後続車があなたにしてほしかったこと
<裁判員制度>さいたま地裁8月10日初公判…「第2号」に
殺人未遂事件の裁判を巡る第1回公判前整理手続きが12日、さいたま地裁であり、初公判を8月10日に開き3~4日間連続で審理して8月12~13日に判決を言い渡す日程が内定した。東京地裁の8月3日に続く裁判員裁判「第2号」になる見込み。
弁護人によると、検察側証人が誰になるかで審理に必要な日数が変わるため、地裁は「お盆休みに近くなれば裁判員確保が困難になることが予想される。4日間必要なら期日が遅くなる可能性もある」と説明したという。次回の公判前整理手続きで確定する予定。
と6月12日付け毎日新聞、の一部。
5月5日逮捕と報じられた事件、かと思われる。
日程が決まったら、さいたま地裁は「くじ」を行い、ま、50~100人、それくらいの「裁判員候補者」(昨年12月の頭に「裁判員候補者名簿記載通知」を受け取った人)に対し、第1回公判の6週間前までに、「裁判員等選任手続期日のお知らせ」(裁判員法第27条による「呼出状」)と「質問票」を特別送達で郵送する。
8月10日の朝、さいたま地裁に出頭させられる人は、裁判員または補充裁判員に選ばれるかどうか分からないまま、10日、11日、12日、もしかしたら13日、合計3~4日のスケジュールを完全に空けて、出頭しなければならない。
選ばれた人は、午後から裁判員裁判の法壇にのぼり、選ばれなかった人は、帰るなり何なり好きにしていいよ、となる。空けたスケジュールはムダになる。
8月10日からの3~4日間をまるまる空けられるのは、どんな人なのか…。
6月12日(金)
今日は10時から東京地裁711号法廷で「ストーカー行為等の規制等に関する法律違反、住居侵入」の新件があった。
しかし、今日は地裁の開廷がガクンと少ない。そのうえ711号は狭い法廷。傍聴席がどんなことになるか、火を見るより明らか。
今日は、こう言っちゃ何だが“簡裁祭り”だ。盗犯関係以外の裁判が5件もある。午前は10時40分から「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」の、11時20分から「暴行」の、それぞれ新件。
だが、朝から夕方まで目一杯はきつい。
いつもより多めに寝たとはいえ、5時間だし…。
えぇい、午前はパスだ! 昼まで寝よう!
健康が一番。健康と執行猶予は、取り消されてから後悔しても遅いのだ。
仮眠するヒマのないまま、13時17分、東京簡裁826号法廷(虎井寧夫裁判官)へ行くと、傍聴席はすでに10席ほど埋まってた。普段はあり得ない。地裁の開廷がガクンと少ないのだな。
13時20分から「窃盗」の判決。
窃盗の1年4月と、それにより執行猶予を取り消された窃盗の1年6月の服役を、3月16日に終え、板橋へ戻る途中、所持金を失い、生活保護を申請して施設(?)に入り、しかしそこの生活に我慢できず飛び出し、空腹に耐えかねて4月16日、セブンイレブンで菓子パン2個を万引き…。
懲役1年6月、未決10日算入。被告人(身柄、拘置所。だいぶ年配。多くの被告人が着てる例のジャージ)は、なぜか震えてた。
そして13時30分から、この法廷で今日2件目の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」の新件。
簡裁の迷惑防止条例違反はこれまで6件傍聴した。ピンクびら貼りが2件、客引きが2件、スカート内盗撮が1件、痴漢の否認が1件(これは地裁へ移送後、本人取下げ)。
今日のは錦糸町でのフィリピン・ロシアンパブの客引きだった。「60分のところ30分サービス。90分飲み放題5000円でどうでしょう」などと声をかけた2人組が警察官で、店内へ誘い入れたところを現行犯逮捕されたんだという。
被告人(身柄、拘置所。53歳)は、土木のアルバイトが少なくなり、複数の店舗の客引きをし、1人につき1000円~2500円をもらい、カプセルホテルに泊まって生きてたんだという。
私なんぞは、ああいう社交飲食店街を客引きと話しつつぶらぶら歩くのが好きだ。度を超えて強引だとかしつこいとかでない限り、べつにいいじゃん。泊まり賃、食事代、220ミリのペット焼酎とか買うための、少しのカネを稼げる方途を、法律で断ち切る社会ってどうなの。
こういうのは、地元の任侠の親分がきちんと仕切ればいいんであって、警察や裁判所が出てくるべき話じゃないと思う…。
求刑は罰金30万円。次回判決。13時51分閉廷。
次は14時30分から。いったん法廷のドアを施錠することになった。エレベータに乗り、野暮用を済ませてくるか…。
いや! 今日はダメだ。早々と傍聴人が押し寄せる可能性が高い。法廷の前で、または法廷を見張れる場所で、待機せねば!
ということで、法廷の前の一般待合室で、毒人参。さんたちと雑談。
14時20分頃、続々と傍聴人が集まってきた。被告人が来て、小さなカメラで撮影した。この被告人は、なんつーか、nobody stop him だ。
14時25分、ようやく826号法廷のドアの施錠が解かれ、中へ。
ぎょっ! 裁判所(?)の職員が5人、背広姿で硬い表情で傍聴席にいた。“被告人対策”なんだな?
14時30分から「傷害」の判決。
1月16日に第1回(認否に30分くらいかかった)を、2月4日に第2回(被害者証人尋問)を、3月4日に第3回(目撃者証人尋問)を傍聴し、4月10日の第4回(被告人質問)は私は弁護士会館の懲戒事件へ行って傍聴できず、5月22日の第5回(論告・弁論)を、時間を間違えて19分遅れて傍聴した、いやはやなんともな事件なのだ。
今日の判決は、開廷表では14時30分~16時となってた。いくら通訳付きとはいえ、そんなにはかからんでしょ。15時頃には終わるでしょ。15時から別の法廷でオービス事件の被告人質問があるんで、終わってもらわないと困る…。
だが、終わったのは15時33分頃だった。1時間以上かかった。
はは~、虎井裁判官は、被告人も降参せざるを得ない完璧な判決理由を書いたんだな…と思いつつ私はだいぶ居眠りしてしまった。
だぁって、聴き取れてわかる単語があんまりない長い英語は、子守歌のようで…。それでは歌っていただきましょう、「傍聴ララバイ」。 寝た傍聴人の可愛さ、起きて争う被告人の、ねんころろん、つらにくさ…(中国地方の子守歌より)。ご、ごめんなさぃ~。
判決の主文は、罰金20万円。訴訟費用中、通訳人に支給した分を除くほかは全部被告人の負担とする。
終わると、被告人が立って何か演説? し始めるなか、傍聴人は先に出された。通訳人は、アイハフトゥゴーと出た。
間もなく被告人も法廷を出て、ファッキンジョブス、ファッキンジョブスと言いながら、大廊下へと歩いていった。控訴するんだろうか。
急ぎ簡裁534号法廷(木田正彦裁判官)へ。5月15日に第1回を傍聴した「道路交通法違反」(オービス56キロ超過)の第2回公判。
15時38分頃に入ると、検察官からの被告人質問をやってるところだった。
傍聴人は4人しかいなかった。4人だって、普段に比べれば多い。
被告人の主張は要するに、後続車から異様なあおりを受け、怖くてスピードを出した、というもの(「オービス裁判の基本パターン」のうち3番目)なのだが、裁判官が本質をズバリ突く質問をした。
裁判官 「後続車はあなたにどうしてほしいと?」
そう、そこですよ!
後続車は、被告人車両を執拗にあおり、被告人がオービスに撮影された時点では、いつの間にかずっと後方にいたという。後続車の運転者は被告人に、間抜けにもオービスに捕まってほしかった…そう考えると、被告人の供述は全部ばっちり肯ける。
後続車 「やった! オービスが光った! バッカでぇ~ぃ、ざまぁみろ、わはは。これで10台目だな、飲みに行こうぜ」
同乗者 「俺の友だちは20台、光らせたって言ってたぞ」
ま、そんな感じだったんじゃないの?
しかし、そういう可能性を被告人はまったく考えてないようだった。
16時17分閉廷。
いくつか用事を済ませ、17時頃に裁判所を出た。
今日は2人の方から声をかけられた。どこかで見知ってる人なのだが、どうも思い出せない。警察官? 弁護士? あとでだんだんとわかってきた。1人は検察官、1人は高裁の裁判官じゃないかな。もう、たぶん、間違いないと思う。
いつも、検察官席、裁判官席で各役割を果たしているところ、しか見てないと、廊下やエレベータでお会いしても、ピンとこないんだょね。
とくに、たとえば簡裁の裁判官だと、どういうわけだか近頃私は虎井寧夫裁判官と江波戸直行裁判官の裁判ばっかり見てて、他の4人の裁判官の裁判は少ししか見てない、という偏りがなぜかあって、それで近頃見てないな~という人は、法廷外でお会いしても、あれ? えぇっと…あれ? ということになるのだ。
いやぁ、申し訳ないことをしてしまった。そのうちまたお会いするだろうから、そのとき謝罪するとしよう。そんな先送りばかりが積み上げられて…。
それでは歌っていただきましょう、「傍聴挽歌」。 内縁の妻が泣くから傍聴人が来ると、赤い筒袖(つっぽ)のやん衆が騒ぐ。雪に埋もれた書記官室の隅で、わたしゃ夜通し、記録読む。あれからあの被告人は、どこへ行ったやら。懲役岬の裁判員御殿は、今じゃ寂れてオンボロロ、オンボロボロロー。沖を通るは護送車列。わたしゃ涙で、執行猶予の夢をみる…。
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