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2009年1月 9日 (金)

傍聴マニアが裁判所内で傷害事件?

 以下、1月8日付け読売新聞の一部。被疑者氏名は記事では実名。

神戸地裁で傍聴男が弁護士襲う「刑務所に入りたくて」
 8日午前10時20分頃、神戸市中央区橘通の神戸地裁2階の廊下で、辻忠雄弁護士(77)(兵庫県弁護士会所属)に千枚通しのようなものを持った男が後ろから襲いかかった。
 男は転倒した辻弁護士を刺そうとしたが、助けを求める声を聞いて駆けつけた地裁職員が男を取り押さえた。辻弁護士は手などに軽傷。男は生田署員に引き渡され、同署が傷害容疑で現行犯逮捕した。
 発表によると、男は神戸市■■区■■■町、■■■■(60)と名乗り、同じ名前の健康保険証を所持していた。調べに対し、男は「刑務所に入りたかった」などと供述しているという。
 地裁や同署によると、辻弁護士は2階にある201号法廷で、覚せい剤取締法違反罪に問われた被告の判決公判を終え、廊下に出たところを襲われたという。男も裁判を傍聴していたといい、「弁護の方法も気に入らなかった」とも言っているという。辻弁護士は「男と面識はない。首を狙ってきたので、手で振り払おうとした時に刺された」と話している。

 同日付けの神戸新聞によれば、

 調べに対し「裁判の傍聴をするのが趣味だった。弁護士という職業に反感を持っていた。刑務所に入りたかった」などと供述しているという。

 こうした記事における被疑者の供述は、ナマの供述では到底なく、良くて警察による要約(それはある程度しょーがないだろう)、冤罪事件においては創作である、ということを踏まえて…。

 

090109_01080002  裁判を傍聴するのが趣味…。他人事じゃない。
 つか、服役経験があり(出所後、生活保護を受けているのかそのへんは知らないが)平日の昼間、傍聴三昧(ざんまい)してる人はいる。そういう人の話を漏れ聞いたのを、このブログにちらっと書いたような気もする。どうだっけ。

 刑務所に入りたかった…。
 昔からそういう動機の犯行(報道)はあり、私も「逮捕願望」というフォルダを設けて記事を貯めてるけど、最近多いよねぇ。
 死刑や懲役が、犯罪の抑止力ではなく、犯罪の動機になってるわけで、そういうのが今後も目立つなら、社会のあり方を深いところから見直さなきゃいけないのかも。

 ただ、裁判傍聴が趣味で、バー(傍聴席の前の木の柵)の向こう側の被告人が続々と懲役実刑を言い渡されるのを見て、俺も刑務所へ行ってみたくなった、体験してみたかった、となると話はまた別だ。

 

 かく申す私は、「立て万国のマニア諸君!(仮題)」でも書いたように、

 けれど、なんだか物足りなくなった。牛丼ムカムカ事件の後も何度か不起訴を勝ち取ったが、ご相談者のなかには起訴されて裁判を闘う人もいる。ああ、私も最前線へ出たい。

 な~んて動機から、ある裏技を用いてわざわざ刑事被告人になったことがある(ったくお恥ずかしい。反省しておりますぅ)。
 本件被疑者もそういう動機なら、その“マニア魂”には感服…とはシカシ到底言えないよ、だって、他人を襲っちゃダメでしょぉ! せめて、私みたいに、誰にも迷惑のない、形式的な駐車違反でなきゃ(ってオイ)。

 

 それでだ、この被疑者、望みどおり刑務所へ行けるのか。
 累犯関係にある前科があるとか、同系統の犯罪で執行猶予中だとかなら、スムーズに行けるだろう。
 そうでない場合、罰金刑で満つるまで算入となり(その意味は拙著『裁判中毒』参照)、神戸の労役場留置が刑務所内で行われる場合は、刑務所へ行けることになる。
 けど、執行猶予で済んだ場合、またやるのか…。
 嗚呼、マニアの勝手な連想、憶測は続くよ、どこまでも…。

 

 なんにしても、こういうのが大きく報道されると、「あ、そんな手もあるのか」と、東京地裁でもマネする人が出てくるかもね。だって、X線検査や金属探知機に引っかからない凶器はあるし、凶器がなくても、ねぇ。従来以上に、傍聴人にも気を配るようにしようか…。

 今日もバットを素振り。剣道風の素振りもあわせて約350回。
 いよいよ危ないオッサンだ~(笑)。

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コメント

 主文、被告人は無罪。
 当法廷で取り調べた関係各証拠によれば、被告人が傍聴席で居眠りを行ったことは明らかであるが、第2回、第3回、第4回公判において被害裁判官らは、法壇から被告人の様子を逐一観察していたところ、被告人は傍聴ノートを取りつつ法廷内の様子を見回すという熟練の技をもって傍聴し、やがて悪質な睡魔に襲われ、これに対し必死に抗って(あらがって)いたが、ついには抗拒(こうきょ)不能となって同じ姿勢のまま失神したらしき旨、異口同音に証言しており、かつ、弁護人提出の弁1号証、被告人の傍聴ノートの筆致には、同失神に至る過程が克明に顕れているということができ、弁2号証、被告人の買ったばかりのズボンの右腿部分には、失神により右腕の保持が困難となってボールペンが流れて印象したインク跡がある。
 以上のことから、被告人には居眠り行為を行う意志がなかったことは明らかであると認められる。そして、この過失による居眠りを罰する規程は存しない。よって、刑法38条1項により被告人を無罪とする

※ その後、東京地検は、本件居眠りは昼食時に被告人が家裁地下の食堂で四川風ラーメンの、あろうことか大盛り50円増しを食べて大いに満腹満足したことから惹起されたものであり、したがって自招過失であるとして控訴した。

就寝傍聴を繰り返したことによる
威力業務妨害で立件されたし(≧∇≦)

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