同じような事故被害がくり返され続ける理由
某テレビ番組からコメント依頼をいただいたが、そのメールを私が見たとき、番組が始まってすでに1時間も経過しており…あれ~。
以下は4月22日付け産経新聞、の一部。
集団登校に暴走車…逮捕の18歳少年は無免許運転
23日午前7時55分ごろ、京都府亀岡市篠町の府道で、集団登校中だった市立安詳小学校の児童ら約10人の列に軽乗用車が突っ込んだ。このうち児童3人が意識不明の重体、保護者とみられる妊娠中の松村幸姫さん(26)を含む4人が重傷、3人が軽傷を負った。京都府警は自動車運転過失傷害の疑いで、軽乗用車を運転していた亀岡市内の自称、無職少年(18)を現行犯逮捕した。
その記事の写真を見ると、現場は路側帯上かと思われる。以下は道路交通法第2条第1項第3号の4。
路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。
メルマガでもこのブログでも雑誌記事でもくり返し述べてきたように、そんなところを歩いていれば必ずある確率で事故被害に遭う。
被害者に落ち度があると言ってるわけでは、もちろんない。ま、先を聞いてください。
クルマの側がちゃんと前を見て交通ルールも厳格に守っていれば事故は起こらないだろう。
だが! 人間はそもそも不注意な生き物なのである。普段はマジメな人がたまたまミスを犯すこともある。交通事故の原因で最も多いのは、脇見や前方不注視など要するに不注意なのだ。そうでなくても、強がりからか見栄からか、無謀なことをやりがちな人もいる。中には故意で人に突っ込む者もいる。
たとえちょっとしたミスでも、クルマは1~2トンもある(主に)鉄の塊、そんなものの進路が生身の人間と交錯すればどうなるか…。
こうした事故を防ぐには、頑丈なガードレールを設ける等して、クルマの進路が人と物理的に交錯しないようにするしかないのだ。
ところが残念なことに、そういう発想は日本ではポピュラーではないようだ。ある確率で必ずクルマが突っ込んでくる路側帯を通学路としたり、青信号の横断歩道は聖域との認識で、クルマの様子は気にせず歩行者信号の青色灯火だけ見て横断歩道(=さっきまでは車道!)へ進み出たり、それが当たり前になっている。
そして、重大事故が(起こるべくして)起こるたびに、加害者を責め、厳罰化と取締りの強化という方向へばかり向かおうとする。同じような事故被害がいつまでもくり返され続ける…。残念無念というほかない。
交通事故および事故がらみの裁判だけで(事件数で)460件ほど傍聴してきた者として、そのように思う。
« 重過失傷害はドーベルマンの事件! | トップページ | 被告人のための「イソップ童話」の正しい読み方 »
「交通事故」カテゴリの記事
- 「道路交通法違反」3件、驚いた!(2023.09.28)
- 道端に駐車して開けたドアへ自転車が突っ込み(2023.04.24)
- 破棄差戻し2件連続!(2023.03.23)
- 死亡事故、逮捕されコロナ感染が判明、39.9度(2023.02.05)
- 過去のWeb記事(2022.04.01)
最近のコメント