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2009年11月29日 (日)

小さく縮んでんだもん、出るわけない

日(金) その

 先週だったか、朝の電車が大きく揺れ、あわててつり革に手を伸ばしたら、斜め前に立っていた若い女性もそのつり革に手を伸ばし、お互い、あっ…。昔の少女漫画なら、これがきっかけで恋が芽生え…という妄想を乗せて電車は裁判所へ向かうのであった。

 急ぎ「公然わいせつ」の簡裁534号法廷へ戻る。
 パンツ(下着)をはかず、チャックが壊れたズボンをはき、商店街のジュエリーショップに入り、110番通報され…という事件。
 被告人(在宅)は70歳。痩せぎみで、背は年齢のわりに高め、一見お洒落で格好いいのだが、よく見れば衣服は失礼ながらボロといってもよく、耳毛がぼぅぼぅ、独特のセンスの老人。
 検察官から被告人質問をやってるところだった。
検察官 「チャック壊れてないズボンもあるなら、パンツはかないなら、(陰部付近のたたずまいを)ちゃんと仕舞えるズボンをはけばいいんじゃないですか」
被告人 「あんまり考えなかった。だらしない…若いときなら考えたかもしれない」
検察官 「電車だったらどうですか」
被告人 「電車はほとんど乗らない」
検察官 「普通の人はそもそもパンツはくなり、チャック…両方そろっての状態だと(性器)が見えるか、とは…」
被告人 「…あんまり気にしなかったね」
検察官 「反対に、見えたっていいや、とは?」
被告人 「いや…う…ん、気にしなかった」
検察官 「若い頃は恥ずかしいから…今は歳とったから関心なくなり、見られたってどうぞ、と?」
被告人 「そんなことは…」
検察官 「さっき、見えない自信があると…根拠は?」
被告人 「だって小さく縮んでんだもん、出るわけない(笑)」
 始まるときいっしょに入ったご婦人(傍聴人)を見やると、手を顔に当てていた。あらら、笑いをこらえてますね~。

 そのあと、弁護人がさらに質問し、休廷を挟んで証拠の整理をして…。
裁判官 「それではその(弁護人が不同意とした供述調書の)信用性を含めて、被告人質問で補充しましょうか」
 再び被告人質問が始まった。
 ま~、これが、なんというか、結局、被告人は、法曹が求める言語を持ち合わせていないというか、判決に重要だろう部分については、ほとんどまったく話がかみ合わない、成り立たないのである。
 検察官は優しく、しかしもちろん有罪に必要なことを言わせようとするのだが、弁護人(お年寄り)はせっかちな性格のようで、苛立ってか、ほとんど顔を赤くして、弁護人席の机を叩いて詰問、糾問…うわぁ。
 私はねぇ、当時のズボンもシャツも被告人は持ってきており、ブレザー(ダブル)もベルトも当時のものだというのだから、この法廷で、パンツをはいてるなら脱いでもらい、当時の格好になってもらい、“社会の窓”から陰毛が見えるのか、70歳の陰茎(陽根)の竿の部分のほうが見えるのか、みんなで検証してみりゃいいじゃん、と思いました。

 13時15分からの826号法廷の「窃盗」の判決のとき、主文の言渡しを聞くや、傍聴席を立って出た見慣れぬ女性がいた。出るときだったか、廊下でだったか、「また執行猶予だ。みんな執行猶予」というふうなことを、憤懣の調子で呟いていた。
 その女性が、この「公然わいせつ」の534号法廷の傍聴席にもいて、終わって外へ出て、「裁判官も検察官も逮捕・勾留されたことがないから分からないんだ」という趣旨のことを憤懣の調子で呟いていた。
 それはそのとおりだと思う。あるいは、ある程度分かってはいるんだけども、分からないふりで進めるのが裁判というものの慣習、伝統、確立された裁判法則であって、それを反省、改善した日にゃ日本の司法乃至犯罪処理システムはひっくり返ってしまう(その遙か以前に、反省、改善した者がつまはじきになってしまう)ため、どうにもならないんだろうか、とか思ってみたりなんかして、きゃっ。
 なんにしても、非常に貴重な公判を見せてもらった。「道路交通法違反」の新件を傍聴するため途中抜けざるを得なかったのが残念だ。
 16時29分閉廷。

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 来週、例の東京地裁425号法廷で「大麻取締法違反」の新件があり、傍聴券抽選で、しかも10時の開廷に対し締切りは9時。なんだ 被告人は元「男闘呼組」のメンバーなのだった。来週もいろんな裁判が…。

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