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2013年6月10日 (月)

そんなことを言い残し、刑務所へ堕ちて行った男が

 「麻薬:清水健太郎容疑者、6回目の逮捕」と6月7日付け毎日新聞。
 合成麻薬「α-PVP」、今年3月に指定薬物から麻薬に格上げされたことを、知らなかったんだという。

 こと名「清水健太郎」さんの前刑(覚せい剤取締法違反)を俺は傍聴してる。 たとえば被告人氏名が「ジョニー・デップこと今井亮一」の場合、「ジョニー・デップ」の部分を「こと名(めい)」という。

 その第1回公判は2010年11月1日。メルマガ第288号でレポートした。
 以下、作者(って俺だよっ)の許可を得て、その号の一部を以下に。若干加筆等する。

 15時から東京地裁813号法廷(52席。足立勉裁判官)で「覚せい剤取締法違反」の新件。被告人氏名は「清水健太郎こと■■■」。

 被告人は身柄(拘置所)、だぼっとした良い感じの暗色スーツ。自過傷(2009年1月28日宣告、懲役7月)のときに比べ、脂っ気がない、みたいな。短髪には白髪が交じり、被告人席での堂々とした感じは前回ほどはなかった…。

 検察官の冒頭陳述によれば、同種3犯を含む前科5犯。前刑(自過傷)の終了は2009年8月27日。 早めに仮釈放されても「刑の終了」は8月27日となる。

 そして2010年4~5月頃から覚せい剤を再び使用するようになり、同年7月中旬、手元の覚せい剤がなくなり、服役中に知り合った暴力団関係者に連絡、同年8月5日、1パケ1万2000円で売人から買い、あぶりで使用…。

 裁判官が、甲5号、6号証は本件とどのような関係なのか、尋ねた。
 2004年5月29日のガサ(家宅捜索)で漏れた覚せい剤を2010年4~5月に使用した、と被告人は言っているが、ガサ漏れはない(=被告人はウソを言ってる)という情状立証(悪情状の立証)なんだそうだ。

 続いて、被告人の内妻(自過傷のときも証言した背の高い美女)と、被告人の友人でありマネージャーだという男性を証人尋問。

 弁護人が、いったん証言させたことを自分の言葉でまとめてから、

弁護人 「…ということでいいですか?」

 と確認し、「はい」と言わせてから次の質問へ、というスタイルを多用するもんだから、時間がかかってかかって。

 15時52分からようやく被告人質問。要するに…。

 前の覚せい剤で服役してから4年以上、手を出してなかった。すっかりヤメられたんだと完全に思ってた。しかし2010年4月か5月、ストレスから、ガサ漏れの覚せい剤に手を出してしまった。
 いったんスイッチとが入ると、もう止まらない。ガサ漏れの分がなくなり…。

 検察官は2人。いかにも若い僕ちゃん風がすべてやり、日焼けサーファー風の男はその監督指導、という風情。

 僕ちゃん検察官は、ガサ漏れの点を執拗に突っ込んだ。被告人の説明は自然で信憑性があった。

検察官 「なぜ捨てなかったんですか」

被告人 「捨てたいってのと、もったいないってのと、それが正直な気持ちです」

 僕ちゃん検察官は、熱心なんだろう、とにかく被告人を責めたくてたまらず、同じような糾問をくり返し、無限ループになりそうな…。

 すると、サーファー検察官が「もういい」というふうに手で合図し、裁判官も「もういいじゃないですか」と。

 裁判官がこんな質問をした。

裁判官 「刑務所の中では薬物の治療を受けたりはしなかったんですか?」

被告人 「前橋刑務所…600名くらい、薬物の…カウンセリング、受けられるのは、20名なんです。応募したけどダメでした」

 さらにいくつか質問したのち、

裁判官 「何か最後に言っておきたいことがあれば…」

被告人 「警察の方の取調べ…15分くらい無言の対峙があり、『あなた、このままいくと、出てきてまた行って、出てきてまた行って、そこで死ぬでしょ』と。初め聞いたとき、腹が立ちました! 腹が立った瞬間に、ありがたいっ…!
 ××(内妻)、面会にきて、どれだけ涙、流したか…その涙のぶんだけ幸せにしなきゃなんないんですっ! だから今日で覚せい剤はヤメますっ!」

 ハスキーな太い声で、誓うのだった。俺は映画を観てるような錯覚に陥った。

 求刑は懲役2年6月。16時31分、最終陳述。

被告人 「…過去に自分、覚せい剤について2度、刑務所へ行きました。なぜ、日本には、国がつくっている機関で、これだけ覚せい剤の患者がいるなかで、治療が行われてないこと…! 捕まえて処罰するだけでなく、治療もしてほしい! そういう国であってほしいなと思いますっ!」

 そのとおりだと思う! 万引きや痴漢、交通事故にも同じことがいえる。
 しかし、検察官も裁判官も、有罪にするのが仕事、刑務所は刑を執行するのが仕事…。

 てゆっか、被告人が国を批判するような最終陳述、滅多にない。“シミケンの侠気”として、そっち方面の伝説になるかもしれない、傍聴席でそう思った。

 そんなことを言い残し、刑務所へ堕ちて行った男が、また薬物で…。
 刑務所で、またも治療されなかった、指定薬物がヤバイことの注意もなかった、そう推認するのが相当じゃないんですかね。

 検察官はいつも言う。

検察官 「被告人を長期間、矯正施設に収容し、徹底した矯正教育を施すべきと…!」

 なーにが「矯正」だょ。空々しくて寒々しい限り。多くの実例をもとにそんなことを言うのが、裁判傍聴師の役割の1つかと。

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