突き刺さる防音壁
今回の高速バスの関越道での重大事故、高速道路側にも、落ち度とまで言えるかどうか分からないが、考えが足りない面があったんじゃないかと私は思うのだ。
警察庁の「原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別死亡事故件数の推移」。第1当事者とは、過失が大きかったほう、過失が同程度なら被害が小さかったほうをいう。
その違反(2011年。違反不明49件を含め4118件)で最も多いのは、速度でも酒でも信号無視でもなく、「安全運転義務違反」なのだ。以下道路交通法。
上記4118件中の「安全運転義務違反」の内訳は…。
運転操作不適 404件
漫然運転 733件
脇見運転 648件
動静不注視 107件
安全不確認 429件
安全速度 141件
その他 41件
合計2503件、60.78%を占める。
要するに、ちょっとした不注意なのである。信号無視(173件)だって、信号無視という外形的事実があるから信号無視に分類されてるのであって、その多くは不注意による見落としなのだろう。故意に無視すれば危険運転致死傷が問疑されることになる。
クルマはどんなに高性能で快適でも、運転するのは人間、不注意はつきもの。事故は必ず起こる。進路を外れたり、停止、減速すべきところをしなかったりする。すぐにハッと気づいて進路を戻したり、相手が避けてくれる等すればセーフだが、そうはならずに事故ることもある。
だから、シートベルト、エアバッグ、ガードレール、ボラード等々があるのだ。
ガードレールの長い板の両端を、クルマの進行方向に対して先端、後端と呼ぶなら、後端は必ず次の板の先端にかぶさるようになっている。クルマが進路をそれて浅い角度で突っ込んだとき、先端に突き刺さらないよう配慮されているのだ。
ところが今回の関越道の重大事故では、高速バスが防音壁に突き刺さっている。そのことが被害を無惨、重大なものとした…。
高速バスが進路をそれて防音壁に突っ込むこともあり得る、という考えが、防音壁の設計・設置に当たって、なかったわけだ。高速道路会社もいろいろ考えてるんだろうと思うが、ここは盲点だったのか…。
もちろん、防音壁に突き刺さらず、バス左前部を激しくこすっただけで済み、しかし居眠りから覚めた運転者があわててハンドルを右転把(てんぱ)し、本車線を塞ぐ形で停止してそこへ高速の後続車が次々と…ということもあり得る。反対側の下り車線へ飛び出してしまうことも、あり得るかもしれない。
そういう事態を防ぐため、あえて突き刺さる構造の防音壁にしていた、とは考えにくく、やはり、結局は、人間が運転する以上必ず事故は起こる、ということについての認識が社会全体に薄いことに帰着するんではないかと…。
滅多に起こらない“突き刺さり事故”の防止にカネはかけられない? 天下りを増やしといてその言い分はどうかと思いますけど。
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