やっぱり刑務所には入りたくない
8月24日(月)
10時から東京地裁719号法廷(太田寅彦裁判官)で「自動車運転過失傷害」の新件。
電車を1本ミスって10時02分に法廷に入ると、検察官の冒頭陳述が終わるところだった。被告人(在宅)は弁護人の隣に座っていた。
人定質問と起訴状朗読と冒陳の大部分を聞き逃したんでは、ここはもう出て、10:15~10:30の722号法廷の自過傷の判決へ行こうか…。
しかし、まだ夏休み。いったん出たら二度と座れないかも。いや、今日は開廷が多い。今この719号法廷は私のほかに、修習生らしき2人と被告人の妻らしき女性のみ。大丈夫じゃないか。いやいや、団体がどっときたら20席などあっという間に埋まってしまう。などとずるずる719号に居続けることに。
甲乙書証の要旨告知から結審までに分かったことは…。
ゆるい右カーブが終わって直線になる辺りから、被告人は赤と白の煙突をぼーっと見て、ハンドルを戻さず時速40~45キロで対向車線に進出、自転車の被害者(結婚して子どもあり。まだ若いらしい)に衝突。無意識のうちに急ブレーキを踏んで停止したものの、当初は何が起こったかわからず、外の人声で我に返り、ドアが開かないため、割れたフロントガラスのところから外へ出て、そこで初めて人をハネたことに気づいたんだという。被害者は18.7mも飛ばされていたという。前頭部等骨折、顔面挫傷等で加療270日(?)。まだまだリハビリは続くらしい。なんてこった!
被告人 「自分、今まで運転には自信もってたんですが、加齢による事故、人ごとのように思ってたんですが、それが自分に出たように思います」
もう免許証(免許停止90日は既に満了)は返納し、二度と運転しないという。背の高い、マジメ一筋の職人と見えた。年齢は70代だろうか。
法的には被害者に落ち度のない、死亡ぎりぎりの重傷事故…被告人は善良な生活者で前科がなく、対人無制限の保険で治療費等の支払いが見込め、求刑は禁錮1年2月…同じパターンをつい最近も傍聴したな、と。
終わる頃、傍聴席に男が1人きた。大きな音を立ててドアを閉め、重そうな鞄を音をたてて置き、思いっきり大きな音でチャックを開け閉めし、いちいち大きな音をたてて書類を出した。何だ? とふり返ったら、男もギロッと私を見返した。どこかで見覚えのある顔。次の「郵便法違反」の弁護人だった。
続いて11時から「郵便法違反」の第2回。
第1回はぎっしり満席だったが今日は、さっきから居る修習生らしき男2人と、見かけないご婦人1人のみ。
今日は追起訴から結審まで。
郵便差入箱(いわゆるポスト)に火のついた紙片を放り込んだ(そこまでが前回)のち、中央線荻窪駅の北東側の、飲食店等が密集した辺りで、ライターでチラシに火をつけ不燃ゴミのポリバケツを焼損させた…。
検察側書証の要旨告知の前に裁判官が、壇上でしばし書類を見て、言った。室外機のホースが焼損した損害額は、直接の訴因とは関係ない、金額まで入れると余罪にならないか、撤回しないか、と。
しかし検察官は、余罪と取られかねないけれども情状についてであり撤回はしない、と頑張った。
そこで、甲18号と甲26号証の採用をとりあえず留保して、甲13~17、甲19~25、26号証、乙6、7号証の要旨告知。
これ、裁判官は弁護人の意見を求めたっけ? 私の聞き落としかな。
そして、
裁判官 「先ほどの甲18、26号証ですが、甲15号証あたりを見ると(犯行の危険性についての)様子がわかりますんで、裁判所としては必要ないかなと」
検察官 「いや、撤回はしません!」
裁判官 「じゃあ、18と26は必要ないと、却下したいと思います」
必要最小限の証拠で有罪を整える、それが美しい裁判だ、みたいなやりとりを時々見かける。検察官がここまで抵抗するのは稀(まれ)だ。
裁判官 「弁護人のほうはどうされます?」
弁護人 「書証を1点、反省文と、被告人質問を…」
刑務所へ入りたくてあちこち火をつけたのが、当時は自暴自棄になっていた、やっぱり刑務所へは行きたくない、と被告人は言うのだった。
求刑は懲役1年6月…だっけ。11時52分閉廷。
今日はこれでオシマイ。
霞が関を離れ、自宅近くの立ち食いでかけそば大盛り320円。公園のベンチで、夏の雲と、その下における小学校低学年5人の野球を見つつ、40分ほど仮眠。
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