検察控訴の控訴審
『冤罪File(ファイル)』2009年12月号、53ページの最後に出てくる「半田靖史裁判長」は、現在は東京地裁・刑事第21部の部総括判事だ…。
月日(金)
10時50分から東京高裁・第6刑事部(出田孝一、多和田隆史、兒島光夫裁判官)、傍聴券なしで102号法廷を使っての、被告人2人(1人は元暴力団組長)の、「電磁的公正証書原本不実記録、同供用、電磁的公正証書不実記録幇助、同供用幇助」と「電磁的公正証書原本不実記録、同供用」の控訴審第1回。検察控訴。報道されてる。
これ、宮崎学さんによれば、ビル所有権移転にからみ、とんでもないことをやった者がいて、そこに警視庁のある警察官が現れ、ムリムリ暴力団の刑事事件に仕立て、ムリムリぶりは明白だったので一審東京地裁は無罪とした事件だ。
今日の控訴審には、本に登場する企業名や人物名がばんばん出てきた。そりゃそうだょね。
検察官は、3人の証人調べを請求。弁護人(ぜんぶで9人)は、まったく不必要と意見を述べたが、出田裁判長は2人を採用。
検察官によると、採用された2人のうち1人は証人出廷の確約を得ているが、1人(珍しい姓の弁護士)は、検察官が4回電話したが事務員しか出ず、事務員を通して証人出廷するつもりはないと言われたんだそうだ。
それでもその2人の尋問(予定)を決め、次回は12月4日(金)13時10分~17時。次々回は12月25日(金)10時~15時。宮崎さんの『上場企業が警察に抹殺された日』を読んでから傍聴すると、各別だと思うょ。
どうです、危うく買いそうになっちゃうでしょ。買っちゃえ、読んぢゃえ、傍聴しちゃえ。
※このように言うのは、賢明なる諸兄にはバレバレのとおり、傍聴席100席くらいなのに傍聴人はそれほどでもなかったから。ただし記者席は9席のうち8席まで埋まってた。
弁護人があれだけ不要という証人調べを、なんでやるのか。無罪をひっくり返すのか。いや、一概にはそうは言えないと私は思う。控訴棄却(無罪維持)とした場合、検察は上告するかもしれない。そのとき、審理不尽だと言われないよう、審理を尽くした形にして控訴棄却、というのもアリなんじゃないか。←ナマイキなこと言ってごめんね~
ところで、
「えっ、検察官が控訴とか上告とかできるの?」
と、ときどき言われる。
刑事裁判の役割・目的は、無罪の発見。←これは私だけが言ってるんじゃない。先日、ある現職裁判官も同じこと言ってた、「無辜の不処罰」という言葉を加えて。
犯人を捕まえて処罰するのは、行政庁である警察・検察が行う。警察・検察はどんどん犯人を捕まえどんどん処罰する。社会秩序を守るために。
でもって警察・検察は、被告人・弁護人に比べて強大極まる権限を持ってる。警察・検察はその被疑者・被告人を捕まえて処罰する専務的従事者だが、被告人・弁護人は違う。
しかも、警察・検察は、さまざまな証拠のうち被告人に不利な証拠だけを集めること、集めた証拠のうち被告人に有利な証拠を隠すことが許されている。
かつ、やはり行政府、何十年も前に建設が計画されたダムの、その建設理由が失われても、なんだかんだと建設してしまおうとするのと同じで、無罪とわかっても有罪にしようとする。内側から止めることはできない。そういう傾向、性向、性癖がある。
刑事裁判は、圧倒的に検察側が有利で強いのだ。
そんななかで、一審の裁判官が、十分に調べて無罪とするのは、たいへんなことであって、一審が無罪なら、それで確定させればいいのだ。
先進国といわれる国では、たいがい検察側は控訴できないと聞く。
ところが日本では、検察側は、一審の無罪に対しても、二審の無罪に対しても、とことん争って有罪を勝ち取ることができる。三審制で有罪が確定したあと、新たな証拠があって再審開始が決定しても、まだ検察側は異議を申し立て再審を行わせないようにすることができる。すんごいょね。
そういう事実に背を向け、現在すでに正しく行われている刑事裁判、への国民の理解と信頼を深めるために導入されたのが、裁判員制度なわけ。
それが11時07分に終わり、私は弁護士会館へ。5階の会議室で、「裁判員制度はいらない!大運動」主菜もとえ主催の、座談会を聞きに。
なんと、千葉地裁の裁判員裁判の候補者名簿に登載されたお1人、東京地裁と秋田地裁の候補者名補に登載されたうえ候補者に選ばれて出頭させられたお2人、が参加。
こんな座談会は史上初なんじゃない? 面白かったよぅ
大運動が創刊した、裁判員制度のすべてが刻々わかる『裁判員制度はいらない!全国情報』(1部100円)に掲載されるそうだ。
それから、そのお3人も実名・顔出しで参加し、10階の会議室で記者会見。
結局、なんだかんだで裁判所へ戻ったのは14時過ぎ。13時30分からの、一審が東京簡裁の、エスカレータの盗撮の控訴審の審理は、もう終わったろう、と1階の開廷表をぱらぱらめくったら、簡裁で「道路交通法違反」の判決があった。しっ、信じられないっ、なんで手帳に書いてないの
もう終わっちゃったよな~ と泣きながら東京簡裁826号法廷の前へ行くと、「開廷中」の灯りが点いてた。入ると、まだ言渡しの途中だった。おおっ。
これは、第1回が8月26日、第2回が9月11日、第3回が9月25日、第4回が10月30日だった、バイクの酒気帯びの否認(運転してない、またがって足で蹴って進んでた)だ。
結局、被告人の供述は不自然で信用できない、とされた。
裁判官は最後に主文をくり返してくれた。罰金35万円、訴費不負担。仮納付の必要は認められない。
傍聴席にいる男女は被告人の身内? と思ったら違った。廊下へ出ると、女性が2人、826号法廷へ入っていった。1人は、かちっとしたお洒落な若い女性。なに?
続けて、13時30分~14時10分のはずだった「窃盗」の新件の、弁護人からの被告人質問。そのお洒落な若い女性が被告人だった。
さらにその前の裁判が押して、時間がなくなり、即決裁判手続(簡易公判手続)だもんだから今日中に終わらせようと、「道路交通法違反」の判決を挟んだんだろうか…。
拒食症の、コンビニでの焼きそば入りお好み焼き2パックの万引だった。拒食症の若い女性による食料品の万引は過去にも傍聴してきたが、は~、そういうことなのか、と考えさせれられる被告人質問だった。
求刑は懲役1年。
傍聴席の男女は、その両親。少なくとも母親はだいぶ遠くから上京したそうで、即決裁判手続きでなくても直ちに判決か、と思ったら虎井寧夫裁判官は、2週間後とした。なんで もっ、もしかして…。判決、絶対傍聴しなければ
長く傍聴してきての、まったくの無責任な印象で恐縮なんだけど、虎井裁判官は、それぞれの場でマジメにひたむきな人が好きなのかな、という気がする。というか多くの人がそうだよね?
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