93キロ超過 贖罪寄付100万円
月
日(木) その
次の狙いは14時50分~15時10分。その前に、裁判員裁判(強盗致傷)の傍聴券の締切が14時30分で、その公判(判決)が15時30分~16時。
ならば13時30分から1コマ、何か傍聴できる。いずれも地裁の811号と405号法廷で「道路交通法違反」の新件がある。13時30分まであと数分、非常階段を1フロア降りれば行ける405号にしようか…。
あぁ、405号は20席の法廷なのに、数分前なのに、そわそわせずに大廊下を歩けるなんて久しぶりだねと――今週あたりから授業が本格的に始まったのか、学生諸君が忽然と姿を消したのだ――なんだか晴れ晴れしいような気分で南から北へ歩き、東京地裁405号法廷(小池勝雅裁判官)で13時30分から「道路交通法違反」の新件。
首都高速湾岸線東行き、羽田空港付近のオービスⅢLk(とまでは検察官は言わなかったが)による超過93キロ、測定値173キロ。
普通なら懲役4月、執行猶予2~3年で決まり(東京地裁では)の、ちっとも珍しくない事件だ。
ところが 検察官の書証に、超過80キロを超える違反13件のうち7件が判決に至っておりその判決はすべて懲役3~6月、猶予付きだという報告書やその判決などがあった。
はぁ? そんなものが書証で出るなんて初めて。なんだ?
本件の被告人(在宅。30代)は、独立行政法人である病院の医師(精神科)なのだった。
国家公務員法でも医師法でも、禁錮以上は失職・処分の対象になる。弁護人は、犯行車両の売却(譲渡?)証明はもちろん、贖罪寄付100万円、教授や医師らの嘆願書、患者からの嘆願書など書証13点、証人2人の取調べを請求。および被告人質問を。
たしかに、同じ量刑の罰金や懲役(執行猶予付き)でも、被告人の資力や立場等によって、刑をはるかに超える重大なダメージを与えることもあれば、「屁でもねーょ(笑)」ということもある。とくに執行猶予付き懲役刑は、人によっては何ら痛みがなく、実質的には罰金刑より軽い場合がある。罰金については、被告人の資力によって金額を決める国もあるそうな。
しかし日本の裁判は、いや裁判全体は私はよく知らないが、少なくとも道交法については、そうしたことは捨象し、やった行為の重さというか外形だけで量刑を決める、という傾向が強くある。大量処理の観点もあるんだろう。運転者側の事情をいちいち酌んでたら、大量処理(=大量取締り=交通利権)は成り立たないから。
しかし、それにしても、本件はどうなるのか。被告人側の事情は嘆願書等により立証されてるし、罰金刑の上限は10万円であるところ、贖罪寄付100万円ってのは大きいんじゃないか。
弁護人の書証の中に、2007年8月29日宣告の神戸地裁の判決があった。84キロ超過で、求刑懲役4月のところ罰金10万円とした判決だ。本件とはだいぶ事情が異なるが、懲役刑は「些か酷なように思われる」として、懲役求刑を罰金刑とした前例ではある。
ちなみに私は、高裁で原判決破棄、罰金刑に、というのは何件か傍聴したが、地裁で懲役→罰金は傍聴したことがない。
※追記: あっ、1件だけあった。しかしそれは、相場は略式で罰金なのに、ムリヤリ逮捕、身柄のまま公判請求したという、特殊な事件だった。
14時27分、証拠調べが終わり、裁判官は「書面読ましてもらいますので要旨だけで」と言い、検察官は短く終わらせたのに(求刑は相場どおり懲役4月)、弁護人は長々(といっても3分間程度)述べ、14時32分閉廷。
14時30分締切りの傍聴券の抽選はパス。ま、検察官の書証に上述のがあり、弁護人が書証13点、証人2人と言った時点で、裁判員裁判よりこっちが優先と、私の中では決まったわけだが。
同じ法廷で続いて「道路交通法違反、自動車運転過失傷害」の新件。
酒気帯びで自動二輪(信号停止)に追突。29歳の被害者を自二もろとも転倒させ、頸椎ねんざ、腰部ねんざなどで全治74日間…。
被告人(在宅)は都心に勤務。妻は千葉のほうに勤務。妻は仕事を終えると電車で夫の勤務地へ来て、近くの駐車場にある夫の車の後部座席に寝袋にくるまって寝て、夫の勤務終了を待つ、ということをやってたんだそうだ。へぇ。で、ある夜、夫は勤務終了後、酒を飲んで車へ戻り、寝袋で寝ている妻を早く自宅へ返したく、そんなふうなことで運転したんだそうだ。
検査値は0.3mg、というところまで聴き、14時43分、そっと出る。
4階北側の405号から7階南端の728号へ行くのに、7分前に廊下へ出る…少ない開廷に学生諸君が押し寄せる夏休みの時期だと考えられないことだよね。
14時50分から簡裁728号法廷で、5月29日の第1回を見逃し、7月7日に第2回(証人尋問)を、9月10日に第3回を傍聴した「道路交通法違反」(首都高速4号線下り赤坂付近の三菱RS-2000による63キロ超過)の判決。
罰金9万円。訴訟費用については、証人スガイソウイチ氏に支給した分のみ負担。
判決理由は、だいぶていねいで、これは個々の裁判官を批判して終わるような話ではなく、もっと深い話なのだ、との思いを改めて深くした。
15時06分閉廷。
警視庁へ寄って帰宅。
国賠ネットのメーリングリストに、ワタシ的には驚愕の、夢のキャスティングのイベントの告知が。まさか、よりによってそんな…行く行く行くぅっと直ちに返信。
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コメント
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別に怒っているのでは、ありませんよ「プロの仕業???様!」.松たか子さんの唄
「ほんとの気持ち(→小田和正さん作詞・作曲)」と同じように、私,「プロの仕業???様」の、気持ちを,お尋ね致したいでのてす。せっかくの機会。一度きりの人生だから…。
「風俗」なるものの,一体どこが、良いのか、真剣におきき致したいのです。
「民事傍聴専門」の私だって、13時30分から16時30分の、
「民事証人尋問・傍聴タイム」の後の,
フリータイム≒ショータイム??では、
刑事傍聴をも,致します→だから、東京地裁でのその日,最後の公判を見届ける
[あのカッコイイ看守長さん]と出会ってしまいます。私,民事傍聴と同様に、A
.被告人さんのお気持ちも,B
.被害者さんの悔しさも,両方、わかる傍聴人になりたいです。刑事傍聴をすると、
「振り込み詐欺で,得た金を、なんと一晩で風俗で使い果たす被告人」を,散見いたします。だから「プロの仕業???」様![風俗]のどんな点が、そんなに良いのか、私に教えてください。
聖人君子ぶるわけでは、ありませんが[私,一生
「風俗」と関わらないこと],ここに誓います。
※
投稿: 秦野真弓 | 2009年10月 9日 (金) 21時06分