白バイ測定値デッチ上げ、なぜバレたのか
裁判所から戻ってパソコンの前に座ると、当ブログの13時~16時台のアクセスカウンタがどかんと伸びてた。なんだ、何が起こったんだ
もしや、裁判所で阿曽山大噴火さんから聞いたアレか?
「白バイ」でニュースを検索してみると、ソレがあった。
以下、9月2日付け毎日新聞。
<交通違反>白バイ隊員が超過速度水増しして切符作成
超過速度を水増しした交通違反切符を作成したとして、警視庁は2日、第10方面交通機動隊白バイ隊員の男性巡査部長(38)を虚偽有印公文書作成・同行使などの容疑で東京地検に書類送検したと発表した。同日、停職6カ月の懲戒処分にし、巡査部長は辞職した。
送検容疑は、5月10日午後1時ごろ、東京都板橋区の路上で、40キロの制限速度を超えて走行するオートバイを見つけ追跡。測定された超過速度は二十数キロだったのに、三十数キロとする違反切符を作成したとしている。巡査部長は「測定値よりスピードを出していたので実態に近い取り締まりが必要と思った」と供述しているという。
巡査部長はオートバイを運転していた30代の男性を制止させた後、「違反現場をみてくる」と、その場に待たせたまま、周辺を七十数キロのスピードで走った。その際車両の速度を測定する機器を作動させ、男性が七十数キロを出していたかのように測定値を記録。男性に示して違反切符を作成した。
男性は制止された際、白バイの測定器にデジタル表示された最初の数値をたまたま見て覚えており、警視庁に相談。警視庁が巡査部長から事情を聴いたところ不正を認めたという。
警視庁は男性に交付された違反切符を無効とし、警告に変更したが、巡査部長については虚偽の測定をするため速度違反したとして道交法違反(速度超過)容疑でも書類送検した。中村格警務部参事官は「取り締まりの規範を逸脱した行為。再発防止に努める」とコメントした。
この関係で、当ブログへのアクセスがどかんと増えたんだろう、たぶん。
追尾式の速度取締りは、『改訂新版 なんでこれが交通違反なの!?』で詳述したとおり、その測定値は、測定するというより、現実には“つくる”のであるといえる。
そういう現実を前提に、以下ちょっと考えてみる。
被疑車両がほんとは30数キロの違反(非反則行為)をしていたとしても、20数キロの違反(反則行為)で取り締まるのは、べつにおかしくないし、また珍しくもない。
反則行為でキップを切って、次の獲物を狙いに行けばいいのに、なぜそんなつまらないことをしたのか。
「実態に近い取り締まりが必要」と思うようなきちっとした警察官なら、そんなデッチ上げをやるはずがない…。
反則行為と非反則行為とでは、警察官の成績(点数)が違う。非反則行為のほうが点数が高い。
また、その巡査部長は、いつも反則行為ばかり取り締まっており、上司から「お前は雑魚ばっかり取りやがって。赤(赤キップ。つまり非反則行為)も取らないと××だぞ」などと言われて焦っていたのかもしれない。
それで、たとえば、必要事項を記入し終えてない違反キップ(の事件原票の供述欄)に署名させるなどして、とにかく「こいつはチョロいやつだ。どうにでもなるナ」とナメ、ここでイッパツ赤を取っておこう、しめしめと、日々の“つくり”に麻痺した感覚で、そんなことをしたのか。
わかんないけど、もうしそうであるなら、いや、そうでなくても、なぜバレたのか。
「男性は制止された際、白バイの測定器にデジタル表示された最初の数値をたまたま見て覚えており」って、そんなことは理由にならない。
「被疑者の見間違えだ。あるいは、刑責を逃れようと虚偽の弁解を弄しているのだ。デジタル表示は最初から非反則行為だった」と突っぱねればオシマイ。裁判所はスムーズに信じてくれる。
なぜバレたのか。
いろんな可能性が考えられるが、本件単独であれこれ想像するのは不適当かもしれない。
その巡査部長は(あるいは10交機全体で)同様のこと、またはもっと悪質なことをしょっちゅうやっており、「もうこれ以上はダメだ。ここらで切ってしまえ」ということだったのかもしれない。
警察組織は、切るときはほんと偉そうに正義ぶって切るんだろう。巡査部長は針の筵(むしろ)というか、心身症に陥ったかも。可哀想に。
以下刑法。
(詔書偽造等)
第百五十四条 行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。
(公文書偽造等)
第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
(虚偽公文書作成等)
第百五十六条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。
「虚偽公文書作成」は1年以上10年以下の懲役。だから略式では済まず、不起訴にならない限り、東京地裁の公判廷へ出てくる。私としては、是非にも傍聴したいところ。ま、一般の被告人には意地悪な検察官も、上述の疑問はたぶん突っ込まないんじゃないかと思うけど。
第1回公判は10月中か…在宅だろうから、もう少しあとかも。
開廷表に「虚偽公文書作成」とか記載されれば、狙って傍聴できるが、「道路交通法違反」とだけ記載されると、運任せになってしまう…。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
野尻峰広 様
びっくり仰天でしたね。
ただ、私はですね、これまでの取材等により分かっていること、またそこから導かれることを普通にコメントしてるだけで、見識というほどのものではありませんよ
名前 様
ヤフー知恵袋のそれ、読ませてもらった。マジ マジなんだろうねぇ。
そういうとこに5月13日に投稿してたことも、影響したのかもねぇ。なんにしても、そんな投稿を読めること自体、ネットの威力というべきだろうねぇ。
いやはや驚いた、ありがとう
投稿: 今井亮一 | 2009年9月13日 (日) 15時46分
こういうことだったようです
http://pub.studio15.jp/archives/2337
投稿: 名前 | 2009年9月12日 (土) 23時45分
まぁ、これにはビックリ仰天しました。
違反者がたまたま見ていた、については同意見です。見せる筈がない。その場でプリントアウトしないと警察官としてアウトでしょう。
今井さんの見識にはいつも脱帽するばかりです。
投稿: 野尻峰広 | 2009年9月 3日 (木) 22時26分