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2009年3月17日 (火)

罰金20万円はなぜ戻るのか

道交法違反適用でミス 罰金20万円返却へ
 運転免許で制限された排気量の上限を超える車を運転した女性が、道路交通法の「免許条件違反」で1万5000円の反則金納付で済むはずなのに、「無免許運転」の罪に問われ、罰金20万円を納めさせられたのは法令違反だったとして、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は16日、罰金の支払いを命じた略式命令を破棄、公訴を棄却する判決を言い渡した。検察側が警察の指摘でミスに気づき、検事総長が最高裁に「非常上告」していた。

 と3月16日付けの「イザ!」。の一部。太字は今井。
 「反則金」と「罰金」と出てくるし、「非常上告」だの「略式命令」だの「公訴を棄却」だの、拙著をお読みの方以外は、つまり赤ちゃんも含めて1億2500万人くらいの方は()、全くちんぷんかんぷんかも。
 そのあたり、簡単に解説しとこう。
 以下、刑事訴訟法

第四百五十四条  検事総長は、判決が確定した後その事件の審判が法令に違反したことを発見したときは、最高裁判所に非常上告をすることができる。

 すると、本件の手続きにどんな「違反」があったのか。
 以下、道路交通法。本文中の太字は今井。 

第百三十条  反則者は、当該反則行為についてその者が第百二十七条第一項又は第二項後段の規定により当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付の通告を受けかつ、第百二十八条第一項に規定する期間が経過した後でなければ、当該反則行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。ただし、次の各号に掲げる場合においては、この限りでない。
 第百二十六条第一項各号のいずれかに掲げる場合に該当するため、同項又は同条第四項の規定による告知をしなかつたとき。
 その者が書面の受領を拒んだため、又はその者の居所が明らかでないため、第百二十六条第一項若しくは第四項の規定による告知又は第百二十七条第一項若しくは第二項後段の規定による通告をすることができなかつたとき。

 ものすごく簡単にいうと、免許条件違反(反則行為)については、まずは反則金ですますチャンスを与えなければ「公訴を提起」できない、罰金の扱いにはできませんよ、ってこと。

 

 ところが本件では、取締りの警察官は、反則金ですますチャンスを与えず、いきなり罰金の扱いになる手続きを開始させた。それが違法(道交法130条違反)であることに、切符審査の警察官も、検察官も、裁判所の書記官も、裁判官も、だ~れも気づかず、罰金を払わせてしまった…。
 20万円は、普通車の無免許の相場の金額だ。
 2週間たつと、罰金の支払い命令は、確定判決と同じ効果を持つことになる。
 でもって、確定のあとで130条違反に気づいたので、非常上告により「公訴を棄却」、つまり起訴自体をナシにしたってことだ。
 だから罰金20万円は戻るわけ。

 

 では、83歳のその女性は、今から反則金1万5000円を払わされるのか。
 その言い方はそもそもおかしい。なぜなら、反則金の納付は任意だから。「払わされる」もナニもないのだ(※)。
 正しくは、今から反則金1万5000円の納付書を交付されるか、だね。
 ま、それはムリだろうと思うよ。
 反則金ですますチャンスを与えるための手続きは、「速やかに」行うことになってる(道交法第126条1項)。
 「速やかに」の解釈は、運転者の側が思うよりはずっとゆるいけど、でも、いくらなんでも本件ではムリだろう。

 

※ 罰金は、運転者に反論・反証の機会を与えたうえで、払え、とされるカネなので、その納付は任意じゃない、義務だ。カネで払わなければ体刑に換えて執行されたり、差し押さえ(通常は銀行預金からの自動引き落とし)をされたりする。

 

 ところで、こんなことがなぜ発覚したのか。
 交通違反は大量・迅速処理が原則、つか鉄則だ。だから、だ~れも気づかず本件が確定しちゃうということが起こったわけ。なのに、なぜ発覚した? そこを想像すると、面白いよねぇ。

 

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コメント

 いや~、それは私は知らねっす。
 個人的には利息よりあの風呂敷が欲しっす。

> 納められた罰金は女性に返される。

とありますが、年5分の利息も付けて返すのですよね
あ、商行為だから年6分か

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