車の持ち主の管理責任とは
ちょっとね、こういうことをメモしとこう。
2005年3月22日警察庁発出の通達「道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行等に伴う交通警察の運営について」の、その第1の1の(1)に、こんな部分がある。太字は今井。
このような現状に照らせば、現行法による運転者の責任追及制度が機能しないと認められる場合に講じることのできる新たな違法駐車抑止のための制度の導入が必要不可欠である。そこで、車両の使用により大きな社会的便益を得、かつ、車両の包括的運行支配権を有することに着目して使用者に課されている運行管理義務を強化して、駐車に関する車両の適正使用を徹底させることとするとともに、運転者が車両を離れており取締り現場で運転者を特定することができないという特性を有する放置駐車違反について、車両の使用者に対して、放置違反金の納付を命ずることができることとする新たな制度の導入が考えられたものである。
道路交通法第74条第2項は、こう定めてる。
車両の使用者は、当該車両の運転者に、当該車両を運転するに当たつて車両の速度、駐車及び積載並びに運転者の心身の状態に関しこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項を遵守させるように努めなければならない。
これは努力義務。罰則はない。
第74条の2には、こうもある。
車両の使用者は、当該車両を適正に駐車する場所を確保することその他駐車に関しての車両の適正な使用のために必要な措置を講じなければならない。
こっちは、「努力義務より強い義務を課したものであるが、罰則の規定はない」(『執務資料道路交通法解説 14訂版』)
こうしたことを背景に、車の持ち主に対し放置違反金の納付命令を行うわけだ。
したがって、「遵守させるように努め」たと認められる事実があったか、ということが大事になってくるはず。
警察側は、「努めた=法駐車は起こらない」であるんだから、「違法駐車があった=努めなかった」なのだよ、と言いたがるだろう。
しかし、そんな論法を裁判所は認めるのかな。「努めた」としても、車の持ち主が予想し得なかった事態も起こり得るんじゃないか。たとえば、こんなの…。
「交通ルールを守るよう常々厳しく(自分に?)言い、実際、長きにわたって本件車両による事故や違反はなかった。が、今回、運転者が突発的な強い便意に襲われ、もはや耐えること困難となったとき、路上駐車による危険、迷惑、悪質性がないか、またはあっても極めて低い場所に、幸運にもトイレ(のあるコンビニ等)を見出した。そこで、路上駐車して用を足し、数分で車両に戻ったものである。車両の持ち主が運行管理義務を怠ったとは到底いえず、したがって本件納付命令は…」
その旨の弁明書、異議申立書、訴状には、証拠として排泄物全量を添えるのが望ましい…かな? もちろん、然るべき容器等に密封して。
ま、警察側は当然、「本件トイレ使用時における運転者本人の排泄物であるとの立証がない」と抵抗するだろう。
だから、排泄時にはコンビニの店員とか通行人とかに立ち会ってもらい、証人となってもらう必要が…ってそんなの変態じみてて別の犯罪に該当しそうだし、だいいち、そんなお願い・説得に費やす時間的余裕はないはず。
うぅむ、そしたら、法廷で排泄物の封を開き、前夜あたりから食べたものの残滓が含まれてないか、みんなで探し、書記官に写真撮影してもらう…それがベストかな?
傍聴人は「ひぃ~っ!」と逃げだし、この証拠調べ期日は、司法の歴史に長く刻まれるであろう。
「交通違反バカ一代(いちだい)」は、そんなことばっか考えてるのかって? ちっ、違うよぅっ、おっ、おまわりさんが…。 ←人のせいにしちゃいけません。
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近所の奥さんによると、後ろに子どもを乗せて急坂をすいすい登れるという。
これ買って、裁判所へ通う? ロッカーとシャワールームがあればねぇ。
てゆっか、往路で疲れ、傍聴席で爆睡しそう。
ついに開幕しましたっ 全日本傍聴居眠王決定戦~っ
秘技、北斗新件・瞬間睡殺、受けてみよっ
なんの、こちらは奥技イビキ退廷っ
アタタタタターッ お前はもう眠っている
ひでぶ…ぶぅ。
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コメント
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しなさん、ようこそ。
駐禁取締りについては、『ドライバー』の私の連載などで度々言及してるように、これは完全にカネ集めの手段なのです。
警察は「そのつもりはない」と言うでしょうが、それは、ダガーナイフで心臓付近を何度も深々突き刺した者が「殺意はなかった」と言うようなもので、認められるもんじゃありません。しかし…という状況なわけです。
それに対し、どうせダメでも、弁明の手続きを利用したのは良かったですね。統計に残りますから。
秋葉原の職質については、例の事件もあったので、ノルマを課されてるんだろうと思います。
個々の警察官の心境については、ノルマとか駐禁取締りの妥当性をいちいち疑問に思うようでは警察組織に居ることはできず、ストレスを感じたり、さまざまな心理機制(要するに本心のごまかし)で乗り越えたりしてるんでしょう。
そういうことが警察官の心を蝕んで(むしばんで)いくのだ、と指摘する方もいます。残念なことです。
もちろん、個々の国民からは不当に思えても、社会全体にとてはやむを得ないとか、そういうこともあるんだろうとは思います。
投稿: 今井亮一 | 2009年7月19日 (日) 01時14分
私も、綾瀬署近くの100円ローソンに行くために、一本裏の道に停めておいたら、ステッカー貼られてました。時刻が午前一時半だったし、本当に車も通らないので、油断してました。弁明書は出しましたが、認められるわけもなく、異議申し立ても同じ駐車対策課経由(そう指定してある)では望みなしなので、結局出しませんでした。もうすぐ車検が来てしまうので、仕方なく、納付するつもりです。

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この標識が有るところは、うちの縄張りなんだという(暴)みたいなやりくちですね。
ちなみに、当日は綾瀬署に行きましたが、駐車違反の当人か、使用者か自分で選べましたよ。もう取りっぱぐれはないと思って、余裕なんですかね
同じ日の午後8時頃、秋葉原のブックオフの前に停めて出てきたら、パトカーに前を塞がれて、職質と身体検査までされました。確かに地方ナンバーだけど軽なんですけど
どっちもやり過ぎだと思うんですが、やってる警察官は疑問に思わないんですかね?
投稿: しな | 2009年7月14日 (火) 20時07分