死刑制度、犯罪抑止力と犯罪誘発力
大阪・ミナミの路上で2人が刺殺された通り魔事件で、被疑者は「自殺をしようと思ったが死にきれなかった。人を殺してしまえば死刑になると思った」などと供述している、と6月11日付け産経新聞。
そういえば「現住建造物等放火予備、殺人予備、威力業務妨害、傷害、銃刀法」(メルマガ第670号、671号、690号)の被告人は…。
「自分でも人を殺したい、重大事件を起こして世間の関心を集めたい」と思うようになり、高校生のとき、公園で幼児をハンマーで殴打。殺人未遂で少年院へ。
それから6年後、上京。「自殺で誰にも知られず死ぬのはもったいない。どうせ死ぬなら、大勢を巻き込んで派手に散りたい」と、個室ビデオ店などに泊まりながら、過去の殺人事件の現場を見てまわるなどしつつ、公園の家族を殺すか、妊婦を殺害するか、民家へ押し入って殺すかしようと、牛刀と出刃包丁(刃体長18.6cm)を買って持ち歩いた。刃物で殺すのは難しいので、ネットカフェかライブハウスに放火して大量殺人をしよう、新宿か渋谷なら注目を浴びることができる、と考えるようになった。ホームセンターでガソリンの携行缶(10リットル。真っ赤)を買い…。
「殺してやる! 火を点けて燃やしてやる! ちょっとした火花でも火が点く! ここで火を点けたらお前らぜんぶオシマイだ! お前ら殺して死刑になるんだ!」
死刑を恐れて殺人をとどまる者と、死刑になりたくて人を殺す者と、どっちが多いのか、という時代…。
また、こんな事件もあった。
弁護人 「毎日働こうとは考えなかったの?」
被告人 「いろいろ考えましたが、完ぺきに自己否定になってしまい、情けないんですが自虐的な生活に……。血湧き肉躍るような仕事をしたいっ! しかし実際に仕事やってると嫌~な気分になり、誰にも会いたくない、いつもいつも逃げ回っている……」
弁護人 「自殺したいというのは?」
被告人 「自らを捨てたかったんです、破棄ですっ! 僕は理想がものすごく高いんです! ケチな人間のくせに、たえず人と自分を比べてしまうんですね!」
弁護人 「死刑になるような重大事件も考えたということですが、ヤメたのはどうしてですか?」
被告人 「人を殺すのは、端的に言って気持ち悪いことですから、できませんでした」
暗数、つまり、死刑になりたくて大量殺人をやりたいが、なかなか踏み出せずにいる、そういう人たちの数は相当のものになるのかも。
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