検察官上訴の場合の未決通算
私がチェックしてる狭い範囲でいえば、いま東京地裁でいちばん長くやってるのは、リタリンの事件の「医師法違反教唆」かな。私のメモによれば、2008年8月28日が第1回で、ほとんど毎週期日が入り、明後日が16回目…。
次に長いのが、パロマの事件の「業務上過失致死傷」。第1回は2008年12月18日で、今日が12回目かな。
早めに裁判所に着いたので…。
13時20分から東京高裁622号法廷(若原正樹裁判長)で「殺人」の判決。
報道された事件だ。原判決は懲役12年。事実誤認(殺意なし)と量刑不当の主張。
控訴棄却、当審における未決100日算入。
途中で出て非常階段を駆け降り、廊下を北側へ走り、高裁410号法廷(金谷暁裁判長)、13時30分からの「威力業務妨害」の第1回へ。
傍聴席の様子が、いつもと違う? あれ? 被告人(身柄、拘置所)は、腹が据わってる感じの50代…。あっ、左手の小指が2関節、ない。2ちゃんねるでの犯行予告でないことは明らかと思われ…。
弁護人の事実調べ請求を却下し、結審。判決は連休明け。
地下でかけそば大盛り290円を食べ、14時30分から715号法廷の「道路交通法違反」を傍聴に7階へ。
向かいの高裁713号法廷(植村立郎裁判長)で、14時00分から「詐欺」の第1回をやってた。
14時05分か10分頃、覗き窓から覗くと、被告人質問の最中。被告人は女性。ちらっと傍聴しようかな、いや、やめとこ。
14時17分頃、また覗くと、被告人は被告人席へ戻り、裁判長が壇上で…。あっ、直ちに判決なのかも!
あわてて713号法廷に入ると、ちょうど主文が言い渡されるところだった。
控訴棄却、当審における未決40日算入。
報道された事件の、霊園の開発事業への投資を持ちかけたほうが本件被告人(身柄、拘置所)なのだった。
共犯者は懲役2年6月が確定しており、主犯格というべき本件被告人のほうが重い量刑になるのは当然だ、旨裁判長が言ったところで、14時28分、もうダメだ、私は退出…。
向かいの地裁715号法廷(林正彦裁判官)で14時30分から「道路交通法違反」の新件。
被告人は在宅。「Hawaii Surf」の文字がある水色のTシャツ。長めの茶パツ。酒気帯び罰金前科1犯(20万円)ありの、中型貨物(ダンプ)の酒気帯び運転(0.3mg)。
本件後の速度違反とあわせて免許取消処分、残土運搬のダンプ運転手はできず、土木作業の手もととして働かせてもらうことになり、給料は1日1万1000円~1万2000円から7000円へ激減したという。しかし…。
弁護人 「これからも今の会社で仕事を続けていきますか?」
被告人 「(会社に入って)まだ1年ちょっとですけど、仲間から社長から、ファミリー的でものすごい良い会社なんで、ここでずっと仕事していきたいと思います」
おぉ~! そんなことを言う(言える)被告人は滅多にいない。パキパキッと気持ちの良い被告人だった。
求刑は懲役6月。来週判決。15時04分閉廷。
次の予定は15時40分、高裁622号法廷(若原正樹裁判長)で、3月11日に第1回を傍聴したストーカーの判決。
早めに法廷へ行くと…。
15時30分から「殺人未遂」の判決。
これ、かなり大きく報道された川崎市の通り魔事件、だった。開廷前に2分間の撮影があった。法廷画家氏も来てた。
無罪主張のはずなのに、10分間しか取ってない。どゆこと?
主文は、「本件各控訴を棄却する」。当審における未決180日算入。原判決は懲役10年。
「各控訴」って何? と思ったら、双方控訴、弁護人は事実誤認の主張、検察官は量刑不当の主張なのだった。
判決の理由は、10分間で終わるはずもなく、15時頃までかかった。
終わって、主任弁護人が立ち上がった。
弁護人 「ちょっと裁判長、よろしいですか。これは検察上訴の事件ですので、495条の規定ですので、全部算入されるのでは?」
ええっ、原判決破棄のときは法定算入とは聞いてたが、検察上訴の場合もそうなの? はは~、あの弁護人、途中で後ろの席の若い弁護人から六法らしき分厚い本を出させ、読んでいたが、そういうことだったのか!
裁判長 「ちょっとお待ちください」
無表情で立ち上がり、左右陪席とともに奥へ消えた。
以下、刑事訴訟法第495条第2項。太字は今井。
上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。
一 検察官が上訴を申し立てたとき。
二 検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。
私が何度か見てきたのは、第2号だったわけだ。本件は、第1号に該当するわけだ。
15時12分を少し過ぎて、裁判官3人が壇上に戻った。
裁判長 「もう一度、主文を。本件各控訴を棄却する。弁護人の言うこともありますので、法定通算となります。不服があれば…(上訴権告知)…。じゃ下がってよろしい」
早口で言い、あわただしく、再び奥へ消えた。
判決を書いた陪席裁判官は、これから冷たくされるんだろうか。それとも、この程度のことは裁判所にとって、どうってことないんだろうか、最高裁でさえ被告人と検察官を取り違えるわけで。もしも弁護人が、あそこでアレを言わなかったら、どうなってたんだろう…。
ま、珍しい瞬間を傍聴できた。勉強になった。
ちなみに、川崎支部の一審判決は2008年7月14日。その翌日から2週間以内に控訴を申し立て、東京高裁での控訴審第1回は、私のメモによれば2009年1月19日…。それを裁判長は最初「180日算入」としたわけだ。ふぅん、そういう数え方をするんだぁ…。
予定より36分遅れ、15時16分から「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、窃盗、名誉毀損、住居侵入」の判決。
控訴棄却。原判決は懲役1年6月。
数年前にも、他の女性に対するストーカーで警察から警告を受けていたそうで、本件は、まぁ、「甚だ執拗かつ悪質」なことをやったので、前科・前歴なし、賠償金として320万円を供託し、会社代表者の地位を退くなどしたが、1年6月の実刑が重すぎて不当とはいえない…と。
16時25分閉廷。
そういえば今日は団体さんの姿を見かけなかった…。
マニア氏から、10日(金)の「傷害」の被告人質問の様子を聞いた。うわ~、とんでもないことがあったのね! 最初からずっと傍聴してきて、その被告人質問を見逃すとは、もう残念無念。けど、聞かせてくれる人がいて、助かるです~。
裁判員制度の凍結法案作成に着手 超党派議連
裁判員制度に批判的な超党派の国会議員でつくる「裁判員制度を問い直す議員連盟」は13日午後、国会内で会合を開き、5月21日の制度開始までに裁判員法を凍結する法案の国会提出へ向け、法案作成に着手することを決めた。15日の会合で論点を整理する。
代表世話人の亀井久興国民新党幹事長は記者会見で「時間的余裕がないのでまずは制度を凍結して、それから見直しを行うという2段構えで臨む」と強調した。
と4月13日付け共同通信。の一部。キター! そりゃクルでしょぉ。
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