて、1時間くらい経った頃、2ちゃんねるの、日本テレビを見ている人が書き込むところ(そんなのがあるんだ?)に、どういうスレッドを立てようか考えながらテレビ(日本テレビの放送)を見ていたら、8日の秋葉原の通り魔事件のことをやっていて、それを見て思いつきで、「今から池袋行って100人ぶっ殺す。もうすべてが嫌になった。俺もやる」と(句読点や漢字等の表記は傍聴席からは不明)、午前7時09分頃、書き込んだのだという。
 自分が立てたスレッドに多数の書き込みがあることが、どうも喜びになるらしい。は~、2chってそうなんだ~。

 その書き込みによって被告人は、通報を受理した警視庁池袋警察署に、同日11時から16時まで、警察官11名をして、管内の検索・警戒の業務に従事させ、交通取締り、捜査書類作成等の業務を妨害したものである、というのが公訴事実の内容。

 罪状認否。
被告人 「(公訴事実の内容に)間違いありません」
 例の事件(「脅迫・威力業務妨害」)の被告人と弁護人なら、「妨害する意志はなく、妨害になるとの認識もなかった」とか主張して、とことん争ったのかな…。

 検察官の立証は数分で終わり、次は弁護人による情状立証。
 被告人の母親を尋問。
 ハキハキしっかりしたお母さんなのだが、裁判所が情状証人に求めるパターンから、だいぶ外れてた。
 うちの息子は優しくて、今回はたまたま思いつきで大失敗をし、他人様に大きな迷惑をかけてしまった、十分反省し、もう二度としないはずなので大丈夫、親として信頼している(信頼できる息子である)と言うのだが、そんな優しくて信頼できる息子がなぜ今回のようなこと(思いつきによる重大な犯罪)をやってしまったのか、そこの分析がなければ、再犯を防ぐような監督はできないでしょ、というのが裁判所の考え方なのだ。
 な~んか、噛み合わないな~、と傍聴席でもどかしかった。

 続いて被告人質問。
 弁護人と検察官からの質問では、被告人は何度も、「11人もの警察官に迷惑をかけて申し訳なかった」旨言った。「業務妨害」の裁判なのだ。
 でも、私は違和感を覚えた。池袋に11人ってことは、警察もあんまり本気にしてなかったんだろうし、念のため検索・警戒の業務を行うのは警察の職務だ。それより、今回の書き込みの悪質さ、犯罪性の本質は…。

 最後に、裁判官から。
裁判官 「いま、いくつですか」
被告人 「29歳です」
裁判官 「あなたがイメージする、29歳のイメージはどんなふうですか」
被告人 「…子どもがいて、家族のため一生懸命に働いている…人たちです」
裁判官 「100人が100人、そうあるべきだとは言いませんけど…」
 という辺りで、被告人が急にうつむいてしまった。声が泣き声になり、鼻水をすすった。
 定職に就かず、2chにどんなスレッドを立てるかわくわく考え…そして、逮捕され長く勾留され、満席の傍聴人の前で、被告人として立たされ、母親まで…ものすごーく自分が情けなくなってしまった、ように私には思えた。

 そして裁判官は、弁護人も検察官も言わなかった、一番大事なことを言った。
裁判官 「これが一番大事なことなんだけど、秋葉原で起きた事件の被害者、遺族の方々が、また似たようなことをやると宣言しているのを(つまり被告人の書き込み)を見たら、どう思うか。(書き込みの内容は)思いつきとか、そんなことでやるようなことじゃないよね。被害者、遺族の方をどんな気持ちにさせるか。言ってること、わかりますか?」
被告人 「はい」
裁判官 「直接この裁判で問題になってないけど、そこを考えてほしいんだよ。よく考えて。いいね?」
被告人 「はい」

 被告人は被告人席へ戻り、検察官が論告。求刑は懲役1年6月。そして弁護人が弁論…。
 その間、まず、被告人の鼻の、先っちょのほうの下に、透明な滴(しずく)が見えた。涙と鼻水が混じったもののように見えた。嗚咽、ではなく、目から涙が、頬を伝わり落ちた。そして鼻の先からたらーりと、あごより下辺りまで、透明な鼻水が糸を引いた。
 満席の傍聴人の前で、だいぶ恥ずかしいことだろうに、被告人はハンカチ等で拭くこともせず、赤くなった目を開き、鼻水を垂らして、被告人に座っていた。
 それを見る限り、息子に対する母親の信頼は誤ってないように思えた。恐るべきは2chへの耽溺、なのかもしれない。
 11時55分閉廷。

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著者:今井 亮一
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restaurant またも合同庁舎5号館(厚労省など)の地下食堂へ。けど、中華定職A(480円)も洋定食A(480円)も、今日のはイマイチ魅力に欠け、パスタも飽きたので、家庭裁判所の地下食堂へ。ラーメン(370円)と半炒飯(110円)。炒飯はちょっとアレだったが、計480円でこれなら悪くない。また来るかも。
 早々帰って、久しぶりにコミセンのプールへ。足裏の手術もありだいぶ運動不足だったので、10往復でカンベンしてやることに。ただ、小学生らに誘われて鬼ごっこをし、疲れた~。

pen 6日夜、TBSで「交通警察24時」とかいう番組があったでしょ。交通刑務所の服役囚のインタビュー、あの服役囚がやった飲酒死亡事故は、2006年12月27日に傍聴した事件だ。判決は懲役2年。詳しくは『ラジオライフ』の2007年1月末の発売号に書いたっけ。 

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