フォト
2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ

« 弁護人が無能ゆえに有罪はアリか | トップページ | 富山の強姦・強姦未遂冤罪、柳原浩さんの本が出た! »

2009年8月13日 (木)

駐禁取締りは収益事業

 自力HPは、容量をオーバーしたらしく不具合が生じて、いくつか重いページを削除する、ということを経験しており、なので、外へ出せるものはなるべく出すことに。
 この記事のURLは、自力HPの「参考記事」に置く。
 以下、『ドライバー』の長期連載「覆面パトは二度サイレンを鳴らす」の2009年6-20号に若干加筆訂正等したもの。
※ このように過去記事を私のサイトにアップすることは、編集部の許可を得ている。

         book    book    book

 『となりの駐車監視員』(太田出版)、おもしろい本が出たねぇ。「確認標章(駐禁ステッカー)の取り付け件数は6千件を超える」という駐車監視員による「2年9ヶ月にわたる勤務の総決算」だそうだ。
 これ、いわゆる“告発本”とはちがう。誇りをもって標章の取り付けを行う監視員の喜怒哀楽、苦闘の日々をレポートした本だ。私からすれば「ちょっと待てよ」と言いたい部分もあるが、そういうのを超えて非常におもしろい。
 同書によると、監視員は運転者や通行人から憎まれ、罵声を浴びせられ、ときに暴行・傷害を受けることもあるという。
 私は残念に思う。監視員が悪いわけじゃない。というか、これはもう良い悪いの問題じゃないのだ。
 じゃあ、なんなのか。まずは、最近ゲットしてきたデータを見てくださいな。うふふ。

 民間委託、つまり監視員に駐禁取り締まり(ステッカーの取り付け)をやらせることは2006年6月1日から全国でスタートした。取り締まりが最も多いのは、なんといっても東京だ。東京だけで全国の約3割を占めちゃってる。
 東京の民間委託は、06年度は43警察署の管内で始まった。その後どんどん拡大され、07年度は52署08年度は23区内の全署77署)、09年度は武蔵野市や八王子市など都内全域へと拡がった(島部は除く)。
 委託契約費の推移はこうだ。

  06年度   約23億3374万円
  07年度   約30億4931万円
  08年度   約41億6656万円
  09年度  約103億0717万円

 げえっ、突然100億を超えたよ!?
 いや、じつはこの約103億円は、契約期間が1年間のもの(もっぱら新たに拡大された市部)が17契約と、期間が3年間のもの(もっぱら都心部)が15契約とから成っている。
 3年契約の合計は約84億円。3で割ると約28億円。これに1年契約の約19億円を足すと約47億円。だから、こう考えるのが正しい。

  09年度   約47億2222万円

 東京都の支出はそれだけじゃない。ステッカーを取り付けたあと、運転者が警察に出頭しない場合(って8割くらいは出頭しないんだけど)、車の持ち主から「放置違反金」(以下違反金)を徴収することになっている。
 その違反金に関する「事務の全部または一部を会社その他の法人に委託することができる」(道路交通法第51条の15)。こっちの民間委託は、通知書等の発送やデータ入力など3つの契約に分かれている。いずれも単価契約で、単価に予定数量を掛けた推定総金額の合計は、たとえば08年度は約2億1180万円。
 また、監視員が持つ携帯端末、デジカメ、携帯プリンターはリース契約になっており、08年度は約8118万円だ。ほか、ステッカーの購入費などいろいろある。

 この不景気に、何十億円もの支出を抱えて東京都は泣いてる? とんでもない! 違反金はぜんぶ都の収入になり、都の一般会計予算書の「諸収入」の欄に、違反金がしっかり計上されてるんだね。その金額はこうだ。

  06年度     72億5760万円
  07年度   約61億0933万円
  08年度   約73億9764万円
  09年度   約89億9968万円

 支出より断然多い。
 もちろん、予算どおりに違反金が集まるとは限らない。06年度なんか「収入未済額」が約7億円もあり、実際の「収入額」は約47億円にすぎなかった。しかしそれでも赤字ではなかったはずだ。

 ここで、「ちょっと待てよ!」という方がおいでだろう。
「民間委託で駐車違反は一掃されるはずじゃなかったのか。だいいち、違反は本来あってはならないもの。そんな違反から生じるカネを予算に計上するって、あり?」
 その考えは、健全なように見えてじつは誤っている。民間委託のスタートは06年だが、国会で法律ができたのは04年。前年の12月に東京新聞がこう報じているのだ。
小泉純一郎首相が指示した国から地方への補助金1兆円の削減を実現するため、駐車違反の反則金(年300億円程度)を国から地方に移管し、2004年度の補助金削減実績に算入することが6日分かった……制度として反則金が地方自治体の財源となるのは06年度からの見通しだ」

 「反則金」は国庫に入ると法律で決まっているので「放置違反金」という新しい名称が登場したわけ。
 名称はともかく、駐車違反のペナルティは“小泉改革”によって地方に与えられた「財源」なのだ。
 地方は、国からの補助金を削減されたぶん、違反金をじゃんじゃん稼がないといけない。民間委託の経費のぶんだけペイすればいいってもんじゃないのである。

 だぁかぁら! 06年6月以降、やむを得ない事情によるほんの数分の、迷惑性などない駐車でも、かまわず取り締まるようになったのだ。駐禁取り締まりは純粋に地方の“収益事業”。交通の安全・円滑の観点から良い悪いを言うのは、およそ見当違いなのだ。
 違反を一掃しちゃったら、安定的な収益が見込めない。そこに配意してか、契約書には1日に活動するユニット(原則として監視員2人で1ユニット)数の上限がしっかり設けられてもいる。
 “末端の兵隊”にすぎない監視員をいくら恨んでも罵倒しても、なんにもならないのね。

※ こういう“小泉改革”の仕上げとして裁判員制度があるのだ。

 ところで、「反則金」(車の持ち主ではなく違反者が払うペナルティ)のほうはどうなったか。
 取り締まりを受けても8割くらいが出頭せず、持ち主の立場で違反金ですますってことは、そのぶん反則金の納付額が激減するってことだ。前出の報道だと駐禁の反則金は全国で「年300億円程度」。その8割なら240億円くらい減る?
 財務省のホームページの深いところに「交通反則者納金」というのがある。駐禁も含む交通違反の反則金の総納付額だ。その「予定額」の推移は次のとおり。

  04年度 約798億4037万円
  05年度 約792億6564万円
  06年度 約799億0999万円
  07年度 約775億9553万円
  08年度 約770億0750万円
  09年度 約776億2212万円

 減ってはいるが、20数億円程度でしかない。
 民間委託がスタートしたとき、こう言われたのをご記憶か。
「治安が悪化している。限りある警察力を重大犯罪の捜査へ向けるため、民間委託を導入します」
 なんのこたぁない、駐禁取り締まりを民間委託して浮いた警察力を、駐禁以外の取り締まり(つまり反則金稼ぎ)へ向ける腹だったんだねぇ。不景気とは無縁の世界。あぁ、うらやましい。ってそんなオチでいいのか?

※ 実際には、08年度までのデータでいうと、駐禁取り締まりは約2倍に増え、その約半分を警察官がやっているし、駐車監視員が取り締まったあとの処理は警察がやるので、駐禁取り締まりに関して警察力が浮いたとはいえない。だから、「交通」部門の警察官がかえって増員される、ということになるのだろう。

人気ブログランキングへ 8月13日10時40分現在oneeight位~happy02

« 弁護人が無能ゆえに有罪はアリか | トップページ | 富山の強姦・強姦未遂冤罪、柳原浩さんの本が出た! »

駐車違反/2009年度以降」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。