少し被告人に傾いたピサの斜塔
9時54分頃か、地下鉄・霞が関駅から地上へ出ると、歩道に門前に報道陣がたくさん居た。
9時締切りの傍聴券抽選に並んだのは千五百数十人、一般に割り当てられた傍聴席は20席だったそうな。少なくとも75倍。傍聴券1枚、22万5000円という計算か…。
月日(水)
10時から東京簡裁826号法廷(虎井寧夫裁判官)で「道路交通法違反」の新件。
被告人は身柄(留置場)で70歳。無免許を含む交通前科4犯。うち2犯は服役。偽名で稼働し、稼働先のトヨタ・カリーナのカギを預かり、辞めても車を返さず乗り回し、河川敷に停めて寝たりしており、貸したカネを取り返しに友人宅へ運転していく途中、助手席の雨よけが壊れていたことから職務質問を受け、本件無免許が発覚。
会話が成り立ちにくいタイプのようだが、釈放後は仕事も住居も楽々見つかるように軽々と言うのだった…。
求刑は罰金25万円。
11時から東京地裁407号法廷(中島真一郎裁判官)で「道路交通法違反」の新件。
20席の法廷に、傍聴人は私とマニア氏1人のみ。
被告人(63歳。在宅)は7分半ほど遅刻し、当事者感なくうろうろと着席。弁護人は、前の公判が長引いたそうで、さらに1分半ほど遅刻。
酒気帯びで罰金前科2犯。無免許で罰金前科1犯。本件は酒気帯び&無免許。驚いた。うつむいて書面を読む姿が素敵な若い女性検察官が、ぬわんと、被告人は飲酒して出廷したことを自白させたのだ。
裁判官 「もういいですっ! これで終わりにします、続行ですっ! こういう状態では(裁判を)できませんのでっ!」
被告人は被告人席に“のけぞり系”で座り、口をとがらせ(それが地顔なのか)、目をしょぼしょぼさせた…。
裁判所内のトイレで覚せい剤を自己注射する者もいれば、飲酒して出廷する者もいて、やっぱそのうち起こるょ事件が、裁判所内で…。
死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人 著者:池谷孝司(編著)、真下周(著)、佐藤秀峰(イラスト) |
地下でかけそば大盛り290円。7階でいつものように仮眠…。しかし今日はなかなか眠れず(と感じつつ眠ったのかもしれないが)、ドスのきいた声が聞こえてきて。目を開けると前のベンチに、靴がぴかぴかの男性たちがいた。そばの法廷で13時15分から「覚せい剤取締法違反」の判決なのだった。
13時10分から地裁715号法廷(林正彦裁判官)で「道路交通法違反、自動車運転過失傷害」の判決。
無免許で自動二輪を運転、安全不確認のまま約30キロで進行中、路側帯を同方向へ歩行中の歩行者を11.6mに認めて急制動、転倒して滑走、衝突、23歳男性に加療1週間の頭部打撲等の傷害を負わせ、現場に自己の携帯電話を遺留し、翌日警察に出頭したんだという。
自首が成立。円満に示談成立、宥恕。
懲役1年、執行猶予3年、訴訟費用負担。
続いて13時30分から、事件番号は同じで「収賄」と「贈賄」の新件。
警察官が違法営業の韓国マッサージ店から、捜査の手から逃れさせ現金を受け取った、と報じられた事件だ。合議。
贈賄の被告人(女性)はすべて認め、収賄の元巡査部長(カードローンが3000万円以上あったんだという!)は一般的な指導助言、アドバイスをしただけだと否認。分離されることになり、元巡査部長とその弁護人は退出、贈賄の審理が引き続き行われることとなった。
その被告人質問は、仕方ないのかもしれないが、ばりばり元巡査部長の犯行を立証するためのものだった…。
求刑は懲役10月。15時08分閉廷。
報道されない警察とマスコミの腐敗 販売元:インシデンツ |
15時から、9月2日に第1回を傍聴した「傷害、危険運転致傷、道路交通法違反」の第2回がある。が、少し遅れてしまう。じゃあ、遅れついでに、気になるやつをチェックしとこうか…。
…と、地裁727号法廷(平出喜一裁判官)、「道路交通法違反」の審理(15時~16時30分)へ。
これ、今日が第3回のはず。いくら何でも地裁の道交法が3回目でまだ審理って、普通あり得ない。地裁の開廷表はアテにならないとはいえ、万が一にもオービスの否認だったら、空前絶後、前代未聞の珍事だ、と。
15時12分頃に入ると、弁護人から被告人質問をやってるとこだった。
弁護人はだいぶんにお年寄りで、単語と単語の間がやたら長い。もったり、もったり、やってる。あれ~、この調子ですべてが遅く、3回目になってしまったのか? いや、そりゃまだわからない。
聞いているうち、首都高速のオービス事件で、どうやら80キロ超過、被告人は暴走車から煽られたと主張してるらしかった。それだって東京地裁では珍しい、というか私は初めてだと思う。
だが、驚いたのは、弁護人の質問の仕方だった。間が長いのとは別に、あらゆることを、自分の言葉で言い換えてかみしめる、反芻(はんすう)するというのか、感想のようなことを延々述べるというか、ま~、とにかく質問になってないというか。
裁判官 「何度も申し上げますが、質問してください」
と裁判官が何度言ったか。何度言っても、弁護人は変わらないのだった。
しかも、どうも毎年この時期、各フロアの南端の法廷は(したがってこの727号法廷も)、西日が当たるのに北端の法廷と同じエアコン設定にしてるのか、暑くて暑くて。
15時45分、速記のご婦人が交代するタイミングで、私はそっと退出。
疲れて疲れて、1階で一服。もう終わったかなと思いつつ、地裁811号法廷、9月2日に第1回を傍聴した、今日がたしか第3回の「傷害、危険運転致傷、道路交通法違反」(15時~16時)へ。
裁判官からの被告人質問がそろそろ終わるところだった。続いて論告・弁論。
検察官 「…など有利に斟酌し得る事情を最大限考慮しましても…」
近頃は、求刑の前にそういう言い方をするんだねぇ。本件求刑は懲役3年。
16時13分閉廷。
どうしようかと思ったが、727号法廷の「道路交通法違反」へ戻ってみた。16時16分、なんと、弁護人からの被告人質問がまだ続いていた。
16時30分過ぎ、交代の速記が来たタイミングで、裁判官が凄い勢いで言った。
裁判官 「先生、もういい加減にしましょうっ! このへんにしましょうっ!」
それから証拠の整理。弁護人が不同意にしていた捜査段階での供述調書を、検察官が刑訴法322条に基づき証拠請求したところ…。
次回は、当時の同乗者の証人尋問と、罪体についての被告人質問を、午後一杯やることに…。
国賠ネットの方から教わって、伊藤塾の連続講演会「日本国憲法と裁判官」の、18時からの第6回へ。
も、最高っ 会場で私がいちばん感激、興奮してたかも。お2方の講演をほとんど漏らさずメモしたょ。長年にわたる裁判傍聴のおかげで、メモ能力がおっそろしく向上してることに、我ながら驚きもした。
裁判乃至裁判官の役割は、無辜の不処罰、無罪の発見…まではいいとして、少し被告人に傾いたピサの斜塔? そんな言葉、初めて聞いたょ! うまいことを言うもんだ! 昔から言われてるのか? 聞いたことない…。
あとでネットで検索してみたが、どうも見つからない。私のネット検索の腕が悪いのか、堀内さん(拙著『裁判中毒』の最終話に登場する「H裁判官」)の造語なのか。あるいは、ネットごときで拾えるようなところには載ってないのか。
裁判中毒―傍聴歴25年の驚愕秘録 (角川oneテーマ21) 著者:今井 亮一 |
終わって、コードネーム「素敵な女性」と、全品299円の居酒屋へ。これは失敗した~。
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