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2009年5月19日 (火)

売春婦の憤激

5月18日(月)

 

 以下、5月15日付け産経ニュースの冒頭部分。太字は今井。

【どうする、どうなる裁判員制度】(1)ライター 北尾トロさん 国民参加で「流れ」は変わる
 一歩踏み出す値打ちはある制度、と思っています。運用やルールなど完璧(かんぺき)ではないけれど、これだけ時間とお金と人材を使って準備してきて、そんなにデタラメではないだろうと。

 「これだけ時間とお金と人材を使って準備してきて、そんなにデタラメではないだろう」って、そんなデタラメな論法はない(笑)。つか、その論法は“行政性善説”に基づくというほかなく、そんな人が裁判に参加するほど危険なことはない。
 これは、北尾さんが、いつものようにニコニコと、ある種の冗談か皮肉で言ったんじゃないか、と想像される。

 

 しかし 産経ニュースは、冗談や皮肉のニュアンスなしで、記事の冒頭に持ってきてる。仮に仮に北尾さんが若干本気で言っていたとしても、伏せることなく、あえて冒頭に持ってきてる。そのこと自体が、非常に面白いと私は思うわけ。

 

 じつは産経新聞は、2月28日にも、東京地裁で行われた模擬裁判――同じシチュエーションで全国で既に36回行われており、有罪20件、無罪16件――を報じるに当たり、裁判員役だった2人の女性のコメントを、こう紹介している。

 終了後、裁判員役の主婦は「夫を亡くした被害者の立場に身を置いて考えた。スッキリした」と満足げに話した。一方、別の女性は「ずっと無罪だと考え、無罪に手を挙げようと思ったが、周囲の雰囲気に流され、有罪にした」と話した。  

 あっちゃ~ 被害者は普通、逮捕・起訴した警察・検察の話を信じ込んでる。「否認する被告人は厳罰に!」という立場のはず。情状ではなく事実を争う事件で、被害者の立場に身を置いたとは、バリバリ先入観に満ちた事実認定をしたと激白してるに等しい
 裁判官3人が有罪なら、裁判員6人のうち2人を「流され」るムードへ誘導すれば、簡単に有罪にできるところ、やる気または好奇心があって進んで裁判員役になった人でさえ「周囲の雰囲気に流され」るんじゃ、嫌々出てくる裁判員は… 
 なんでわざわざ、よりによってこんなコメントを載せたのか。でしょ?

 

 やっぱ、いろいろ事情があって――ここはやっぱり『官僚とメディア』第8章「最高裁が手を染めた『27億円の癒着』」参照――会社としては裁判員制度推進の姿勢を崩せないけど、あまりにデタラメな制度ゆえ、ちくりちくりと刺してやれ…そういうことなんじゃないか。
 だから、上掲の産経ニュースの記事も、その線上にあるのかな、非常に面白い、と私は言うわけ。深読みしすぎ?

 

 さて…。

 10時40分から東京地裁533号法廷(神田大助裁判官)で、3月2日に第1回を、4月14日に第2回を傍聴した、「道路交通法違反、業務上過失傷害、犯人隠避教唆」と「犯人隠避教唆」(被告人は2人)の判決。
 前者は懲役2年、後者は懲役10月、いずれも執行猶予4年。

 

 やはり、事故の身代わりになった者が罰金を払わず、労役場留置が身近に迫ったことから、発覚したんだそうだ。
 後者は、酒気帯び運転(&事故?)で現在執行猶予中だが、猶予判決を受けたのは本件犯行後であり、本件は確定前の余罪に当たるので、と裁判官。そっか~。
 10時57分閉廷。

 

 11時から地裁714号法廷(福崎伸一郎裁判官)で、女性氏名の被告人の「傷害(&暴行)」の新件。
 714号は20席。もう入れないかと思ったが、まだ半分以上空いていた。
 ただ、11時ちょうどに入ったらもう「傷害」の起訴状朗読が終わるところだった。
 すぐに「暴行」の追起訴状の朗読。
 被告人(身柄)は何歳か、人定質問を聞きのがしたので不明。かなり小柄で、ちょい太めの女性だった。前科なし。売春などで前歴4回。
 要するに、インターネットカフェで泊まりつつ、新宿歌舞伎町で売春婦(立ちんぼ?)をしていたところ、新たに同業を始めた被害女性との間で、互いに暴言を言い合うなど反目するようになり、今年3月、地球会館前の路上において、被害女性から「ブス」「バカ」と言われて憤激し、つかみ合いになり、自分の腕を掴んだ被害女性の拇指付近を、バッグから取り出したカミソリで切った…。5月に、都下のドンキホーテの店内でカップルとトラブルになり、カップルの男性の腹を2回蹴った…。

 「傷害」のほうは素直に認めるが、「暴行」のほうは蹴ったのは1回なんでそこは認められません、と被告人。

 

 私なんかは、大事なのは刃物を用いた「傷害」のほうであり、「暴行」は蹴ったのが1回でも2回でも判決には影響しないだろう、否認したって、「2回蹴った」で書類が出来上がってる以上、どうせ結果的には2回と認定されるだろうし、時間のムダだと――それは良くない考えと思いつつ――思うのだが、弁護人は、書証のうち「2回蹴った」となってる部分をぜんぶ不同意とした。それも、何行目のどこからどこまで、という特定ではなく、「2回蹴った」とある部分を不同意、という言い方で。
 だもんだから、次回、そのカップルを証人尋問することになった。
 でもって、最初裁判官は5月26日を提案し、6月1日、6月2日、6月8日、6月11日を提案したが、弁護人も検察官も次々差し支えを言い…。
 検察官がなぜそんなに差し支えなのか。主任検察官は初めて見るタイプの新人(だろうと思う)で、指導・補佐役の相検察官(そんな言い方しない?)が自分の事件の期日等があり差し支え…だったのかな。

 

 なんにしても、弁護人と検察官とが差し支え、差し支えで、被告人は(最初の提案から)2週間もよけいに勾留されることになってしまったわけだ。
 実刑なら、その分は未決算入となるんだろうけど、被告人は前科なし、執行猶予の可能性は低くないはず。
 執行猶予の場合は、未決勾留日数のうち14日を1日金5000円に換算し、被告人に支給する、ちぅのはどうでしょう。7万円は多すぎる?
 11時33分閉廷。

 

 いちおう12時までの予定だったその「傷害」が11時33分に終わった時点で、よしっ、今日はもう帰ってしまえっ と決めた。
 13時30分からの「常習累犯窃盗(変更後の訴因:特殊累犯窃盗)」(だっけ?)の審理は、そんなに傍聴したいわけじゃなく、今日傍聴したいのは、14時30分からの「公務執行妨害、器物損壊」と、16時からの「強要」だが、13時30分まででも2時間弱、空いてしまう。もったいない、ここはひとつスパッと帰り、やることをやろう、と。
 よくお会いする素敵なご婦人と素敵な殿方に、もし可能なら16時からの「強要」を傍聴してくれちゃったりなんかするとうれしいなぁと、未練たらしく暗に強要し、食事もせずに帰る。だぁって、ここで食事したら、ずるずる居続けることになりかねないから。

 

 帰宅し、着替えて布団を干し、有酸素散歩約1時間。例の立ち食いそば屋でかけそば大盛り320円を食べ、公園へ。陽を浴びながら、カミュの『異邦人』を、レエモンがアラビア人に切られて治療を受けたところまで読み、ベンチで仮眠。

 

 帰り際、フェンスの高いところに挟まってしまったボールを、推定5~6歳の男児らが取ろうとして取れないふうだった。が、私は素通り。寝起きの体であそこまで登れる自信がなかったし、何より、『異邦人』の影響で気怠い気分になっていたのだ…。

 

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